| 英二と話した日の夜更け。 僕は意を決して手塚に聞いてみることにした。 何をしているのか。隠しているのか。 隠し事は僕の気のせいで、本当は勉強なら、それでいい。 ただ、疑心暗鬼のまま、宙ぶらりんには出来ない。 僕の心。 英二のせいではないけれど、英二の話を聞いて、 ますます不安になってしまったから。 早く、安心して君を待ちたい。 君が、僕に何と言ってくれるのか。 あの誓いを、信じているから。 コンコン 「手塚、話したいことがあるんだけど、今、いい?」 ・・・・・返事が、無い。 晩ご飯を食べた後、自室に入ったっきりだから、いない訳、無いし。 「手塚?入るよ」 カチャ 寝てるかもしれないと思って、そうっとドアを開けた。 そこには・・・・・・。 「手塚?」 開けっ放しの窓、揺れるカーテン、真っ暗な外。 誰もいない、部屋。 「ってづ、か・・・・?」 どこへ、行ったのだろうか。 こんな夜更けに、僕に何も言わず、何をしに? 僕には、言えない事? 例えば、 誰かに、会いに・・・? 「っそんな訳、ナイ・・・・」 だって、手塚はあの時、 「約束して、くれた」 この先、ずっと。 と、誓ってくれた。 パタン 考えるのが苦しくなって、僕は手塚の帰りを待たず、眠りについた。 「・・・・・っおはよう、手塚」 次の日の朝、挨拶をするのも怖かった。 振り向いた表情が、冷め切っていたらと思うと、とても。 でも、 「おはよう、不二」 手塚は、いつも通り答えてくれた。 「よかった」 「何か言ったか?」 「っ!ううん」 まさか聞こえるなんて思わなくて、すごく焦った。 「何でも・・・・」 慌てて誤魔化そうと思ったのだけど、 「・・・・不二?」 僕の中の何かが言った。 今がチャンスだ、と。 それが誤魔化すことを躊躇わせるが、 僕は、決断出来ずにいた。 昨日のことを、聞くべきか、止めておくべきか。 一度、崩れてしまった僕の勇気。 手塚が、何をしているのか。 それを聞きたかっただけなのに。 増えてしまった不安材料。 今、聞いて、もし。 もしも、聞きたくない答えが返ってきたら。 そう思うと僕は、とても、もう一度勇気を持つことなんか、出来なくて。 「不二、どうした」 でも、手塚を信じたい。 不安で、怖くて、辛くて、どうしようもなくても、僕には、 手塚しかいないから。 このまま聞かなくても、いずれ、時が来れば、答えは分かる。 それなら・・・・ 「あのね、手塚」 僕は、ありったけの勇気を持って、僕の意志で、答えを知りたい。 「昨日の晩、何をしていたの?」 君を、信じているから。 「何故、そんなことを聞く?」 えっ・・・・・・? 「そ、れは。昨日の夜、ドアをノックしても、返事が、無かったから・・・」 「っ!!・・・・き、昨日は、部屋で勉強を、した後、すぐ、寝たから、な・・・・」 歯切れの悪い言葉。 絡み合わない、視線。 真っ直ぐな君は、僕を真っ直ぐ見つめてはくれなかった。 君を、信じてる・・・・・・、信じたい、のに。 どうして? 「変なこと、聞いて、ごめん・・・」 もう、君を見ては言えなかった。 それから僕は、あのことを聞くことが、出来なかった。 決定的な一言を聞くのが怖くて。 手塚に話しかけることさえも、怖かった。 僕の勇気は、もう、粉々に砕け散ってしまったから。 手塚は、そんな僕に気付くことなく。 あれからもう、4日目の夜。 コンコン びくっ! 「不二」 「・・・っな、に?てづか」 とうとう、 「入るぞ」 来てしまった。 「こんな時間にすまない」 この時。 「大切な話がある。聞いてもらえるだろうか?」 君が、僕に隠していたことの、答え。 それを、知る時。 「・・・・いいよ」 何を言われるのか。 怖くて君を、まともに見ることが出来ない僕に、君は言った。 「悪いが、目を瞑ってくれ」 「・・・・・・・えっ!?」 なんで? 「目を瞑ってくれと言っている」 「う、うん・・・」 全然意味が分からない。 けど。 とりあえず、言われるままに目を閉じた。 すると、何かが目に当てられ、 きゅっ という音が後頭部から聞こえ、目への圧迫感が強くなる。 ・・・・・・・目隠し?? 「あ、あの。てづ・・・・っうわ!!」 尋ねようとした僕を手塚は、横抱きで持ち上げた。 ガチャ 何かが、開く音。たぶん、僕の部屋の、窓。 「しっかり掴まっていろ。あと、暴れるなよ。 いくら不二が軽いとはいえ、支えきれなかったら困る」 掴まれって、まさか・・・・!! ぶわっ!! 飛び降りた・・・! 突然襲ってきた、落下するときのあの、奇妙な浮遊感。 「っ!!」 ぎゅっ 僕は咄嗟に、手塚の首に抱きついた。 でも、次の瞬間。 ふわっ 地面に着いていた。 「はあ」 と、安心したのも束の間。 「気を抜くな、しばらく走る」 「うわっ!」 僕の返事を待たず、走り出す手塚。 僕は抱えられたままで。 ねぇ、手塚。君は一体、何を考えているの? まだ、大丈夫だって。期待しても、いいの? だってこれじゃあ、とても。 これから別れを告げられるなんて、思えないよ・・・・? 走り出してから、約10分。 いつまで走るのだろうか? 僕がそう思い始めたとき、手塚が口を開いた。 「跳ぶぞ」 これもやっぱり、僕の返事は待たなくて。 スタン と着地をしたら、僕を降ろしてくれた。 そして、 「今、外す」 そう言って、正面から僕を抱きしめる様にして、 目隠しを外す手塚。 ・・・・・?甘い、香りがする。 それに気付いたとき、目への圧迫感が無くなった。 「不二、目を開けていいぞ」 そして僕は、手塚に促されるまま、瞳を開いた。 |
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| 切ない文を書きたかったのですが・・・・。 当たって砕けました(泣) とりあえず、誤解の嵐みたいな話になってますね。 でも、一回すれ違うと、どんどん噛み合わなくなることってありません? ちなみに手塚、不二くんを姫だっこで爆走しました(笑) |
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