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【シャーシからダウンフォース】
シャーシからも、ウィングと同様に、ダウンフォースが発生します。 ウィングよりも、シャーシから得るダウンフォースの方が、各チーム、様々なアイディアがあって、面白い! |
【どうやって?】
シャーシも、ウィングと同じ方法で、ダウンフォースを発生します(第2回目その1より)。 ウィング下面の空気の速度を上げてダウンフォースを得たように、シャーシ下面の空気の速度を上げます。 では、どうやってシャーシ下面の空気の速度を上げるのか? シャーシを、ウィングと同じ形にするのです。 |
【ウィング・カー】
![]() シャーシをウィングと同じ形にする。これをウィング・カーと言います。 ウィングカーは、ダウンフォースを得るために、かなりの効果がありました。コーナリング速度も上がり、ラップタイムも格段に早くなりました。 また、最初にこれを取り入れたのは、ロータスだったと思いますが、後に各マシンとも、ウィングカーを真似たため、一躍、当時のマシントレンドになりました。 あまりにも上昇するコーナリング速度に、安全性され、現在ではウィング・カーは禁止です。 |
【フラット・ボトム】
![]() ウィング・カー廃止により、「シャーシ下面は平面でなければならない」と言うルールが成立。これを「フラット・ボトム」といいます。 ただし、マシン下面の全てが平らである必要はなく、「フロントタイヤ後」〜「リアタイヤ前」までの間が平面であればいいのです。 |
【新しいアイデア】
![]() エンジニアは、それでもシャーシからダウンフォースを得るように考えました。 フラットボトムでも「シャーシ下面の空気の速度を上げる」ためにどうすればいいか? そこで考えたのが、以下の2つです。 ●アイデア1: 『シャーシの後方から、たくさんの空気を抜き出す』 たくさんの空気が、後方から抜けると言う事は、シャーシ下面のフラットボトムにおける空気が、どんどん流れる。その結果、フラットボトムの空気の速度が上がるわけです。 このアイデアを実現化したパーツを『ディフューザー』と言います(上図、アンダーパネル後方を、斜めに跳ね上げている部分)。 ●アイデア2: 『シャーシ前方からたくさんの空気を入れる』 空気を、後方から出すだけでなく、前方からも積極的に空気を取り入れてあげます。 つまり、前方からたくさん入ってきた空気を、後方からたくさん抜き出す。 このアイデアを取り入れたのが、持ち上げ式のフロントノーズ(上図参照)であります。 |
【まとめると...、】
シャーシの前から大量の空気を入れて、シャーシの後ろから大量の空気を抜き出す! その結果、シャーシ下面(フラットボトム)の空気の流れが速くなります(空気が疎の状態)。 これはいわゆる、ウィングと同じ現象となり、ウィングと同様にダウンフォースが発生するのです。 |
【実生活の例で言うと...】
夏、部屋の中が暑くて風を取り入れたい場合。 部屋の窓を開けただけでは、なかなか風が入ってきません。 そこで、窓だけじゃなく玄関も開けてやると、部屋の中にうまく風が入ってきます。窓から玄関、または玄関から窓へと、風が通り抜ける事が出来るからです。 つまり、空気を入れる、そして空気の出口をきちんと整えれば、空気が流れるわけです。 |
【ウィングよりシャーシ!】
シャーシはF1マシンの中心で、エンジン、コクピット等が含まれた、絶対不可欠なモノ(絶対に省略できない)。 逆にウィングは、ダウンフォースを得るためだけに存在する、どちらかと言えば、オプション部品なようなもの。 必要不可欠なシャーシで、充分なダウンフォースを稼ぐ事ができるなら、ウィングは必要ない、またはウィングのサイズを最小限にできるのです。 |
【様々なデザイン、アイデア】
と言うわけで各チーム、シャーシから発生するダウンフォースより大きくしようと、いろいろと考えてくるわけです。そして、シャーシのデザインが変わり、マシンに個性が出てくるわけです。 シャーシの内部には、必ずにコクピット、エンジン、ラジエター、サスペンション等があります。これらを、シャーシ内部で効率的に配置して、シャーシの外側の空力デザインで、いかにダウンフォースを最大限に引き出すか? この辺が、F1デザイナー(設計者)の腕の見せどころであります。 |