| 俺の言葉に不二は、気のせいかもしれないが、 少し楽しそうに微笑んだ。 そして、 「ねぇ」 長い髪が、風に揺れる。 「もっと見せて?キミの本気」 「望むところだ!」 ダッ!! 俺の心其の侭に、真っ直ぐ、ただ真っ直ぐ不二に向かって走る。 俺が駆け出すのとほぼ同時に、不二は目を閉じ、俯きながら 左手で右手首を掴み、右手は握り締め、唇に当てた。 水晶球は、不二の周りをくるくると回り、 まるで不二を護っているようだ。 そして、すぐに握った右手が光りだす。 いや、握った指の隙間から、光が漏れ出している。 不二は、唇から離しながら、右手をゆっくり開く。 そこには、十数個の小さな青白い光の粒。 だが、今の俺に、あの術は防げない。 不二は、俺を真っ直ぐ見つめ光に ふっ・・・・ 息を吹きかけた。 ぶわっっ!! と、光の群れは、不二の吹きかけた息からは 予想もつかない勢いで、飛んでくる。 (まずい!) 俺はとっさに後ろに跳んだが、 ドオォォン!! 「っ痛!」 爆発に巻き込まれた。 が、恐らく、この爆発で起こった土煙は、不二にも及んでいるだろう。 と、いうことは・・・ (目眩ましには、最適だ) ヒュッ! 剣に術を纏わせながら、上へ跳んだ。 不二の居場所は目測出来ていて、俺の脚は、思う通りの距離を跳ぶ。 そして・・・ ふわっ 「っ!」 土煙の中に、俺を探していた不二は、俺の気配に気付き、見上げた。 だが、 (遅いっ!) 「はあぁぁっ!!」 ヒュンッ がぢぃぃっっ!! オートガードと剣がぶつかり、嫌な音が響いたが、それはすぐ収まった。 ピシッ・・・・ オートガードにひびが入り、 サァー・・・ 霧散していく。 「!、また破壊・・・!」 不二は、驚きながらも後ろに飛び退いたが、 しゅたっ 着地した俺と、不二の距離は、僅か2m。 (今だ!) 踏み込んで、不二の首の『石』に剣を突き出した。 壊す気は無い。 寸前で止める筈だった。 が、 がぢっ! 狙っていたところよりも手前で、剣が何かにぶつかった。 「っ・・・!!」 俺が見たのは、剣の行く手を塞ぐ、約3cmの空間を置いて ぴったりと不二を包んでいる氣・・・・・。 オートガード・タイプ・クロス (二重のオートガードだと!?) そう、認識した瞬間。 ゴオォォゥッ!!! 突然の轟音。 身体全体に、前方からの強い力がのしかかる。 倒れそうになるが、何とか踏ん張った。 目は、反射的に見ることをやめ、右手は、とっさに顔を庇う。 しかし、 「くっ・・・!」 その力に耐え切れず、地面に剣を突き立て、屈んだ。 ゴォォ・・・・・ 音がやむ。 (今のは、風、か・・・?) そんな事を考えながら、目を開いた。 まず飛び込んできたのは自分の右腕。 顔を上げ、不二がいた場所を見ると、 風の起こる前よりも後方に、不二の姿があった。 不二の瞳は開かれ、髪が、ふわふわと揺れる。 そして、口元が、ゆっくりと弧を描いた。 不二は、それは楽しそうに、それでいて妖艶に微笑んだ。 「キミ、すごいね」 言いながら、胸の高さに浮いている水晶球に、手をかざす。 「こんなスリル感、初めてだよ」 そう言って、瞳を閉じる。 すると、水晶球に氣が集まって行き、術の形を成してゆく。 (来るか!) 俺はすぐに剣を構えたが、予想外にも、不二はその術を自身かけた。 そして・・・ スゥ・・・・ 不二を覆っていた氣の気配が消えた。 (まさか・・・・?) 不二は両手を首の後ろに回して、『石』を外しながら言った。 「だから、キミの望み通り・・・・」 次は左手首に、右手と口を使って、器用に『石』を結ぶ。 風なんて吹いていないのに、不二の髪は楽しげに宙を舞う。 「本気で行くよ」 オートガードを解いた不二は、冬が終わり、 待ち焦がれた春に咲き誇る花の様に、鮮やかだった。 それからの試合は、今まで経験したことが無い程、良いものだった。 互いに夢中で、駆け引きを楽しんだ。 この試合が、ずっと続けばいい。 そう、思える程に、酷く心地が良かった。 だがそれも・・・・ パキ・・・・ッ 「第五学年Bブロック決勝戦、勝者、手塚国光!!」 終わった。 まだ、俺にとっては真の意味での、終わりではないが。 互いに右手を差し出して、 ぎゅ 握手を交わす。 (成功、したのだろうか?) 不安がよぎった瞬間、不二の口が開いた。 「こんなに楽しい試合、初めてだった」 そして 「僕は、キミを忘れない」 決定的な一言。 「手塚君」 対戦相手の、俺の、名前。 「キミとなら、また戦いたい」 そう言った不二の笑顔は、雨上がりに架かった虹の様に、綺麗だった。 「ああ。俺もだ」 この時に、俺の願いは、叶えられた。 俺の、願い。それは。 不二、お前に、俺という存在を、誰よりも強烈に印象付ける事。 この方法以外にも、色々考えたが、一番はこれだと思った。 それは、不二が、いつだって待っているように見えた。 本気で戦える相手を。 サァ―――・・・・・ 優しい風が、俺の横を通り過ぎる。 「てづかぁ――!」 それに乗って届いた、俺を呼ぶ声。 振り向けば、大きく手を振りながら駆け寄る、友の姿があった。 |
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| 手塚の頑張りが終わりましたー。 こんな風にして手塚は、不二君との面識を持つ訳です。 もう、手塚は不二君にベタ惚れですからvv 10歳にして同じ歳の男の子を捕まえて「綺麗」の連発です。 (はい、言わせてるのは私なのですが) 最後に出てきた「友」ですが、これにはちゃーんと意味があるんですよ〜。 それについては、次に書きます。 |
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