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>> Booth 2・シングル コレクション / Portfolio

 
 
Old European Face in Asia

2000.9.10>>2000.9.13

中国最大の都市、上海。かつて魔都と呼ばれた都市。
どこも似たような感じになった、ガラスとコンクリートの国際空港から、真新しいハイウェイが街まで伸びている。ハイウェイの脇には、ただ広い土地と土埃の立つ道、そしてわずかの真新しい家が車窓に流れていく。次第に人も車も建物も増え始め、そして車が目指す先に高層ビルのスカイ・スクレーパーが霞む。混淆にも似た凄まじいエネルギーを放つ新市街は、現代中国の風景。
ただ、そんな新市街を抜けて街の中心部に進み行けば、上海の街は大きく表情を変える。19世紀半ば、阿片戦争に勝利したイギリス、フランス、アメリカが貿易の拠点として整備した「租界」の面影が今も生きる街。 19世紀の洋館の街並みは、上海が現代ここまで発展し得た理由でもあり、中国の中で「外国」の支配に下った屈辱のしるしでもある。そして今、この街を訪れる人たちがエキゾチシズムやノスタルジーをそこに見つける一方で、洋館は次々と打ち倒され新しいガラスの塔へと建て替えられていっている。
19世紀の洋館と新しい都市が入り混じるその街並みは、まるで時間が遊んでいるかのよう。
今までヨーロッパの街に見てきた煉瓦の壁が、窓や扉の縁飾りが、エネルギッシュなアジアの雑踏のなかに在った。

 
 
ソボク・ユトリ・フルキヨキジダイ
誰しも「何か」と引き替えに現代を得てきた
その時は大切なものだと気付かずに