"invisible wall"

何度となく推理小説が好んでテーマにしてきたように、走る列車はまさしく密室空間。
でも駅に停まっている時だけは、駅あるいはプラットホームという街とのBoundary・境界領域を通じて外の世界とつながる。ある旅人はこのホームから街に散っていくだろうし、街から駅に来た人が新たな旅人に加わるかもしれない。
この時間にはプラットホームに隣り合っている列車という空間も、1時間後には全く違う場所にいる。扉が閉まるまでにどちらの空間に居るか、1枚の扉を隔ててのたった数十センチの差が大きな意味を持っている。
たった1枚の窓、たった1枚のドアでも、それは大きな見えない壁。

リンツ中央駅にて