F1テクノロジー 第3回 「ウィング編(1)」
99年11月9日更新

ダウンフォース発生として、一番分かり易いのが、マシン前後にあるウィング。
つまり、フロントウィングとリアウィングの事。
ウィングの大きさ、角度により、ダウンフォースの大きさが変化します。

ダウンフォース ウィング下面の空気速度

「ウィング下面を通過する空気の速度を速くする事により、ダウンフォースが発生する」

図は、ウィング断面図です。
ウィング前面に当たった空気が後ろに流れる様子。

●ウィング前面に当たった空気は、ウィングの上面、下面に分かれます

●分かれた空気は、ウィングを通過して、ウィングの後ろで再び合流します

ここで、空気が進んだ距離に注目!
●ウィング上面、下面で、空気が通過した「距離」が異なります
●ウィング下面の距離の方が「長い」のだ!
●距離が異なるが、ウィング後ろに同じ時間に到着!
●と言うことは、上面、下面での空気の「速度が異なる」!
●下面の方が距離が長い → 「下面の空気の方が速度が速い」
●下面の方が速度が速い → 空気が速く流れる → 「下面の空気は、上面の空気より薄い」
●下面の方が空気薄い → 「下面の方が気圧が低い」(物理的法則)
●逆に言うと、「上面の方が下面より気圧が高い」

●気圧が高い上面の方が、下面を押さえつける。

●だから、ウィングを通過する空気により、ウィングは下方向に押さえつけられる。

●これがダウンフォースです。

『マシン速度が上がると、ダウンフォースも大』
 ウィングを通過する空気の速度が速いほど、ダウンフォースは大。
 つまり、マシン速度が上がるほど、ダウンフォースが大きくなります。
『ウィング両端の垂直な板:翼端板』
 ウィングの両端には、垂直な板:翼端板があります。
 ウィング下面の空気の速度が速くても、ウィング横から、それほど速くない空気が進入してくると、ダウンフォース効果が低下してしまう。
 だから、翼端板で横からの空気の進入を防ぎます。
 「翼端板」の絵は、「F1テクノロジー」のメインページにあります。
 ウィング下面の距離をより長くし、下面の空気の速度をより速くすると、ダウンフォースが増加します(空気抵抗も増加しますが)。

 だが、ウィング下面の距離を長くしすぎると、ウィング下面を通過する空気が、ウィングから剥離してしまいます(左図参照)。この場合、ウィング前面で分かれた空気がウィング後方で合流しないため、ダウンフォースは、発生しません。
 ほどほどって事ですね。


次回は、ウィングの角度によるダウンフォース発生法を紹介します。
コーナリング速度と、ストレート速度の関係についても、紹介します。

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