Formula 1  1989

何万光年先もから届く光のように、F1世界に輝く星達の光は鋭い。
マクラーレンが1つの星座とすれば、
アラン・プロストとアイルトン・セナは、向かい合う2つの大きな星と言える。
この巨大な星を中心に、ありとあらゆる星を飲み込んだ集合体が、F1大宇宙である。

89年、この宇宙では、様々な事が起きた。

目に見えるスピードは300km。
しかし、瞬間の判断は、光よりも速く、
心の葛藤は、地球より重い。

これは1989年、F1全16戦、戦いの記録である。

フジテレビ 「F1総集編 1989」のオープニングより
● ドライバーズ・チャンピオン:    アラン・プロスト ●
● コンストラクターズ・チャンピオン: マクラーレン・ホンダ ●

NAエンジン元年。予備予選も復活。
亜久里(ザクスピード・ヤマハ)参戦! ピレリ・タイヤも復活。
この年のイモラから、セナ、プロストの本当の戦いが始まった。
互いのプライドをかけた戦い。そして、鈴鹿シケインでこの年、最大の事件が起こった。

【優勝回数】
1:A・セナ     6回
2:A・プロスト  4回
3:N・マンセル  2回
3:T・ブーツェン 2回
5:G・ベルガー  1回
5:A・ナニーニ  1回
【ポールポジション回数】
1: A・セナ   13回
2: A・プロスト  1回
3: R・パトレーゼ 1回
3: T・ブーツェン 1回
【ファステスト・ラップ】
1: A・プロスト     5回
2: A・セナ       3回
2: N・マンセル    3回
4: G・ベルガー    1回
4: R・パトレーゼ   1回
4: M・グージェルミン 1回
4: J・パーマー     1回
4: 中嶋悟        1回

第1戦 ブラジル :リオデジャネイロ  決勝 3/26

 フェラーリ、初のセミオートマをレース使用!
 パトレーゼ、F1最多の177戦出場達成。
 レーススタート。セナ、ベルガー、パトレーゼの3者が接触。ベルガーはリタイア。セナ2週遅れ。
 マンセル、16周目、パトレーゼを抜きトップ。
 マンセル、タイヤ交換でもたつき、プロスト、トップ。だがプロストはクラッチトラブルで、走りが鈍い。
 マンセル、走りに精彩を欠くプロストを抜き、トップでゴール。
【決勝】
1: N・マンセル(フェラーリ)
2: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
3: M・グージェルミン(マーチ・ジャッド)
4: J・ハーバート(ベネトン・フォード)
5: D・ワーウィック(アロウズ・フォード)
6: A・ナニーニ(ベネトン・フォード)
 FL: R・パトレーゼ
【予選】
1: A・セナ
2: R・パトレーゼ
3: G・ベルガー
4: T・ブーツェン
5: A・プロスト
6: N・マンセル

第2戦 サンマリノ :エンツォ・エ・ディノ・フェラーリ  イモラ   決勝 4/23

 イモラ・サーキット、正式に「ピエロ ラルディ フェラーリ」と命名。
 セナ、プロストに提案。「レース序盤で先陣争いを止め、スタートの1コーナーを先に入った者がレースの優先権を得、争いは他を引き離した終盤に行おう」。これがセナ、プロの間の紳士協定。
 レーススタート。セナがトップ。
 4周目、大事故。ベルガー、高速コーナー、時速250kmで壁に衝突。マシンが燃え、ベルガー気を失うも命は救われた。
 原因は左フロントタイヤ破損、脱落。
 レース再スタート。2ヒート制。今度はプロストがトップ。
 そこで、事件。再スタート1周目で、セナ、プロストを抜く。紳士協定が破られた。
 プロストのスピンもあり、セナはトップでゴール。
 レース後、プロスト、「約束が破られた」とコメント。
【決勝】
1: A・セナ(マクラーレン・ホンダ)
2: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
3: A・ナニーニ(ベネトン・フォード)
4: T・ブーツェン(ウィリアムズ・ルノー)
5: G・ワーウィック(アロウズ・フォード)
6: J・パーマー(ティレル・フォード)
 FL: A・プロスト
【予選】
1: A・セナ
2: A・プロスト
3: N・マンセル
4: R・パトレーゼ
5: G・ベルガー
6: T・ブーツェン

第3戦 モナコ :モンテカルロ  決勝 5/7

 ベルガー、オーストリアの病院を退院しモナコに表れるもレースは欠場。
 セナ、サンマリノの紳士協定について、プロストに謝罪する。
 中嶋、予選でリアウィング・サイズ違反。予選落ち。
 セナ、プロスト、テールツーノーズの争い。15周目、周回遅れにつかまる。
 セナは問題なく周回遅れを抜く。逆にプロスト、周回遅れのアルヌーを抜けない。プロストの元チームメイト、アルヌーが抜かせないのだ。ここでセナ、プロの差が開く! アルヌー、モナコを凡レースにした犯人といえよう。
 セナ、終盤、1、2速が壊れるも、プロストにバレルのがいやで、ピットにも伝えず。そして優勝。
【決勝】
1: A・セナ(マクラーレン・ホンダ)
2: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
3: S・モデナ(ブラバム・ジャッド)
4: A・カフィ(ダラーラ・フォード)
5: M・アルボレート(ティレル・フォード)
6: M・ブランドル(ブラバム・ジャッド)
 FL: A・プロスト
【予選】
1: A・セナ
2: A・プロスト
3: T・ブーツェン
4: M・ブランドル
5: N・マンセル
6: D・ワーウィック

第4戦 メキシコ :ロドリゲス  決勝 5/28

 ベルガー、レース復帰。
 右コーナの多いメキシコ。セナは左右のタイヤの堅さを変えた(左を堅め)。プロスト、左右同じ。
 スタート1周目で、2つのクラッシュ。赤旗中断。再スタート前、プロストですらトイレ?!
 セナのタイヤ選択があたり、セナの快勝。
【決勝】
1: A・セナ(マクラーレン・ホンダ)
2: R・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)
3: M・アルボレート(ティレル・フォード)
4: A・ナニーニ(ベネトン・フォード)
5: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
6: G・タルキーニ(AGS・フォード)
 FL: N・マンセル
【予選】
1: A・セナ
2: A・プロスト
3: N・マンセル
4: I・カペリ
5: R・パトレーゼ
6: G・ベルガー

総合ランキング途中経過
 セナ、3連勝!
 だが、次戦からセナには不運が訪れるのである。
【ドライバーズ・ランキング】
1: A・セナ   (27)3勝
2: A・プロスト (20)0勝
3: N・マンセル (9)
4: A・ナニーニ (8)
【コンストラクターズ・ランキング】
1: マクラーレン・ホンダ (47)
2: ベネトン・フォード  (11)
3: フェラーリ       (9)
3: ウィリアムズ・ルノー (9)

第5戦 アメリカ :フェニックス  決勝 6/4

 セナ、予選1位。これで34回目のポールポジション。
 ジム・クラークの記録を抜いて、歴代1位。
 レースでは、セナのエンジンがミスファイアでリタイア。原因はエンジンではなく、ビルを飛び交うパルス。
 プロスト、今季初優勝。
【決勝】
1: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
2: R・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)
3: E・チーバー(アロウズ・フォード)
4: C・ダナー(リアル・フォード)
5: J・ハーバート(ベネトン・フォード)
6: T・ブーツェン(ウィリアムズ・ルノー)
 FL: A・セナ
【予選】
1: A・セナ
2: A・プロスト
3: G・ベルガー
4: M・アルボレート
5: A・ナニーニ
6: N・ピケ

総合ランキング途中経過
 プロスト、チャンピオンシップでトップへ。
【ドライバーズ・ランキング】
1: A・プロスト   (29)
2: A・セナ     (27)
3: R・パトレーゼ (12)
4: N・マンセル  (9)
【コンストラクターズ・ランキング】
1: マクラーレン・ホンダ (56)
2: ウィリアムズ・ルノー (16)
3: ベネトン・フォード   (13)
4: フェラーリ        (9)

第6戦 カナダ :ジル・ヴィルヌーブ  モントリオール  決勝 6/18

 ポールはプロスト。セナのポール連続記録は8回。
 決勝は雨。スタート時は一時、雨が止むもレース中盤にまた雨。
 セナ、1周目にプロストを抜く。プロストはサスのトラブルでリタイア。
 雨でレースが混乱。トップのワーウィックを抜いて、セナ、再度トップ。
 ラスト2週、頑強なHONDAエンジンブロー。セナ、リタイア。
 T・ブーツェン、7年目、95戦目の初優勝。
【決勝】
1: T・ブーツェン(ウィリアムズ・ルノー)
2: R・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)
3: A・デ・チェザリス(ダラーラ・フォード)
4: N・ピケ(ロータス・ジャッド)
5: R・アルヌー(リジェ・フォード)
6: A・カフィ(ダラーラ・フォード)
 FL: J・パーマー
【予選】
1: A・プロスト
2: A・セナ
3: R・パトレーゼ
4: G・ベルガー
5: N・マンセル
6: T・ブーツェン

第7戦 フランス :ポールリカール  決勝 7/9

 電撃的な記者会見。
 プロスト、マクラーレンに入って6年。そのマクラーレンを離脱! 引退? プジョーと新チーム? ウィリアムズ入り?
 アレジ、ティレルからF1デビュー。
 スタート、グージェルミンのクラッシュで赤旗、再スタート。
 セナ、スタート直後、デフのトラブルでリタイア。
 プロスト、危なげなく優勝。
 マンセル、ピットスタートから2位。
【決勝】
1: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
2: N・マンセル(フェラーリ)
3: R・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)
4: J・アレジ(ティレル・フォード)
5: S・ヨハンソン(オニクス・フォード)
6: O・グルイヤール(リジェ・フォード)
 FL: M・グージェルミン
【予選】
1: A・プロスト
2: A・セナ
3: N・マンセル
4: A・ナニーニ
5: T・ブーツェン
6: G・ベルガー

第8戦 イギリス :シルバーストーン  決勝 7/16

 ベルガー、来年、マクラーレンへ移籍発表。
 マクラーレン、横置きギアボックスを導入するも、これが不調。
 レースでは、ベケッツコーナーで、セナのギアが抜け、荷重を失いコースアウトでリタイア。
 プロスト、タイヤ交換でもたつく。しかし、マンセルの追撃をかわして優勝!
【決勝】
1: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
2: N・マンセル(フェラーリ)
3: A・ナニーニ(ベネトン・フォード)
4: N・ピケ(ロータス・ジャッド)
5: P・マルティニ(ミナルディ・フォード)
6: L・ペレス・・サラ(ミナルディ・フォード)
 FL: N・マンセル
【予選】
1: A・セナ
2: A・プロスト
3: N・マンセル
4: G・ベルガー
5: R・パトレーゼ
6: M・グージェルミン

総合ランキング途中経過
 セナ、3連勝の後、まさかの4連続ノーポイント。
【ドライバーズ・ランキング】
1: A・プロスト   (47)
2: A・セナ     (27)
3: R・パトレーゼ (22)
4: N・マンセル  (21)
【コンストラクターズ・ランキング】
1: マクラーレン・ホンダ (74)
2: ウィリアムズ・ルノー (35)
3: フェラーリ       (21)
4: ベネトン・フォード   (17)

第9戦 西ドイツ :ホッケイハイム  決勝 7/30

 スタートでベルガーがトップに立つも1コーナーでセナに抜かれる。
 セナ、プロストのトップ争い。プロスト、タイヤ交換でやや時間がかかる。だが、セナのタイヤ交換はそれを上回る。何と23秒。
 このタイヤ交換でプロスト、トップへ。しかし、セナ、プロストとの差をジリジリつめ、テールツーノーズ。
 そして、ラスト3周。なんとプロスト、6速ギアを失う。失速したプロストを簡単に抜くセナ。4連続リタイアの後の優勝。
 レース前、セナの叔父でマネージャのアルマンドが亡くなった事もある、セナ、表彰台でシャンペンファイトなし。
 ベルガー、未だ完走なし。
【決勝】
1: A・セナ(マクラーレン・ホンダ)
2: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
3: N・マンセル(フェラーリ)
4: R・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)
5: N・ピケ(ロータス・ジャッド)
6: D・ワーウィック(アロウズ・フォード)
 FL: A・セナ
【予選】
1: A・セナ
2: A・プロスト
3: N・マンセル
4: G・ベルガー
5: R・パトレーゼ
6: T・ブーツェン

第10戦 ハンガリー :ハンガロリンク  ブタペスト  決勝 8/13

 マンセル、予選12番手だが、決勝直前のフリー走行では1位。
 スタート後、マンセル、徐々に順位を上げる。
 53周目、スタートからトップだったパトレーゼをセナが抜く。セナ、トップ。直後、パトレーゼ、リタイア。これでマンセル、2位。
 セナ、マンセルのバトル。
 セナ、周回遅れのヨハンソンを抜くのに躊躇。その隙にマンセル、セナを抜いてトップへ。
 マンセル、予選12位からの優勝!
【決勝】
1: N・マンセル(フェラーリ)
2: A・セナ(マクラーレン・ホンダ)
3: T・ブーツェン(ウィリアムズ・ルノー)
4: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
5: E・チーバー(アロウズ・フォード)
6: N・ピケ(ロータス・ジャッド)
 FL: N・マンセル
【予選】
1: R・パトレーゼ
2: A・セナ
3: A・カフィ
4: T・ブーツェン
5: A・プロスト
6: G・ベルガー

第11戦 ベルギー :スパ・フランコルシャン  決勝 8/27

 予選初日、雨。雨の中嶋8位。しかし予選2日目、雨止む。中嶋とピケ予選落ち。ロータス初の2台予選落ち。
 レースも雨。
 雨のセナ、スタートでトップに立つと危なげなく優勝。
 2位争いは、プロスト、マンセル。この時の1コーナーでのマンセルのライン取りは有名。毎回、大回りしてコーナーを通過。次の年からはコーナーのアウト側がコンクリート舗装される。結局、2位争いはプロストの勝利。
 HONDA、通算50勝達成。
【決勝】
1: A・セナ(マクラーレン・ホンダ)
2: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
3: N・マンセル(フェラーリ)
4: T・ブーツェン(ウィリアムズ・ルノー)
5: A・ナニーニ(ベネトン・フォード)
6: D・ワーウィック(アロウズ・フォード)
 FL: A・プロスト
【予選】
1: A・セナ
2: A・プロスト
3: G・ベルガー
4: T・ブーツェン
5: R・パトレーゼ
6: N・マンセル

総合ランキング途中経過
 プロストとセナの差は11点に縮まる。
【ドライバーズ・ランキング】
1: A・プロスト   (62)
2: A・セナ     (51)
3: N・マンセル   (38)
4: R・パトレーゼ  (25)
【コンストラクターズ・ランキング】
1: マクラーレン・ホンダ (113)
2: ウィリアムズ・ルノー (45)
3: フェラーリ       (38)
4: ベネトン・フォード   (19)

第12戦 イタリア :モンツァ  決勝 9/10

 レース前、プロスト、フェラーリ入り発表。年俸14億円。
 プロスト、フェラーリ入り発表のお陰でモンツァで大人気。フェラーリのパドックでマンセルと握手するシーンも。
 予選、セナ、プロストの2秒の差をつける。
 セナ、トップ快走!
 マンセル、来季のチームメイトのプロストに道を譲るシーンも。
 セナ、残り9周でラジエター故障でリタイア。モンツァの観客大歓喜、驚喜! モンツァでセナは敵である。
 プロスト優勝。
 表彰台でプロスト、優勝トロフィを観客に投げ与える。本来ならトロフィはチームのモノ。プロストとマクラーレンの間にトラブルがあることは一目瞭然。事実、プロスト、レース後にチーム批判。
 ベルガー、今期初ポイント。
【決勝】
1: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
2: G・ベルガー(フェラーリ)
3: T・ブーツェン(ウィリアムズ・ルノー)
4: R・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)
5: J・アレジ(ティレル・フォード)
6: M・ブランドル(ブラバム・ジャッド)
 FL: A・プロスト
【予選】
1: A・セナ
2: G・ベルガー
3: N・マンセル
4: A・プロスト
5: R・パトレーゼ
6: T・ブーツェン

第13戦 ポルトガル :エストリル  決勝 9/24

 プロスト、チーム批判の度が過ぎ問題となり謝罪する。
 ウィリアムズ、13戦目にしてやっと新車FW13登場。
 ベルガー、スタートでトップ。8周目、マンセル、セナを抜きフェラーリのワンツー。更に28周目、マンセル、ベルガーを抜いてトップ。
 マンセル、タイヤ交換でピットインでミス。所定位置を数m行き過ぎる。バックギアで戻る! ピットでのバックギアはレギュレーション違反。マンセル、コースに出るも失格裁定が下る。
 マンセルに失格を示す黒旗が出されるも、無視して走り続ける。セナの真後ろでバトルを続ける。
 そして、大事件!
 運命の49周目。マンセル、セナのインを強引にさし、接触。両者リタイア。とんでもない事件。失格のはずのマンセルがセナをレースから追い出した!
 セナ、荒れる。母国のマスコミですら話をしない。
 そして、ベルガー、今季初勝利。ヘルメットを脱いでウィニングラン。
【決勝】
1: G・ベルガー(フェラーリ)
2: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
3: S・ヨハンソン(オニクス・フォード)
4: A・ナニーニ(ベネトン・フォード)
5: P・マルティニ(ミナルディ・フォード)
6: J・パーマー(ティレル・フォード)
 FL: G・ベルガー
【予選】
1: A・セナ
2: G・ベルガー
3: N・マンセル
4: A・プロスト
5: P・マルティニ
6: R・パトレーゼ

総合ランキング途中経過
 プロスト、セナ、24点差。
 残りは3戦。セナ、絶望か?
【ドライバーズ・ランキング】
1: A・プロスト   (75)【77】
2: A・セナ     (51)
3: N・マンセル   (38)
4: R・パトレーゼ  (28)
【コンストラクターズ・ランキング】
1: マクラーレン・ホンダ (128)
2: フェラーリ       (53)
3: ウィリアムズ・ルノー (52)
4: ベネトン・フォード   (22)

第14戦 スペイン :へレス  決勝 10/1

 マンセル、ポルトガルの件でレース出場停止。
 プロスト、フェラーリ行きを発表後、チームからサポートされていないとチーム批判。プロストF1参戦150戦目。
 セナ、チャンピオン獲得のためには残り3戦全勝しか道はない!
 セナ、危なげなく優勝。
 ベルガー、エンジンから煙が出るも2位完走。
【決勝】
1: A・セナ(マクラーレン・ホンダ)
2: G・ベルガー(フェラーリ)
3: A・プロスト(マクラーレン・ホンダ)
4: J・アレジ(ティレル・フォード)
5: R・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)
6: P・アリオー(ローラ・ランボルギーニ)
 FL: A・セナ
【予選】
1: A・セナ
2: G・ベルガー
3: A・プロスト
4: P・マルティニ
5: P・アリオー
6: R・パトレーゼ

総合ランキング途中経過 【ドライバーズ・ランキング】
1: A・プロスト   (76)【81】
2: A・セナ     (60)
3: N・マンセル   (38)
4: R・パトレーゼ  (30)
【コンストラクターズ・ランキング】
1: マクラーレン・ホンダ (141)
2: フェラーリ       (59)
3: ウィリアムズ・ルノー (54)
4: ベネトン・フォード   (22)

第15戦 日本 :鈴鹿  決勝 10/22

 セナ、チャンピオンのためには優勝のみ。プロスト、ウィングを寝かせストレート速度を上げてセナの優勝を阻止する考え。
 スタート。プロスト、セナの前に出る! セナ、遅れる。
 タイヤ交換後、セナ、ファステストラップで、プロストとの差を縮めていく。残り30周。
 セナはコーナーで速い。プロストはストレートで速い。セナ、更に差を縮める。プロストはわかっていた。セナが仕掛けてくる場所を。コーナーの速いセナはシケインでくる!
 47周。運命の時。プロスト、セナの差は1秒もない。130R。シケイン手前。セナ、直前でブレーキ・バランスを修正して、ギリギリまでブレーキを遅らす。プロストのインに入った!
 インに入られたプロスト。だがSHUT THE DOOR。シケイン入口で接触。両者ストップ。
 セナ、オフィシャルに押してもらいエンジン再始動。レースに復帰。壊れたフロントウィングを交換。交換の間にトップに立ったナニーニを、プロストと接触したシケインで抜いてトップ。ゴール。
 だが、優勝したのはセナではなかった。ナニーニだった。
 セナ、プロストと接触後、シケインをショートカットしたとしてレース失格。この失格は正当なモノか? セナの敵はプロストだけではなかった。セナ、ここからFIAとの戦いが始まった。
【決勝】
1: A・ナニーニ(ベネトン・フォード)
2: R・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)
3: T・ブーツェン(ベネトン・フォード)
4: N・ピケ(ロータス・ジャッド)
5: M・ブランドル(ブラバム・ジャッド)
6: D・ワーウィック(アロウズ・フォード)
 FL: A・プロスト
【予選】
1: A・セナ
2: A・プロスト
3: G・ベルガー
4: N・マンセル
5: R・パトレーゼ
6: A・ナニーニ

総合ランキング途中経過
 セナのノーポイントで、プロスト、チャンピオン決定。
 マクラーレン、FIAにセナの失格に意義を申し立てた。これによりレース結果は保留。つまりチャンピオンも保留。
【ドライバーズ・ランキング】
1: A・プロスト   (76)【81】
2: A・セナ     (60)
3: N・マンセル   (38)
4: R・パトレーゼ  (36)
【コンストラクターズ・ランキング】
1: マクラーレン・ホンダ (141)
2: ウィリアムズ・ルノー (64)
3: フェラーリ       (59)
4: ベネトン・フォード   (31)

第16戦 オーストラリア :アデレード  決勝 11/5

 FIA、セナのシケイン不通過を議論せずに、セナが危険なドライバーとして、6ヶ月のレース出場禁止処分。
 マクラーレン、シケイン不通過を議論しない、つまり問題がすり替えられているとして講義。緊急時のシケイン不通過は過去にも例がある。マクラーレンの講義は正しいモノだが、FIAの権力には勝てない。
 セナ、FIAの権力に不服として引退すら考えるが、何とかレースに出場。ここで優勝、かつ鈴鹿の失格が覆ればチャンピオンはセナなのだ。
 決勝、大雨で。プロスト、大雨を理由にレース中止を訴える。中止であればセナの優勝はなし。鈴鹿の失格と関係無しに、チャンピオンはプロスト。
 しかし、レースはスタート。プロストは1周でレースを放棄。
 大雨のため、レース一時中断。レース再開後、セナ、周回遅れを抜く際に、周回遅れに接触、リタイア。この瞬間、プロストとのチャンピオンは確定。
 雨のため、レースはサバイバル・レース。その中、中嶋、ファステストラップを叩き出しての力走! 雨の中嶋! 3位のパトレーゼの1秒後ろまで迫るもミスファイアで抜けず4位完走。
【決勝】
1: T・ブーツェン(ウィリアムズ・ルノー)
2: A・ナニーニ(ベネトン・フォード)
3: R・パトレーゼ(ウィリアムズ・ルノー)
4: 中嶋悟(ロータス・ジャッド)
5: E・ピロ(ベネトン・フォード)
6: P・マルティニ(ミナルディ・フォード)
 FL: 中嶋悟
【予選】
1: A・セナ
2: A・プロスト
3: P・マルティニ
4: A・ナニーニ
5: T・ブーツェン
6: R・パトレーゼ

総合ランキング最終結果 【ドライバーズ・ランキング】
1: A・プロスト   (76)【81】
2: A・セナ      (60)
3: R・パトレーゼ  (40)
4: N・マンセル   (38)
5: T・ブーツェン  (37)
6: A・ナニーニ   (32)
7: G・ベルガー   (21)
8: N・ピケ      (12)
9: J・アレジ      (8)
10: D・ワーウィック  (7)
11: M・アルボレート  (6)
11: E・チーバー    (6)
11: S・ヨハンソン   (6)
14: J・ハーバート   (5)
14: P・マルティニ   (5)
16: M・グージェルミン (4)
16: A・デ・チェザリス (4)
16: S・モデナ      (4)
16: A・カフィ      (4)
16: M・ブランドル   (4)
21: C・ダナー      (3)
21: 中嶋悟        (3)
23: R・アルヌー     (2)
23: E・ピロ       (2)
23: J・パーマー     (2)
23: P・アリオー     (1)
27: O・グルイヤール  (1)
27: G・タルクィーニ  (1)
27: L・ペレス・サラ  (1)
【コンストラクターズ・ランキング】
1: マクラーレン・ホンダ (141)
2: ウィリアムズ・ルノー (64)
3: フェラーリ       (59)
4: ベネトン・フォード   (39)
5: ティレル・フォード   (16)
6: ロータス・ジャッド   (15)
7: アロウズ・フォード   (13)
8: ダラーラ・フォード   (8)
8: ブラバム・ジャッド   (8)
10: オニクス・フォード   (6)
10: ミナルディ・フォード  (6)
12: マーチ・ジャッド    (4)
13: リアル・フォード    (3)
13: リジェ・フォード     (3)
15: AGS・フォード     (1)
15: ローラ・ランボルギーニ (1)

89年、速く走ることが全ての男が政治の壁に突き当たり、蹴落とされようとしていた。
問題は、ルールにあるのではない。それを適応する人であり、方法である。
セナが正式に走れることになったのは、90年2月16日のことであった。



F1。
瞳眩きもの、眉秀でしもの達が駆け抜ける一瞬は、空にある星よりも鋭く、私の心を射抜く。
F1。
鮮やか色のガラス細工。目眩く白昼夢。迸るエクゾーストノート。全てがセクシー。
神と話して自分の道を進む。
自由自在。人の心をも動かす。
飛ぶように坂を登る巨大な星。
祈る。嘆く。高ぶる。平和。静寂。怒濤。
人間の営みだからこそF1は素晴らしい。
僕たちはレースと共に大人になった。

フジテレビ 「F1総集編 1989」 より

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