TOMO YAMAZAKI EMF
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山崎智嘉の電磁波問題ページ
脳の奥まで忍び込む電磁波
Electromagnetic Fields. The INVADER to our brain. New edition.
"May be" not by EMF's---National Academy of Sciences said.
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『電磁波がわかる本』 山崎智嘉・著
『−−ガン、脳腫瘍、白内障、流産、白血病から身を守る知恵』
電磁波問題の本質を、現場の最新の取材とデータ、実証に基づいてわかりやすく紹介。世界的な動きもフォローする。
(三笠書房、知的生き方文庫)
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Mail me at: t-yam@bea.hi-ho.ne.jp
突如現われる巨大な送電線。これが、大阪・門真市の現実だ。
「門真市の3分の1強が15mG(ミリガウス)から130mGですよ。地下ケーブルからも130mGでるんですわ。門真市の約半分はダメですよ。いいですか、160世帯で127人亡くなって、その内72人がガンで、そのなかでも白血病が14人いるんです。電磁波が安全かどうかなんて議論の余地を超えてるんですよ。もう、害があるかないかというてる場合じゃない。命をもてあそぶことは許さんと、そういうところなんですよ」
大阪府門真市の大西 勇さんは、送電線などの電力設備からの電磁波が、周辺の住民の生命を脅かしていると訴えている。
1mGは、1G(ガウス)の1000分の1の磁場だ。地球の磁場が300〜500mGだから、15〜130mGというのは非常に小さな磁場ということになる。
けれども、地球の磁場が変動しない「静磁場」であるのに対して、電力設備や電気製品からの磁場は、西日本で60Hz、東日本で50Hzという交流の「変動磁場」であるために、人体への影響が疑われている。
大西さんは、町の人が次々と白血病で亡くなっていると指摘する。
門真市は大阪の中心部の北東約9kmに位置する。大阪の中央を一周する環状線の京橋から、京阪電鉄京阪本線で10数分の古川橋駅に着いた瞬間に突如、巨大な送電鉄塔と送電線がその姿を現わした。
改札口より一段下のコンコースに降りると、大西さんがいた。大西さんは、開口一番、
「この床に高圧の2次線が埋ってます。ここででるんですよ」
という。大西さんが手持ちのガウスメーターをコンコースの床に指一本の高さに近づけると、針は振り切った。130mGはでているという。到着早々に、厳しい現実に驚かされた。そこは、一日中電車の乗降客や買物客の行き来が絶えない通路なのだ。
赤白に塗装された鉄塔の送電線は、大きなスーパーの屋上では、ちょうどそのあたりで送電線が垂れ下がっていることもあって、いちばん下の線まで5、6m。大西さんが以前測定したときには230mGに達したという。
これは、電力会社が市民に対する説明のたびにだしてくる、「電力設備からの磁場は200mG以下に抑えている」という話の数値まではるかに超えている。
白血病死者が14人。平均死亡率のなんと126倍。
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問題の巨大変電所と、その周辺の磁場の高い地域に測定にいくまえに、大西さんの自宅兼店舗に立ち寄った。
大西さんは電気店を経営している。おもに、店舗やビルの電気設備の販売、設置などを手がけている。そのかたわら、リサイクルという意味もかねて、中古の冷蔵庫などを自らの手で再生させ、格安で販売している。
現在66歳の大西さんが電磁波の影響に気付いたのは5年ほど前だ。
そのころ大西さんは町内会長を務めていたため、町内の方が亡くなると必ず葬儀に参列していた。葬儀の席では、故人の死因などについても話されるものだ。
「なんで亡くなられたんですか」
と聞くと、
「ええ、白血病なんです」
そんなふうに答える遺族が多かったという。そうした場で話をするうちに、この町になにか異常なことが起こっている、と大西さんは思うようになった。
そこで、大西さんは末広町の町内と周辺で過去10年間に亡くなった人の死因を独自に調べた。すると、なんと約160世帯で、70人以上がガンで亡くなっていることがわかった。そしてそのなかでも、白血病が原因で亡くなった方が10数人いることがわかった。白血病で亡くなったなかには当時高校生だった人もいるというのだ。
町のどこで線を引くかによって数字が変わるのだが、隣接する町の一部を含む住民250人に対しての数字では、過去10年間に白血病で亡くなった方が14人にのぼり、現在治療中の人もいる。
大阪府全体の白血病での死亡率は、’88年から’92年までの平均で10万人中年間4.4人(「大阪における成人病統計」大阪府環境保健部)だ。
ところが、この町周辺では「10年間で250人中14人」だから、約180人にひとりという高い確率になる。この計算だと大阪府の平均の約126倍の死亡率なのだ。
関西電力では「WHO(世界保健機構)が『5000mG(5G)以下では、いかなる生物学的影響も認められない』という見解を’87年にだしている……送電線からの磁場の大きさは最大200mGほどで、家電製品と変わらない」(’96年9月10日 朝日新聞・夕刊・西部版、……は中略)と説明している。
けれども、少なくとも「家電製品」は使う人が選択でき、使わないこともできるのに対して、送電線からの電磁波は、選ぶことも避けることもできない。だから、「家電製品」と送電線・変電所をまるでいっしょのもののように論じること自体おかしいだろう。
しかも、自分がすべての電力を使っているわけではない、工場に送られる電力からの磁場を、変電所や送電線付近の住民が一身に受けるのだからたまらない。
送電線と隣り合せの小学校から家路につく子どもたちの上を無数の送電線が走る。ここには早急な対応が必要だと実感した。疫学調査も必要だけれど、もっと素早い即効性のある対策が緊急に必要なのだ。
「これから疫学調査の方法を検討しよったんでは間に合わんわ」そう大西さんは警告する。
もし、送電線や変電所からの電磁波、電磁場が健康に影響があるとすれば、早急に対応していかなければ、全国各地でいっせいに惨事が起こることになる。しかも、それはすでに今日も起こりつつある。そして、現在進行中の計画の進め方からは、既成事実を作ってしまえば「お上」の勝ちという姿勢が見え見えなのだ。
遠くから都市に送電するために巨大な送電システムが必要になる。
電力線の磁場の影響で小児白血病が約3倍発生。
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放射線やマイクロ波などよりはるかに低い、50/60Hzなんていう極低周波、つまり、家庭の電気製品や送電線などからでる電磁波が健康に影響するという研究は、ごくごく最近になって、多数報告されるようになってきた。
そのさきがけは、アメリカ・コロラド大学のナンシー・ワルトハイマー博士が「アメリカ疫学ジャーナル」に発表した報告だ(’79年)。
この報告は、アメリカ・デンバーの変電所付近で、小児ガンの発生率が2.25倍、小児白血病が2.98倍になっているというものだ。
ワルトハイマー博士は、3年間さまざまなガンで死亡した344人の子どものリストと、その子どもと同じか近い誕生日の子どもを比較のために選んだリストを作り、足まめに一軒一軒訪ねて回ったという。
こんな報告を電力会社がすなおに認めるわけもない。
ワルトハイマー博士の報告に対しては、その後、カリフォルニア・パロアルトの電力研究所(EPRI=Electric Power Research Institute、これは電力会社が共同でつくっている研究機関)などによって批判が展開されているが、今になってもワルトハイマー報告の成果を認める研究者は多いようだ。
’81年から5年間、電力会社などが約540万ドル(約59億円)出資しておこなわれた「ニューヨーク州送電線研究プロジェクト」でも、デイビッド・A・サビッツ博士がデンバー周辺での送電線・配電線と小児ガンの関係を調査し、’87年に結果が発表された。
結果は、2.5mGの被曝で、小児白血病にかかる確率が約2.0倍になる、つまり、ワルトハイマー博士の結論を追認するものだった。
’90年には、アメリカの政府機関EPAが「電力線の磁場は、ガンの促進と関連があり、子どもたちの白血病、脳腫瘍、リンパ腫の促進と因果関係がある」と結論したドラフトリポート(暫定報告)を発行した。ところが、当時の共和党・ブッシュ政権は、この結論を公開しなかったという政治的なニオイの強い話もある。
ワルトハイマー報告以来、電磁波が、健康に影響するという研究が数多く報告されるようになった。最新の研究も数多くあるが、なかでも「やっぱり電磁波は問題をはらんでいるんだ」と世に再認識させたのは、スウェーデンのカロリンスカ研究所の’92年秋の報告だろう。
カロリンスカ研究所のアンダース・アールボム博士やマリア・フェイチング博士を中心とする研究グループは、’60年から25年間の統計をもとにした疫学調査をおこなった。
高圧送電線から300m以内に住む50万人を対象に、1mG以下の低い磁場の環境に住む子どもと比較したのだ。
その結果、2mG以上の地域で小児白血病の発生率が2.7倍に、3mG以上で約3.8倍という驚くべき数字が報告されているのだ。
このカロリンスカ研究所は、ノーベル賞の医学・生理学分野の選考をおこなうことで知られる、国際的にも最高レベルの研究所だ。
日本では、独自の疫学調査を一切やっていない。
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日本では、’93年12月の通産省・資源エネルギー庁の、「電磁界影響に関する調査・検討報告書」で、こうした送電線や変電所、家庭電化製品の影響についての海外での疫学調査について「症例数が少なく統計的な精度が低い」から「磁界と人の健康との関連性を明確にすることは難しい」と結論している。
ここで、強調しておきたいのは、こうした日本の行政の対応では、日本独自の疫学調査は一切おこなわれていないのに、他の国や機関の疫学調査について、不十分だと結論していることだ。
ちなみに、日本の企業は健康診断などを徹底しておこなっているので、電力会社や電話会社、鉄道会社などの過去のデータを調べれば、世界的にも意味のある疫学調査が可能なはずなのだ。
ところが、たとえば電力会社は、「プライバシーの問題があるのでデータの公開などはできない」という。数千人中に何人という数字のデータのどこがプライバシーにかかわるのか教えてもらいたいものだ。
しかも、電力関係の仕事をしている本人たちにとっても、自分たちの仕事が健康に影響を与えるのかどうかという重要なことが判明するのだからプライバシーうんぬんなどといっている場合ではないだろう。
それとも、影響がありそうだからデータを表にだせないのだろうか。隠しているから、かえって疑われるのだということを、いいかげんに学んでもいいころだと思う。
福島第一原発。これ以上ここに原発を増やす必要があるのか。
電磁波は、気付かないうちに忍び寄っている身近な危険だ。そして、今、「第2のアスベスト」といわれている。
アスベストは、かつて便利な素材としてさまざまなところで利用されていた。
熱に強く、摩耗しにくく、加工も簡単で、自動車のブレーキライニング、クラッチの摩擦材、そして、多くの建物の断熱材(小学校など公共施設のアスベスト除去が、危険をともなう大変な作業として、問題になったことを記憶している方もいるだろう)として広く使われていたので、その問題解決も大変な作業となったわけだ。
日本では、このアスベストの除去が十分進んでいなかったために、’95年1月17日の阪神・淡路大震災では、地震で倒壊したり大破して解体中のビルからのアスベストの飛散が深刻な問題になった。
電磁波の問題も、この「アスベスト」とよく似たところがある。
じっさい、工業国では電気なしでの現代生活はもう考えられないところまできているだろう。ある程度節約していくことはできるとしても、このままの機械文明を維持するとしたら電気をまったく使わない未来は、まず考えられない。
電磁波の危険を考えることは、現在の、そして未来の生活のスタイルについて見直すことでもあるわけだ。
いったい危険なのかそうではないのか、はっきりしてほしい。
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送電線からの磁場は、そのとき流れている電気の量で刻々と変化する。多くのオフィスや商店、工場、家庭でクーラーを使う真夏には電力の使用量も増え、磁場も大きくなる。
東京電力の資料(「電気設備の電磁界について」’94年12月)によると、線下、つまり送電線の真下では、「最大で200mG、ふつうは数ミリから数十ミリガウス」となっているので、送電線付近ではどこでもカロリンスカ報告で影響があるとされた程度以上の磁場があると考えたほうがいいだろう。
じっさいに測定してみると、送電線の真下より少し離れたところのほうが磁場が強く、しかも、地上での距離で40m離れても10〜15mGくらいでていることは珍しくない。
ということは、送電線だらけの日本の住宅地では、カロリンスカ報告の例より白血病の危険性が高いことになりそうだ。
アメリカ・カリフォルニア州では、教育委員会などが、13万Vクラスの送電線から学校を100フィート(約30m)以上離すといった規制を設けるなど、各国、各地で具体的な基準が作られつつある。
東京電力では、「送電線の磁界は最大でも200mGになっています。これは、’87年のWHO(世界保健機構)の見解が50G以下では健康への影響は認められないとしている磁場よりはるかに低い数字です。また、’93年12月に通産省がWHOのこの見解を変えるべき事実はないと報告しています」(広報担当者)と説明している。
けれども、この「50G」という報告が掲載されているWHOの「クライテリア(環境保健基準)69」について、当のWHOの電磁波研究チーム代表・M.H.レパショーリ博士が日本のマスコミの取材に応じ、
「’87年のリポートは、’85年までの研究をもとにしたものです。その後10年間で、50から60の疫学研究が発表され、(電磁場が)白血病の原因だとか脳腫瘍の原因だというリポートも出ています。WHOはそうした文献やリポートを検討し直して、この報告(『クライテリア69』)を再発行したいと考えています。50Gというのは、基準ではありません」
と語っているのだ(括弧内は筆者註)。
さらに、スウェーデン・カロリンスカ研究所のアールボム博士らは、’93年11月にスウェーデンのカロリンスカ報告に加えて、フィンランド、デンマークのノルディック3カ国の電磁波の影響のデータを「ノルディック報告」としてひとつにまとめ、英国の医学雑誌「ランセット」に発表した。このノルディック報告はカロリンスカ報告よりさらに精度が高くなり、送電線からの電磁波の影響を裏付けるものとなっている。報告では、2mG以上の電磁場で、小児白血病が2.1倍、脳腫瘍が1.5倍発生しているという。
こういった最新の研究がつぎつぎと報告されているのだから、その結果を分析するなりして、対策を検討することが緊急に必要だろう。
ところが、現在日本では、逆に超高圧送電線が全国各地に張り巡らされつつある。しかも、100万Vという、いままで日本にはなかった高い電圧による送電ネットワークが建設されようとしている。
クモの巣のように張りめぐらされた送電線の下で安全はない。(門真市)
全国で高圧送電線や変電所の建設に異議。
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東京電力は、福島県や新潟県の原子力や火力発電所で発電された電気を効率よく首都圏に送るために、100万V設計の超々高圧送電線ルート(UHV=ウルトラハイボルテージ)を建設を計画、南新潟幹線/西群馬幹線をすでに完成させ、現在、福島県から栃木県にかけての、南いわき幹線/北栃木幹線を建設中だ。
建設中の南いわき幹線は、全長(亘長=こうちょう、と呼ばれる)260km、2回線で鉄塔480基、鉄塔の標準高さ約110mという巨大な規模だ。
東京電力では、これまで発電所から27万5千V〜50万Vで送られた電気を都市周辺の超高圧変電所で15万4千Vに下げ、さらに、一次変電所で6万6千Vに、さらに2万2千Vに落として送電している。
これを100万Vの超々高圧で送電できれば、送電の効率が上がるため、そのための技術を開発、7、8年後には実施できる見込みだという。
’96年5月からは、群馬県吾妻町の新榛名変電所内に作られた100万V送電のための試験設備でのテストを開始、ここでは2年間の計画で、100万V送電のための実証試験をおこなっている。
電力に関する監督官庁である通産省では、’93年から8年間の予定で、電力中央研究所に総額20億円の電磁波の影響に関する研究を委託している。ということは、この研究の結論が発表されるのは、2001年以降ということになる。
その2001年には、全国の電力会社が100万V、50万Vの超々高圧送電ネットワークをほとんど完成させ、実施しはじめている段階だ。
この超々高圧送電線建設工事に、全国各地で疑問の声が上がっている。強引に工事を進めようとする電力会社の姿勢に、市民が危惧を抱きはじめたのだ。
さらに、全国で進んでいる住宅地への変電所建設にもしだいに反対の声が沸き立ちつつある。新築ビルの地下変電所などの形で、付近の住民にもほとんど知らされずにでき上がっている場合もあり、市民の間に疑問が広がりつつあるのだ。
すでにに東京の都心では、女子校の地下やお寺の地下に巨大な変電所が作られている。
もし、送電線や変電所からの電磁波、電磁場が健康に影響があるとすれば、早急に対応していかなければ、全国各地でいっせいに「惨事」が起こることになる。しかも、それはすでに今日も起こりつつある。
現在進行中の計画の進め方からは、既成事実を作ってしまえば「お上」の勝ちという姿勢が見え見えなのだ。
これが、「電磁波の真実」の解明を急がねばならない最大の理由だ。
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’96年11月には、新聞各紙に「電磁波でガンは確認できない」という全米科学アカデミーの報告が伝えられた。これにしても、報告の概略を伝えるプレス発表資料のオリジナル文をよく読むと「安全だ」とはひとことも書かれてはいない代物だ。報告には、
「電力線との距離と小児白血病との間に示されている弱い結び付きは、たぶん(may be)、どんな家にもあるようなさまざまな外部の配線からの磁場以外の要因の結果だろう」とか、
「もっとも必要なことは、電力線に近い家々で小児白血病が少し増加する原因となっているという、まだ説明されていない要因についてピンポイントする(絞り込む)ことだ。小児白血病の増加に合致する正確な要因の存在が証明される必要がある」とある。
この報告はここで電磁波か「(わからないけど)ほかのなにか」の作用で「小児白血病が増加する」「メラトニンホルモンの量に影響がでている」ということは認め、これではたして「健康影響は確認できない」という結論として発表できるのか、という内容だ。
しかも、報告ではわざわざ「委員会は、電気工事人などさらに高い周波数の電力施設に接近する職業的な被曝については詳細を研究しなかった」と明記していて、いかにも調査が不十分だ。これが、日本の新聞に掲載されると、どうしたわけか前述のような安全宣言ともとれる新聞見出しになり、「電磁波は安全」という印象を読む人に与えるのだ。
97年12月、大阪府門真市議会で電磁波の健康影響についての質問が行われた。門真市では、送電線からの電磁波で、ガンや白血病による死者が多発していると訴える声があり、新聞、雑誌でもたびたび取り上げられ、市民の不安が静かに広まっている。
質問に立った五味聖二議員は、「小児ガンの危険性がささやかれている中にもかかわらず、健康を脅かされている市内の保育園や保育所及び小中学校の子供達に対して、例え1mGであっても被害の可能性があるならば、危険性を回避する必要があるのではないでしょうか」と訴えた。
この真剣な問いかけに対しての答弁は、「WHOの基準(5G以下は生物学的影響が認められない)を越えていない」という電力会社のいつもの逃げ口上に加えて、「全米科学アカデミーが、電磁波がガンなど健康被害に結び付く因果関係は確認できなかった、と発表している」といったものだった。
果たして、答弁した門真市市長室長が、アカデミーの報告原文を読んで答えたのか、または、電力関係者からなにごとか吹き込まれて答えたのかは不明だが、あまりにも見事なデマゴギー的展開だと感じられないだろうか。いったい、こうした切り捨て方で市民の安全は守られるのだろうか。
日本では、水俣病、もんじゅ、薬害エイズの例をあげるまでもなく「危険とはいいきれない」ものは「たぶん安全だろう」という論調が目立つ。大新聞の「大本営発表」式の報道がそれを後押しする。これこそが、市民の視点からかけ離れた論理の根源だ。
これまで、一切行われていない電磁波の健康影響に関する疫学調査を明日にも日本でも行うこと、さらに、すでに危険な状態の地域には、送電線・発電所の撤去か住民の避難を行うだけの危険性と必要性が「たぶん」いや「間違いなく」ここにはある。
以上、拙著「電磁波がわかる本」(三笠書房より’97年4月刊行「知的生き方文庫」)に収録できなかった部分を中心にまとめました。日本各地の市民などの動き、アメリカをはじめとする世界各国での調査・研究の動きなど、詳細は、拙著をご参照ください。
Copyright (c) 1996-2012, TOMOYOSHI YAMAZAKI
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