「ゆうたくーん、あそぼうー!」 「うん、しゅういち兄ちゃん!」 二人の出会いから半年の月日が流れ、季節は、春。 白い洋館からは、毎日楽しそうな子供のはしゃぎ声が聞こえる。 大石は半年という期間の間に、不二家のことを色々知った。 元々は都会に住んでいたこと、父は有名な浄化導師で、 各地を旅していたが今は家にずっといるということ。 そしてこの二つの理由が、由美子の弟で裕太の兄、 周助の為だと言うこと。 周助は生まれつきある病気で、その為に自然の多い この土地に引っ越して、浄化導師である父が片時も側を離れない。 大石は、周助に会ったこともなければ見たこともない。 周助の部屋は家の最上階、三階にあるのだが、 三階には近寄らないようにと言われている。 弟の裕太ですら、好きな時に兄に会うことはできないのだという。 裕太は、よく大石に周助のことを話す。 大石と同じ歳であるとか、花が好きであるとか、 よく本を読んでいるとか、とても優しいとか。 それと同じように、周助に大石のこともよく話すとか。 いつしか大石は、とても周助という人間に会ってみたくなっていた。 ある日突然、 「最近周助の調子がとてもいいから、 近々会ってやってくれないかしら?」 大石は由美子にそう言われた。 「はい!ぼく、しゅうすけくんにあいたかったんです」 「あら、本当?周助もね、裕太が貴方のこと毎日話すから 会ってみたいって。だいぶ前から言ってたのよ」 その夜、大石はいつ周助に会えるのかと、ドキドキしながら眠った。 でもその日は、意外なほどあっけなく訪れた。 「秀一郎君、裕太。周助に会いに行きましょうか」 翌日に由美子は、不二家で遊ぶ二人にそう声をかけた。 「ええ!?」 大石は驚いた。 近々、と言われたからもうちょっと先だと思っていたのだ。 「あ。・・・・嫌、だった?」 「ち、ちがいます!」 すぐに否定したが、大石はすごく困っていた。 なにをはなしたらいいんだろう・・・・・。 そう悩んでる傍らで裕太は嬉しそうにはしゃいでいる。 「じゃ、行きましょうか」 「うん!」 完全に、不二家のペースだった。 三階の一番奥の部屋。 その前で由美子は止まった。 コンコン 「周助、大丈夫?」 「どうぞ」 ドアの向こう側から聞こえた声、 優しそうな声だ、と大石は感じた。 由美子が、ドアを開けた。 入るとまず目に入ったのは壁のように大きな本棚。 綺麗に本が並んでいた。 本棚の前には背もたれと肘掛けの付いた大きな椅子と、 観葉植物が置いてあるテーブル。 その上には何冊か本が積んである。 裕太は駆け足で本棚の左側からその後ろへ行ってしまった。 大石も慌てて追いかけてみると、そこに。 「はじめまして。ふじ、しゅうすけです」 ベッドの上に座った、彼がいた。 肩下までまで伸びている由美子とは違うストレートの髪は、 裕太や由美子と同じ色。 ふんわり笑っている彼は、女の子と見紛う程で。 「おおいし、しゅういちろう・・・・です」 それが、始まり。 それ以来、これまでの半年が嘘のように 大石は毎日周助の部屋に遊びに行った。 コンコン ただ、部屋に入る前のノックは必ずするように。 そう由美子に言われた。 「しゅう!、あそびにきたよ!」 「しゅうすけ!」 「どうぞ。しゅう、ゆうた」 二人は、お互いのことを『しゅう』と呼ぶようになった。 「二人はいいかもしれないけど、私達はなんだかややこしいわ」 呼び始めた頃、由美子はそう言って困ったように笑った。 「しゅうもぼくも、じぶんじゃない『しゅう』は しゅうしかいないからいいの!」 周助は、そんな風に反論していた。 「しゅう、おみやげ!きょう、うちのにわでさいたはな」 「うわぁ、きれい。ありがとう、しゅう」 周助はにっこり笑うと、近くの空の花瓶に花を挿した。 周助の部屋は植物で溢れていた。 そこら中に花瓶や観葉植物。 部屋は日当たりが良く、窓を開ければ気持ちいい風が入ってくる。 まるで、優しさで満たされた部屋だった。 三人は毎日、周助の部屋で遊んだ。 この年頃の男の子は、外で遊ぶ方が絶対的に多いし、 楽しいことも室内より多いだろう。 それでも、三人の方がいい。 大石も裕太もそう思っていた。 それに、室内でも全然楽しかった。 たまに周助の調子がいいと、不二家の庭で遊んだ。 夕日がさよならと告げる頃。 「しゅういちにーちゃーん!!ばいばーい!!」 裕太が周助の部屋の窓から叫んだ。 その横で周助も笑って手を振っている。 「しゅうー、ゆうたくーん、またあしたー!!」 大石も叫んで大きく手を振り返した。 きらきら光る時が、確かに三人を包んでいた。 |
| 大石五歳、周助四歳、裕太三歳です。 文ばっかりで、きもい・・・・。 もっと会話したかった(泣) |
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