F1テクノロジー 第2回「ダウンフォースとは」
99年11月7日更新

F1を見たことある人なら、誰でも「ダウンフォース」って言葉を聞いたことがあると思います。
F1解説者の今宮さんが、よく口にする言葉です。

【ダウンフォースとは何か?】
 「マシンの下方向にかかる力」。特に言うと「前後のタイヤにかかる下方向の力」。
 「ダウンフォースが大きいとコーナリングスピードが増す」。その反面「ダウンフォースが大きいとストレートスピードが落ちる」。
 これがダウンフォースによる影響。



【ダウンフォースが無かったら!】
 F1マシンの重量は、約500kg。軽自動車よりも軽い。軽自動車よりも軽いマシンが、時速300km以上で走るとどうなるか?
 路面状態が悪くて、ちょっとマシンが跳ねたりすると、最悪は、マシンが飛んだり、宙返りしたりするかも。最低でも、マシンが跳ねるからタイヤが路面に接せず、グリップ力低下。つまりコーナーリング速度が低下します。
 どんなにグリップ力がいいタイヤでも、路面に接しない限り、その力は発揮しません。
 だからこそ、ダウンフォースで、タイヤを路面に押さえつけるのです。


【ダウンフォースの代わりにマシン重量を増加させる!】
 マシン重量が500kgと軽いから、グリップ力が低下する。では、マシン重量を増加させるのはどうか?
 マシン重量が増加することは、重いから「加速が悪い」、「なかなか曲がらない」、「曲がったら元に戻らない」等、1つも良い事なし。だから、重量増加は絶対に×です。
 ちなみに、マシン重量は軽ければ軽いほど良い。
 しかし、F1のレギュレーションで、マシンの重量は最低約500kg(正式な数字は忘れた)必要。あんまり軽くすると、マシン強度が低下して、事故発生時に危険だからね。


【ダウンフォースは、どういう時に必要か?】
 特にダウンフォースが必要なケースは、高速で走っている時。
 高速でコーナを曲がる時、より大きな遠心力が働き、より大きなタイヤ・グリップが必要。だから、より大きなダウンフォースが必要。
 逆に、低速時は、高速時よりはダウンフォースが必要ではない。ましてや、低速時にダウンフォースが大きいとマシンの加速が鈍ってしまう。


【ダウンフォースは、どうやって発生するのか?】
 ダウンフォースは主に、エアロダイナミクス、つまり空気によって発生します。
 マシンの速度が上がれば、より大きな空気抵抗が発生します。つまり、マシン向かってくる風が、より大きくなるのです。
 このマシン前面から受ける風を利用して、ダウンフォースを発生させるのです。
 昔は、前面から受ける風は、ただの空気抵抗として、マシン速度を落とす嫌な存在でしかなかった。つまり空気の壁というのは、どうしても逃れられない物なのです。
 そこで、この空気を逆に利用できないだろうか? つまり、空気を利用して、より速いマシンを作ろうとしたのです。
 その利用方法が、ダウンフォースだったのです。
 というわけで、ダウンフォースを取り入れたマシン設計が始まったのでした。


 では、具体的にどのようにして、空気を利用してダウンフォースが発生するのか?
 これについては、次回で紹介します。

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