on the Beachside 

 満ち潮でも1カ所だけビーチが開いていた。
 もう夏も終わりかけの9月、ビーチに遊ぶ人の姿はまばら。
 ビーチの向こう、目指す白いピアが見えている。
 遠くに見えていた白い大きなフェリーを見送る。
 オステンドに入港しようとするドーバー航路のフェリーは、
 思っていた以上に速くするすると、
 そして思っていた以上に大きく見えて、
 奥の桟橋へと消えていった。
 そのフェリーを見送って、靴のまま、
 ごくわずかな夏の感触を楽しむかのように砂浜を横切って、
 白いピアへ向かった。