ノルウェー、ロンダーネ山塊トレッキング。2001年8/9?〜8/10? 心の故郷。 写真提供はシン・ムラコシより

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村越真ホームページに、ノルウェートレッキングについて詳細レポートあり。
http://www.ipc.shizuoka.ac.jp/~ehsmura/normt.html

2001年フィンランドでの世界選手権が終わった後、シン・ムラコシと駆け足でノルウェートレッキングを楽しんだ。

世界選手権最終日のバンケットも終わりあっという間に世界選手権は終わってしまった。翌日には各チームとも自国に帰る準備を始める。日本チームも朝早くには大半がこの宿舎を発った。シンさんと私はお昼のフライトでストックホルムを経てノルウェー、オスロ入り。そこから約400キロだろうか、レンタカーを飛ばして、リレハンメルをも過ぎてOttaというロンダーネ麓の町まで行くかなりの強行スケジュール。

とにかくこの2週間のために10ヶ月準備してきた世界選手権が終わったばかりでくたくただった。車を運転していてもすぐ眠くなり、ヘルシンキへ向かう途中のたった2時間でも交代すること何回か。海外での運転は嫌いじゃないし気分転換になって実は好きだれどさすがに疲れていると怖い。日本と違って街は、ひとかたまりで集中していて、その他はただただ何もない田舎道。平気で80~100キロはスピードを出すので気を抜くとすぐ事故ってしまいそう。疲れている体にはかなりこたえた。

Rondane_panorama オスロの空港でレンタカーを借り、4,5時間あまり車を飛ばしてオッタへ。ノルウェーは2年ぶりで懐かしい。90,96,97,99年とやってきたかな。こういったゴツゴツした山並みを見ていると、ビヨルナーやカールおじさんのような熊男、いもいもしているところや、強さ、タフさが分かる気がする。パシやユーハなどのフィンランド人には到底似合わないし彼らはこういうところでは暮らせないかもなどと思ってしまった。無骨な風景や自然はノルウェー人の顔にも表れるのかな。。なんて思った。

オリンピックが行われたリレハンメルを過ぎて(ジャンプ台らしきものをみた)Hammerという街を通り過ぎるときに、道路わきに、オリエンテーリングのフラッグを発見する。あっという間に通り過ぎたが、さすが夏のオリエンテーリングシーズン、この街でもオリエンテーリングイベントが行われていたようだ。なんだかとても身近に感じた。

Ottaの街からさらに山を登っていくと、いよいよロンダーネ山塊の入り口、ミューゼセッタに到着。たぶん17時ぐらい?ちょっとしたリゾート地のようでもあり、ホテルらしきものもあるし、別荘もある。たいした情報をもたぬままきて、とりあえずインフォにいってみたが閉まっていた。地図と周辺図を頼りにそこを代表する山小屋へ行った。私は、リザベーションもしていなく寝袋さえも持ってなく、果たして泊まれるのかしら、満室だったらどうしよう、こんな疲れていて雨の中どうしたらいいの〜とハラハラしていたが、こんなときさっと行動をしてしまうのがシン・ムラコシでどうにかなってしまうのだから不思議。だから一緒にいても楽チンなのよね。山小屋はとても立派で部屋も空いていて寝床確保。しかもシーツと枕カバーもお金をプラスすれば借りることができる。何にも持っていない私たちには助かった。素敵なお部屋でダイニングもかわいくて、気分がいい。しかもシャワーまでついていた。
一段落して、何を思ったか、私はシンさんに「走りに行きましょう。」と誘った。疲れきっているにも関わらず。さすがに村越さんも「りかちゃんどうしたの?」と思ったらしい。私もなぜそういったかはよく分からないけれど、1つは走った後の方がビール美味しくのめるから、、というのは確実にあった。後はそうだな、世界選手権が終わったばっかりでまだいろいろ整理がついていないのと、毎日のように走っていたからなんだか体を動かさない日があるのが気持ち悪かったからなのかな。小雨の中30分ほど、明日行くロンダーネ山塊の林道を走った。ときたま見える目の前のロンダーネの山々、遠くにヨーテンハイムの山並みが見えて素晴らしかった。

diningroom 走り終わってシャワーを浴びて夕食。やはりここでも中高年の方々が多い。ビヨルナ-の父ちゃんみたいな熊男がそこらじゅうにいる。周りをよく見渡すとロウソクで暗いし、そういえば部屋の電気もつかなかったな、食事もあれ、朝ご飯のような内容、はて?と思うと近くのテーブルに座っている比較的若い男性が「どうやら停電らしいよ…」と教えてくれた。なるほどね。そんなこと気にせずゆったりと食事をしているのがほほえましい。ノンアルコールのビールは飲めなかった。ビールを飲もうという気分にも疲れすぎていてなれなかった…

食事をしているとどうやらオリエンティアらしいジャージをきた老夫婦がダイニングに現れた。さっそくおば様に声をかけてみるとやはりオリエンティア、昼間通り過ぎたhammerの街でのオリエンテーリングイベントに参加し、その足でここにやってきたという。「Hammerではジュニアのノルウェー選手権をやっていて、うちの息子は優勝したのよ。」という。どうやらすごい夫婦と息子らしい。彼らはFIN5にも出場したとのこと、私たちはWOCの帰りによっているんですよ、、などと話をした。身を乗り出してきたシン・ムラコシとおじさまはなんとかなんとか(よく覚えてない)という何十年も前世界選手権で勝ったノルウェーのすごい選手のことを楽しそうに話をしていた。「うちの息子はそのなんとかなんとかにコーチを受けていて、僕らもおんなじクラブなのさ。」というようなことを話していた。ノルウェーチームのこともなんだか協会関係のことも詳しそうで、このじいさんもちょっと只者ではない。シンさんは勢子辻の地図を渡して「息子さんが2005年、ノルウェーチームの代表として日本にやってくるのを期待していますよ。。」そんなことを言っていた。

食事を終えるとさすがにぐったりで21時にはベッドにもぐり込んだ。外からはおしゃべりする声や笑い声など聞こえていた。シンさんはまだ下のダイニングで老夫婦とお話をしていた。夜中に寒くて目がさめた。トイレついでに部屋の窓から見える外の風景に目をやると、写真に撮っておけばよかったなぁと思うくらいきれいな月夜だった。山影の向こうに丸い月が出ていた。外に出てみようかなと思ったけれど寒いしかぎがかかっていたらいやだしとあきらめた。とても印象に残る風景だった。

rondane,大平原 ノルウェー人のように(いやいつもどおり)朝はだらだらと遅くまで寝ていた。8時ごろ仕方なく起きてダイニングに行くと他の人々も同じくらいの時間に来ている。ふむ、行動パターンはノルウェー人かしているぞ。停電からは復活しているみたい。パンとチーズを頑張って食べて、コーヒーを飲んで至福のとき。精算時は小屋の方が、「あなたたち日本人?ここへはそうねぇ、もう2年くらい日本人は来ていないんじゃないかな。楽しんできてね!」と言われた。あらまあ来ないんだノルウェー人の心の故郷ロンダーネへ、もったいないなぁ。なんて思った。ゲストブックにサインをしてさあ、これからトレッキング!!

車で有料道路の林道(といっても自己申告制でお金を封筒の中に入れてゲート入口にあるポストに入れる)を進み、大駐車場へ。大型バスもあり、さすがに人も多そう。がさこそ準備をして出発。日焼け止めに水にカッパにちょっと食料をデイパックに詰め込む。きょうはだいたい10キロくらい?半日歩くのかな。さすがに疲れきっているので体も重い。だけど目の前に広がるロンダーネ山塊と遠くにはヨーテンハイムの山々が見えると元気が出てきて景色を楽しみながら歩き始めた。森林限界をすでに超えているここでは湿地と草原が広がっている。思ったよりというかあまり人がいなかった。ノルウェーで人気のあるトレッキングルートとはいえシーズン中でもこんなものなのか、と驚いた。

rondane, great view
ノルウェーでのトレッキングはピークハントするようなルートはもちろんあるだろうが、それよりも山の周囲を高くそびえる山を見ながら歩いたり、森や草原の中をを歩くようなルートが多い。日本の山とはだいぶ毛色が違うが、私にはこの方がぴったり。ここロンダーネも2000mにもなる山々があるが、そのピークに到達するようなルートはあまりなさそう。 時々シンさんと話をしたり、しゃべるわけでもなく一人物思いにふけりながら歩いたりと、気を使うこともなく、3キロほど歩くと湖近くにある山小屋が現れてきた。
ロンデバスブーの山小屋はノルウェー国旗が掲げられた湖畔沿いにある。すごく美しい風景だった。ここで休憩。小屋に入り靴を脱いで温かいコーヒーを注文して飲んだ。入口の壁をみると、食事の時間が書いてあった。朝食は8時から。日本ではきっと考えられないだろう。やはりノルウェー人の朝は遅いのね。ちなみに←この写真は大のお気に入りで、会社と家のPCの壁紙に使い、カードにも印刷するほど。さっきみたDNTのHPにもtopにこの山小屋の写真が載っていた。だいたい美しい写真をとるアングルは一緒なのかしら。



rondane,mountains しばらくゆっくりして、この写真を撮ったあたりまでいったんもどって、小屋から向かって左(西)側のピークに登っていくルートを歩く。3キロくらい。今回の山歩きで唯一登り。湿地の中を歩きながら山にとりつくと男性2人が走りながら降りてきた。こんなところを走っている人いるんだなあ、でも気持ちいいだろうなぁ、と思う。登りは疲れた体にはかなりつらいがおしゃべりしたりだんまりしながら進んだ。しばらくすると雨が降リ始めやがてみぞれ、雪に変わってきた。今は8月なのに雪?それくらい山あいで寒いところなのだ。さっそくカッパ大活躍。降ったり止んだりする中歩いているとピークについた。ピークからさらに北には山塊が広がり広大な風景が現れた。ここでまたちょっと休憩、お菓子を口にいれたりと景色を見ながら楽しんだ。
rondane,lake
頂上から今度はところどころ雪が残る斜面を下りていくと谷に下りてきて山小屋の反対側の湖のほとりにつく。降りている途中反対側の山塊には滝があった。小屋とこの反対側の湖のほとりの間は1日3便、小さな船が往復していて、ちょうどいい時間に私たちは船の乗ることができた。結構疲れていたので助かった。13時ごろだったかな。船に乗る人々は8人くらい。これまたビヨルナ-の父ちゃんみたいな熊男の船乗りさんが船代徴収。横に座った夫婦は、船代をそれぞれのお財布からお金を出して払っていた。こういうのもなんだかノルウェーっぽくておもしろい。その夫婦とときたまおしゃべりをしながら谷間から景色を楽しみながら船旅を20分ぐらいだろうか楽しんだ。
mother&children

船から戻り山小屋へ戻ってきた。ここで別棟のおトイレを借りたがこれも立派で、その他シャワーなどもついていた。ここからまた1時間少し、駐車場までの道のりを戻っていく。帰りのルートは林道を少し外れて湿地の中にある小道を。駐車場まであと少し、というところでこれからロンデバスブーへ向かう親子とすれ違った。小さな娘2人と母。彼女はとても大きな荷物を背負って歩いている。”Hej!”と挨拶をしたが、おねえちゃんはにこっと挨拶を返すものの、妹の方はぶうたれていてプンプンの様子。重い荷物を背負わされて疲れているのかどうか知らないけれど歩くのも遅れがち。かといって上の娘も母もとくに急がせるわけでも速く歩けとも言わず、黙々と歩いている。この光景、なんだかおもしろかったが、ここでシンさんと話題になったのはこの親子の家族構成について。「えーと、どう考えても親子ですよね、かあちゃんあんなに重い荷物背負ってたくましいね。そういえば今日は土曜日?とおちゃんはどうしているのかな、家でごろごろ寝ている?うーんそんなの日本じゃないんだから考えられないなあ、じゃあひょっとして離婚したのかしら、うん、それならありえる、で、こうやって娘と山へやってくるなんていかにもノルウェーチックですね。」といったところ。1枚写真をとる。

駐車場に戻ってきた。つかの間の楽しい時間もおしまい。これからオスロ郊外に戻り、ノルウェーに行けば必ず訪れる、シンさんが19の時列車の中で出会い、それから付き合いが今も続いている両親のような関係である2人の元へ、私にとってはノルウェーのおばあちゃん&おじいちゃんの家を訪ねて1泊して帰国。

norway map ロンダーネにはぜひまた戻ってきたい。冬にクロカンスキーで歩くのもいいかも、とこの地を後にした。

http://www.turistforeningen.no/codeland/
ノルウェー山岳協会,DNTのHP、最近は英語ページが充実しています。


OsloからE6をひたすら北上、リレハンメルを過ぎ、Ottaという街から山を登っていきmyususeterへ。。マップの赤いルートは車道、緑がトレッキングパス。Myususeterに1泊。そこから有料の林道を途中まで行き、駐車場に車を止めそこからRondvassbuの山小屋へ。湖の西の山ルートを北上し、湖の北のほとりから船でRondvassabuへ帰ってくるルート。 rondane,map


さらにロンダーネの情報、景色などの詳細はこちらへ。ノルウェー語。
http://www.etojm.com/dir/rondane.html


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