尾瀬
(尾瀬沼から尾瀬ヶ原へ)


「夏がくぅ〜れば思い出す〜はるかなおぜ〜とおいそらぁ〜♪」で有名な尾瀬です。
平成8年5月、GWを利用して毎日新聞旅行のクロカンツアーで参加しました。夏の尾瀬は信州の上高地同様、銀座と呼ばれるぐらいの人だかりですが、5月連休の尾瀬はまだ1m〜3mの積雪で実に深閑としていました。全く人気のない尾瀬です。こういう時期には本格的な登山客しか足を踏み入れないようで、尾瀬沼の上にも3m程の雪が積もっていました。山小屋も5月連休中だけ営業しているようですが、宿泊客は同行した我々以外はガラガラ。

・・・というわけで今回は人気のない尾瀬を十分に楽しませていただきました。尾瀬も上高地同様にかっては秘境と呼ばれていたようですが、その素晴らしさを後世の人達に伝えたいと思った地元の人達が山に入り、道を作って小屋を建設し、その豊かな自然を守りながら登山客を案内してきたのです。

はるかな尾瀬の自然をいつまでも大切にしましょう。尚、尾瀬沼の向こうに見える山は最高峰の燧岳(ひうちがたけ)2356m=日本百名山です。       


平成8年5月、GWを利用して大阪から夜行バスを使って出発しました。一晩かけて福島県の尾瀬へ。福島県といっても猪苗代湖方面ではなく群馬県との境にあり、日光の裏側にあるといった感じです。

翌朝7時頃、バスは群馬県利根村の吹割の滝(ふきわれのたき)に到着しました。ここの滝は高台からはるか下に向かって垂直に下りるものとは少し違った珍しい滝で、東洋のナイヤガラと呼ばれています。

吹割の滝を出ると、バスは予定コースの鳩待峠とは反対側の大清水に到着。周辺には早々とミズバショウが咲いていて同行者を驚かせていました。ここからは尾瀬沼を目指して徒歩で入山。両手にクロカンの板を担いで登るのは軽いとはいえちょっとしんどい。それでもおじん、おばんに負けじと緩やかな登り坂を上がって行きました。沼田街道と呼ばれるこの道は途中から雪道になり、そこからクロカンの板を履いて歩くことに。段々と山深くなり樹林に覆われて展望が利かなくなったと思ったらそこが三平峠でした。この峠から尾瀬沼湖畔に向けて森林の中をクロカンで一気に滑り下りることになったのですが、木をよけながら滑るのは並み大抵のことではありません。パタはベッタになりました。尾瀬沼前で同行者と記念撮影をする時はよろけながらの格好。でも1人で撮ってもらった時は格好よくポーズ。

尾瀬沼から先は湖畔沿いに歩いて20分程で長蔵小屋に到着。この山小屋が1日目の宿泊先です。小屋は同行者以外、全く客がおらず、広々と使わせていただきました。

翌2日目は尾瀬沼の上を渡って尾瀬ヶ原へ。沼の上には3m程の雪が積もっていると言われましたが、それでも100%安全とは言い切れません。どこかにポッカリ穴が開いているかも。恐る恐る前行者の後をくっついて歩いていくことになりました。沼の上を渡れるだなんて冬期だけの特権です。

尾瀬沼を渡り終えると沼尻平に到着。そこから先は段小屋坂を通って今晩の宿泊先尾瀬ヶ原へと向かいます。この道はクロカン者にとっては結構な難路で細い道から谷間に滑り落ちないよう、ひやひやしながら歩かなければいけません。何とか無事に第二長蔵小屋のある下田代十字路に到着。そこから先は広大な尾瀬ヶ原が広がっていました。この真っ白な野っぱらは夏になると高山植物が一斉に咲き乱れるのでしょう。しかし5月GWではその面影もなく白い冬の深閑とした景色でした。クロカンで尾瀬ヶ原の上を少し散策して今夜の宿、第二長蔵小屋に引き返しました。

翌3日目は元来た道を引き返して帰ることに。帰路はあの段小屋坂で谷間に落ちるものが続出。一番ひどい人は川底付近まで落ちていきましたが、立木が止めてくれて難を逃れました。パタも1m程、滑って落ちたのですが、1人で這い上がれずガイドに助けてもらいました。沼尻平で休憩をとった時は歩いていないと寒さが身にしみるような気温でした。

再び尾瀬沼を渡って対岸に着くと、今度は三平峠に向かって上昇。行きの難路が今度は楽して歩くことが出来ました。パタは登りの方が楽チンです。

三平峠から沼田街道を通って大清水へ。雪のない道に帰ってきた時にはさすがに今までの疲れがどっと出てきました。無事に大清水に着くとそのままバスに乗車。帰路は暖かいバスの中で寝てそのまま大阪に着きました。

5月GWの尾瀬はまだまだ雪の中、雪解けは5月末から6月上旬で、雪解けの頃にミズバショウが可憐な花を咲かせます。今度は夏の尾瀬をぜひ訪れたいと思います。


尾瀬沼と燧ヶ岳を背景にして記念撮影


戻る