組織と個人について考える

(敬称を省略しています)

『失敗の本質』
戸部良一他6名の著作(中央公論社)

大東亜戦争での日本軍の失敗を分析した本。
組織で見た場合にどんな特徴を持っていたの
かを探る。環境の変化に合わせて自らの戦略
や戦術を変えることの難しさを考える。
長谷川慶太郎氏の『組織の自己改革法』や
『情報戦の敗北』と併せて読まれるのも面白
いと思う。
時代背景という意味では
『アメリカの鏡日本』(ヘレン・ミアーズ)
を読むと考えさせられることが多い。

『ドイツ参謀本部』
渡辺昇一(中公新書)

ラインとスタッフの関係についての深い考察
が光る。参謀本部を素材にしながら、リーダ
ーと参謀の役割・資質を考える。
クラウゼヴィッツの『戦争論』と併せて読ま
れると面白いと思う。
兵站や段取りについては、カエサルの
『ガリア戦記』も参考になる。

『帝王学(貞観政要)の読み方』
山本七平(日本経済新聞社)

権力を持つものは情報を遮断される。必要な
のは、いかに世の中の声に耳を傾けるかであ
る。民が主の時代には、大衆が帝王学を必要
とするのではないだろうか。マルクス・アウ
レーリウスの『自省録』と比べてみても面白
いと思う。あるいはマキアヴェリ・韓非子な
どとの対比も面白い。

『現代の帝王学』
伊藤肇(講談社文庫)

帝王学の三つの柱
●原理原則を教えてもらう師をもつこと
●直言してくれる側近を持つこと
●よき幕賓をもつこと
日本の政財界人を例にして説明している。
興味のある方は、同じ作者で
『帝王学ノート』や『人間学』
(両方ともPHP)がお勧め。

『現代語で読む日暮硯』
堤清二訳・解説(知的生き方文庫)

松代藩の財政再建を推進した恩田木工の記録
である。日本的な経営論の本として面白い。
西武の堤氏が解説されているのも一読の価値
あり。自発や道徳観・人間関係を経営に生か
した実例である。日本的と言う意味では、
『梅干と日本刀』や『菊と刀』『日本人と
ユダヤ人』などを比べてみるのも面白い。

『代表的日本人』
内村鑑三(岩波文庫)

西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・
日蓮上人について紹介している。ケネディが
読んでいたということで有名になった本。東
洋的な思想を行動として表した人達を選んで
紹介している。伊藤一斎の『言志四録』と併
せて読まれると面白いと思う。

『組織の盛衰』
堺屋太一(PHP文庫)

成長志向の組織は強いが、成長が止まると脆
い。共同体は滅びの美学を持っている。縮小
の必要に迫られた場合には、成功体験に溺れ
ることなく新しい理念が必要。現在の状態は
まさにこんな考え方が重要な時期だろう。同
じ作者の『歴史からの発想』や『豊臣秀長』
と併せて読まれると面白いと思う。

『指揮官』
児島襄(文春文庫)

戦いには天才が必要だ。だが組織の中で天才
がどう生きるかは別問題である。この本では
軍の指揮官を紹介し、歴史から組織の在り方
を考えている。山本五十六から始まり、山下
泰文・牟田口廉也・マッカーサー・パットン
・林彪・ヒトラーなど27人について考察し
ている。






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