映画「カル」公開記念企画

カルを分析する

 

 予告をしておいて、本当に期日にHPを載せることが滅多にない「にしがや公房」ですが、今回は内容が薄い個人HPに相応しい、おふざけ企画ということで、肩の力を抜いて書きなぐってみました。

 真面目な分析は、そういうやつ参照してください。
 ちなみに、日本の公式サイトはマニアの殿堂、マニアのクーロン城と呼ばれているニフティにあるです。
 ところで、この原稿はネタばれしまくりです。もともと「にしがや公房」は韓国で上映された映画について、日本でかかろうがかかるまいが全く考慮せずに書いていますので、矛盾はない。でも「カル」(韓国原題:
tell me something)はまだ書いていないな。最近、日本上映に私が原稿を書くスピードが追いついていません。
 どうでもいいが、今東京でかかっている「ペパーミント・キャンディー」は名画だよ。泣ける映画ではないが、しみじみ感動する。これもまだ書いていないけど。
 何を求めるかにもよるが、「カル」を観るならあっちを観たほうが感動はするよ。って、脱線すんなよ。だいたい、ぜんぜんジャンルが違うだろっての。
 っていうか、ここを見て、映画を観る気がしなくなっても知らんぞ。

1 ホラーかミステリーか

 この作品をB級ホラー映画とするか、極上のミステリーとするかは、意見が分かれるところですが、私はB級ホラー映画だと思います。
 理由はいくつかありますが、最大の理由は、それが殺意の動機になったかどうかはともかく、犯人が幼少期のトラウマの話をするからです。
 映画の中盤以降に、まだ厚かましくも被害者面をしていた、チェ・スヨンは幼少期につらい思いをしたことや、家を出るまでの経緯をチョ刑事に語るのですが、この時点で私は思いました、なーんだ、やっぱり、こいつが犯人じゃーん。
 だって、トラウマを持っているからです。B級ホラーでは、犯人は心の牧場に虎と馬を殆どの場合、飼っているのであります。

2 殺人動機について

 一口に殺人動機と言っても、この話ではたくさんの人が死んでいます。
 最初の3つの連続殺人は、たぶん、誰か人間を作ろうとしていたんでしょう。でも、この目的についてはいろいろありそうですね。友人の女医オ・スンミンと殺人を援女医した果てに、二人で愛の証として人間を作ろうとしたのか?とも思ったんですが。
 まあ、二人の女による快楽殺人には違いないでしょう。

3 快楽連続殺人事件とみる根拠

 では、なぜ快楽殺人と思うかというと、論理的に製作者の意図を汲むならば、あのポラロイド写真がカギになります。あの中では、被害者が全員並んで写真に収まっています。で、みんなお魚を持っている。この魚はチェ・スヨンが配ったものでした。
 つまり、これはさあゲームの開始だという合図みたいなもんで、計画的な殺人となります。

4 一般的なバラバラ殺人について

 ところで、一般的にバラバラ殺人はどういう目的で行われるでしょう。
 大きく2つに分かれます。ついでに、その他も見てみましょう。
  参考文献:「日本のバラバラ殺人/龍田恵子著」(新潮
OH!文庫)です。殺人者と、被害者の二人しか現場に居なかったのに、あんた見ていたんか?という描写など、ややドラマ化して読者に媚びているとこが気になるが、いろんなバラバラ殺人を振りかえるのに使った。

T 死体を隠す目的

 死体を隠蔽するため、あるいは、死体を人目につかない場所に移動するのに、分解した方が軽くなって運びやすいという便宜上の理由からです。
 前者の目的の場合は、発見された時、身元が分からないように指紋を消すなどの工夫を凝らすことが多いです。それはまだいい方で、日本では交野氏で死体を煮込んだ例もある。バラバラに分解して、日本全国を移動しつつ少しづつ、トイレに流すなど廃棄した例もある。

 後者の場合は、いきあたりばったりも多いので、結構適当です。
 このように、隠蔽目的が殆どなのに、見せ付けるように死体を置いていることが、この事件の不気味さなのでしょうね。また、死体解体にプロの解剖学の技を見せている点も異常です。

U 愛憎、あるいは異常性欲ゆえに
 
 愛のコリーダではないですが、好きだから殺した相手の身体の一部を持ち運ぶというのもありがちです。
 異常性欲の果てにというのは、日本でもあります。けれど西欧の方が圧倒的に多いそうな。

V その他

 儀式だった。
 神戸の中学生が犯した思い出すのも恐ろしいあの事件がありますね。
 あと、古いとこでは、新興宗教のそのまた亜流を打ち建てた宗教家?が、起こした儀式もあります。
 この事件では、死体が継ぎはぎされて、頭が欠けた人間が水槽に隠されていたというオチなので、この儀式っていう線が一番近いかもしれんです。あ、そうそう映画でははっきり、このオチが分からないために、あの死体は誰のでしょう?と思っている人も多いのではないでしょうか。いや、原作と映画は別もんというのも正しい鑑賞態度ですから、誰かの死体なのかも。

4 その他 もろもろの殺人動機などもろもろを想像する。

 謎解きで、テキスト、すなわち送り手、すなわち原作者や、映画の製作陣が残した手がかり、すなわち本やパンフや映画を重視するのは、馬鹿げているかもしれません。
 だって、そこまで厳密に構成されてはいないかもしれないぜ。・・・、いやそれは言い過ぎか。

 その他の殺人動機などを創造、否、想像してみました。

「オ・スンミンがそうしてと言った」
 精神的な愛人関係にあったと見られるオ・スンミン。彼女が、ねえ、お願いやつらを殺して…と言ったから殺した。

「オ・スンミンが殺人を行ったが、バラシタのはチェ・スヨン」
 これを分業と呼びます。

「太陽が黄色かったから」
 いわゆる不条理殺人ですね。理由なんかない。強いて言えば、だって太陽が黄色かったんだもん。
 私事で恐縮ですが、中学の剣道部の同級生で椎木君という子がいまして、彼がよく部活をサボった。ある日、とっつかまえて絞ったところ、「だって赤白帽子がなかったんだもん」と言いました。まあ、そんな感じですかね。

「男たちを愛していたから」
 愛とは都合がいい言葉ですね。
 何にでも使えます。おれがおまえのことを大嫌いなのはなあ、愛しているからなんだぜ。そう言われてもふうん、って聞き流してしまいそうです。たぶん、私の月給が低いのも会社が私を愛してくれているからでしょうね。
 でも、あんな冷たい女が、男を愛するでしょうか。いや、孤独ゆえに愛してしまう。そこで心の動物園から虎と馬が脱走するのです。ああ、男に虐待された。少女時代実の父親に犯されつづけたその記憶が、ああ、哀れチェ・スヨンの頭を過った時、ふと麻酔をかけてバラバラにしていましたとさ。

「めんどくさくなった」
 いや、殺人動機じゃなくて、おいらがだよ。(2000年11月25日)