「しゅう、ゆうた!」 周助は突然庭に走り出て笑顔で言った。 「ゆきがふってる!!」 三人で遊ぶようになって八ヶ月。 夏頃から頻繁に外に出れるようになった周助。 それからひどく体調を崩すこともなく、もう冬。 三人、元気に外を走り回る姿が馴染んでいた。 「わぁー!おれはじめてみた!!」 「きょねんはふらなかったからね」 「きれいだね」 不二家の庭ではしゃぐ三人。 その日はずっと外で走り回っていた。 翌日、外は一面銀世界だった。 「うわー!まっしろだ!!」 「すごい。みずうみこおってるよ」 三人は、近くの湖に来ていた。 「うらのみずうみにいこう!」 裕太が元気よくそう言っからだ。 「えい!!」 「わっ!冷たい」 「こらまてー」 「あははっ」 走り回っているうちに自然と雪合戦が始まり、 「やっとできた」 「ぼくもうヘトヘト」 「ゆき、おもい〜」 三人で協力して雪だるまも作った。 そうやって一通り遊んだ後だ。 「・・・・っはぁ」 「しゅう?」 周助に異変が起きたのは。 「しゅう!」 大石が駆け寄る。 「っ、だいじょ・・・・ぶ」 言いながらその場にしゃがみ込む周助。 「じゃ、ない・・・・かもっ」 笑ったが顔色は子供が見たって分かる程に悪い。 「どうしたらいい!?」 雪が、降ってきた。 「うちに・・・・っ。ゆうた、つれて。だれか・・・よんで」 「しゅうをおいていけないよ!ぼく、しゅうをおぶって・・・」 「だめっ!」 「どうして!?」 「しゅーすけー!しゅーいちにーちゃ−ん!」 走って近づいてくる裕太。 「はやくっ!!!・・・・っおねが、い」 縋るような目。 「・・・・わかった」 大石はそれに何故か従わなければならないと分かった。 すぐに裕太に駆け寄る。 「しゅういちにいちゃん!みてこれ・・・」 「ゆうたくん、うちにもどろう」 「え?どうして」 「とにかくもどろ・・・」 「しゅうすけっ!?」 裕太がしゃがみ込む周助に気付き、走り出そうとした。 「だめだ!!」 その腕を大石が掴む。 「どうしてっ!?」 「だめなんだ!」 「いやだっっ!!!」 必死に抵抗する裕太。 「ゆうたくんっ!!」 無理矢理にでも連れて行こう。 大石がそう思って裕太の腕を引っ張った瞬間。 「っあああああぁ!!!」 周助の、悲鳴。 二人は反射的に周助の方を見た。 そこには、倒れ込んでいる周助と、 白く輝く柔らかな雪に、残酷な程に綺麗な、鮮血。 左腕から血を流していて、服も何かで 切り裂かれたように破れている。 その光景を、呆然と見つめる大石。 何が起こったのか、分からなかった。 「しゅうすけっっ!!」 「!!」 大石が気付いたときには、もう裕太は周助に向かって 駆け出していた。 「だめだ!」 慌てて追いかけるが、追いつくはずもなく。 もう、周助に手が届いてしまう。 「ゆうたくんまって!!」 「ああぁっ!!」 どさ・・・・・ 周助の二度目の悲鳴。 「ゆうた、くん?」 それと同時に、大石の横に倒れている裕太。 服には、血。 「いやあぁっっ!!ゆうたっ!?」 「ゆうたくんっ!!」 慌てて裕太に駆け寄る大石。 裕太は、頭から血を流していた。 「!!」 それをみた瞬間、大石の中の何かが。 溢れ出した。 裕太が怪我をしている場所に手で触れると、 見る見る傷が治っていく。 「もう、だいじょうぶ」 理由はないがそう確信すると、今度は周助に駆け寄った。 「ゆうたっ!ゆうたぁっ!!!」 そう泣き叫ぶ周助の体には次々と傷が増えていく。 「しゅう!おちついて!!」 どうして周助の傷は増えていくのか。 裕太はどうして怪我をしたのか。 なぜ、こんな事が起きているのか。 大石には何も分からなかった。 でも、周助から発せられている何かが、 自分にぶつかる前に弾けて消えていることと、 だから周助に近づけることは、分かっていた。 「しゅう、しゅう!」 「いやっ、いやぁ・・・ゆうたっ!!」 周助は錯乱状態だった。 それでも。 「しゅう!ゆうたくんはだいじょうぶだから」 大石は確信していた。 自分なら、止められると。 「おちついて。しゅう」 大石は周助をぎゅっと抱きしめた。 「っあ、しゅ、う・・・・?」 「だいじょうぶだよ」 体の内側から湧き上がる、熱い何か。 それが、周助を止められる。 「だいじょうぶだから」 そう、告げている。 「・・・・う、ん」 血にまみれて。 頬を涙で濡らして。 それでも、安心して微笑んだその姿は、綺麗だった。 「まだだ・・・」 周助も気を失ったが、大石は周助を離さなかった。 一層きつく抱きしめると、周助の傷が 少しずつだが治っていく。 でも、大石の体はだんだん重くなってきて。 傷を治し始めてまだわずかしか経っていないのに、 意識が、遠のく。 「まだ・・・・・だめ、だ」 まだ、気を失う訳にはいかなかった。 誰かに、この状態を伝えなければ。 誰かに、周助を助けてもらうまでは。 「周助っっ!!!!」 聞き慣れた声。 「裕太!秀一郎君!」 その声に、大石は安心して意識を手放した。 |
| 会話が誰が誰だか分かり辛くてすいません。 まだ続きます。 |
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