最後のミーティングいられなくてごめんなさい。そこで、多分ラップを解析の解説 があったと思いますが、自分の結果を見ながら解析の利用例を示してみたいと思いま す。

この解析方法では積算タイムはたいてい使いません。使うとすると、「ちぇ、ここ までは奴に勝ってたのか。」ってな次回への動機づけくらいです。

重要なのは上位3人に対する相対値です。生タイムで比較しても、長いレッグでは 当然差が大きくなるし、順位で見ても、みんなが安定して走るレッグはちょっとした タイム差でも順位が開いてしまいます。そこで各ラップの上位3人の平均値に対する 相対値を使います。この値は、各レッグにおけるあなたの出来不出来を比較的よく表 しているのです。

出来不出来の中身は大きく分けて二つあります。ひとつは恒常的なもの、もうひと つは変動的なものです。変動的なものというのは平たく言えばミスです。相対値が他 のものより大きく外れているのは、明らかにミスをしたレッグです。僕の場合だと8 >9ですね。

ミスをした場合、重要なのはそれがどのくらいのミスかを把握することです。通常 私たちは、「このレッグはミス・・・分くらい」と地図に書き込みますね。それは正 しい推定でしょうか?次のミスタイムの欄を見ると、その証拠が得られます。詳しい 説明は省きますが、このミスタイムはあなたが順調にオリエンテーリングをした時の タイムを推定し、実際のタイムからそれを引くことで得られています。僕の場合57 秒です。これは自分の予想よりはるかに(20秒以上)大きなものでした。

恒常的な出来不出来とは、つまり「得意不得意」のことです。よく「私走るの苦手 !」「登りだめなの」「ショートレッグって嫌」といったせりふを耳にします。この ような自己評価は本当に正しいのでしょうか?これも上位に対する相対値の表を見る とある程度解答が得られます。

この時、レッグの特徴を押さえておく必要があります。今回は意識的にそうしてい ます。

1:道走り
2:登り
3、4,5、:ショートレッグ
8,9,10:ショートレッグ(やぶ)
6、7、11、F:ミドル

  ミドルレッグにはナヴィゲーションの要素が満遍なく入っている総合的なレッグで す。その他のレッグは比較的レッグの性格がはっきりしているので、得手不得手を見 つけ出すにはちょうどよいでしょう。

さてこのままで相対値の表を見ても得られるものはいろいろあります。ランニング や登りといった体力面よりも、ショートレッグの方が相対値が小さいですね。これは 逆にいえば皆さんが、スピードをショートレッグで十分生かしきっていないことを意 味しています。手続きを素早くする練習でそれを改善できるでしょう。

さらに各レッグの特徴ごとに平均を出してみました。また比較のために田島利佳さ んを並べてあります。

ショートレッグ(やぶ)では、二人とも標準偏差が大きくなっています。これはや ぶではミスをしがちだからです。ある程度は仕方ないにしても、このような大きい標 準偏差が出ることは、ミスを最小限に抑える危機管理が出来ていないことの証といえ るでしょう。

トータルタイムの相対値に比べると走や登の相対値を大きく、このあたりに僕の現 在の課題がありそうです。逆に田島利佳さんは走や登の相対値はトータルの相対値よ りも小さく、オリエンテーリングに課題があることが分かります。特に危機管理的プ ランニングはまだまだ改善の余地大だと言えるでしょう。

shin-av shin-sd rika-av rika-sd
ショート 85.00  1.41 111.33  4.03
ショートやぶ 95.67 20.89  118.33 26.59
走 94.00 - 101.00 -
登 90.00 - 104.00 -
ミドル 87.50  6.50 108.25  1.79
total 89.00 108.00
(左欄は、レッグの属性、avは平均値、sdは標準偏差>大きいほどばらつきが大きい 。)

 オリエンテーリングでは、普段のレースの様子をコーチにチェックしてもらうこと が難しい。それで自分の弱点をなかなか絞りきれないものです。ラップ解析という比 較的簡単な方法で、それがかなりの程度克服できると思います。