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地元の言葉というのは、
地元に住んでいては、どの言葉が方言なのか、なかなかわからないものです。 私も18歳の大学生の時に、地元の北九州から離れて、飯塚市(北九州から車で1時間)に住むようになって始めて、北九州の方言、北九弁がどのような言葉なのか分かるようになりました。 |
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北九弁とは、意外にも標準語に非常に近い言葉であります。
北九弁が標準語と大きく異なる部分は、「語尾」、「単語」です。 発音は標準語と大きく変わらなく、そのために標準語に近い言葉であると思われます。 私は今、横浜に住んでいるのですが、方言についての体験談を踏まえて説明していきます。 |
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【こまめて】
両替、つまり「くずして」の意味。 私は都内のJR売店(キオスク)にて、100円を差し出しながら「電話をかけたいので、こまめて下さい」と言ってしまった。 もちろん売店の人には通じない! 「電話をかけたいので、くずして下さい」って言いなおしましたね。 でも、「こまめて」も決して不適切な言葉じゃないと思うけどなぁ。 |
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【都市高(としこう)】
方言じゃないんやけど、ちょいと一言。 関東で、友人らとドライブする時に、高速道路に乗るか乗らないかを話し合っている際に、「都市高(都市高速道路)は・・・」と言ってしまう私。 しかし、しばらくして友人が、「トシコウって何?」。 私は、(都市高も知らないの?)って思ったが、よくよく考えてみると、関東では、「都市」じゃなく「首都」なんですね。 つまり、都市高速道路ではなく、首都高速道路だから、「首都高」って言うんです! |
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【卵のキナミ】
卵の真中の黄色い部分は何? それは、「キナミ」ですよね。 でも、これは関東では通じないんです(関東以外でもそうだろうけど)。 正式には、「卵のキミ」。漢字で書くと「黄味」。 漢字で説明されると、納得するけど、ついつい「キナミ」と読んでしまいます。 そう言えば、昔、黄色のことを「キナ」と言っていたなぁ〜。 |
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【俺だん、】
これ、知っている人、間違いなく北九州の人あるね。北九州でしか使わないあるね。 「俺達」のことを「俺だん、」って言う。「俺だん、さぁ〜、さっき、こっちから来たんやったっけ?」等と使う。 この言葉だけは、北九弁を使うまいと意識していても、無意識に出てしまう恐い言葉だと思う。 |
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【〜しちゃらん】
語尾をあげて、「これ、貸しちゃらん」って言うと、「これ、貸してもらえないかな?」の意味なんやけど、知らない人が聞くと、「これ、貸してあげない!」と思うらしい。 確かに「これ、貸しちゃらん?(語尾をあげて)」の問に、「貸しちゃらん!(語尾下げて)」と答えてしまう。この場合の後者は、「貸してあげない!」の意味やもんね。 |
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【〜げな】
隠れ北九弁に値する。 「〜なんて」と言う意味。「九州出身やけ、スキーげな、せんバイ」は、「九州出身だから、スキーなんて、しないよ」と言う意味である。 この「げな」を使ったクイズで北九州出身者か判断することができる。 Q:「お前、【げな】って言葉、使う?」 A:「え、【げな】? 【げな】げな使わんバイ!」 と答えてしまうと、あなた北九州の人、間違いないあるね。 ちなみにAの文の意味は「え、【げな】?【げな】なんて、使わないよ」となるのだが、この「なんて」の部分に既に「げな」と言っているところから、「こいつは、北九州の人やな!」と判断できるわけです(私も以前、みごとにひっかかりました)。 |
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【なおす】
もっとも多く勘違いされる言葉の1つ。「かたづける」、「整理整頓する」という意味。 横浜の人と話す時に、「この報告書、なおしときましょうか?」と私が言うと、「えっ、それ報告書、まだ誤字があるの?」という答えが返ってきてしまう。この場合の「なおす」は、「かたづける」、つまり「この報告書、かたづけましょうか?」の事である。 そもそも「なおす」には、「修理する」「元の形、状態に戻す」という意味があるので、その意味を拡張して、「かたづける」という意味も含ませているのだが、横浜の人はわかってくれない! |
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【〜と】
語尾に付ける言葉。「知らんと(知らない)」、「買ったと(買った)」、そして疑問形として「しとったと?(していたのですか?)」、「せんと?(しないのですか?)」として使う。 |
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【〜っちゃ!】
語尾に付ける言葉。例えをあげると「知らんっちゃ!(知らないよ)」、「そおっちゃ!(そうよ)」、「違うっちゃ!(違うよ)」、「うるせぇっちゃ!(うるさいよ)」、「むずかしいっちゃ!(むずかしいよ)」等など。 大学入学当時は、よく「それは、(うる星やつらの)ラムちゃん言葉か!」と勘違いされたものだ。 |
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【〜バイ】
「〜っちゃ!」と同じく、語尾に付ける言葉。「そうバイ(そうです)」、「これ、俺のバイ(これ、俺のモノです)」、「違うバイ(ちがうよ)」、「知らんバイ(知らないよ)」等である。また、この「バイ」は熊本でも使うことがあるらしい。 中学の時に、東京からの転校生に、「一体、何が2倍あるの?」って言われたことがある。 |
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【とっとーと】
「と」が並んだだけの文字配列のようにみえるが、きちんと意味を持っている。タモリが「笑っていいとも」のTV放送で使ったこともある言葉。意味は「取っている」。語尾を上げて読めば「取っているのですか?」という疑問形になる。 「この席、とっとーと(この席、取っている、つまりキープしている)」、「この席、とっとーと?(この席、取っていますか?)」。 |
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【きききー】
サルの叫びではありません。きちんと意味があります。「きききー」を漢字で書くと「聞き来(き)いー」、つまり「聞きに来て下さい」という意味です。 |
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【はわく】
小学生の頃、学校の先生も使っていたと思う。掃除の時間に先生が「きちんとはわきなさい!」と言っていたと思う。「掃く(はく)」という意味。しかし、これが方言と知った時はショックだった! |
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【ごっつ】
関西弁の「ごっつ(無茶苦茶)」とは全然意味が違う。「同じ」という意味。「おれとお前はごっつやん(背が同じ)」、「福岡から東京行くのも韓国に行くのも距離はごっつ(同じ)」というように使う。「ごっつ」の由来は「五分五分(ごぶごぶ)」で「五分(ごぶ)」が2つで「ごっツゥー」から「ごっつ」だと思われる。 また、「ごっつ」を続けて「ごっつごっつ」と言えば、強調されて「まったく同じ」という意味になる。 |
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【〜け、】
接続詞の手前に置く言葉。「〜から」と同じである。「この本、読んだけ、貸そうか?」、「これ知らんけ、勉強せないけん!」等として使う。 ちなみに、博多では「〜けん、」と言い、飯塚の筑豊弁では「〜きぃ、」と言う。つまり、「この本、読んだけん、貸そうか?」「この本、読んだきぃ、貸そうか?」と言う。 |
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【すかん!(好かん)】
「嫌い」、「好きでない」の意味。標準語のように思える言葉なのに、わかってもらえない言葉。 しかし、「好き」を語尾活用させれば「好かん」になる訳で、これが方言であることが信じられない。いちいち「好きじゃない」とか、長々しい言葉を使うよりも、「すかん!」の一言で自分の気持ちを表現できる方が楽と思う。 |
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【たう】
「届く」の事。 海で、より沖まで行ったりすると、「そこって、足たう?」と言う具合に使う。つまり「そこ、足届く?」のこと。また、電球、蛍光燈を交換する時、「手、たうかな?」とも使う。ちなみに「たう」の反対は、「たわん」。「そこ、足たう(届く)?」「いや、たわん(届かない)」と使う。 また、この言葉は北九州と山口県でしか使われていないらしく、福岡県外はもとより、福岡市でも意味が通じない。 |
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【はぶてる】
「いじける」、「機嫌がわるい」のこと。「そんなん、はぶてんなよぉ」つまり、「そんなに、いじけないでよ!」のこと。 これも、「たう」と同じく北九州と山口県の言葉であり、福岡市、福岡県外では通じない。 |
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【しゃーしー】
「めんどくさい」、「うるさい」という意味。忙しい(せわしい)を縮めた言葉と思う。 「あ〜、布団をなおす(かたづける)の、しゃーしー(めんどくさい)」とか、「お前、しゃーしーっちゃ!(うるさいぞ)」という具合に使う。これは慣れるとこれほど、便利な言葉はないというくらい便利である。 |
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【ビビンコ】
ビビンバ、クッパのことではない。「肩車」の事。子供の頃は、よく父親に「ビビンコしてぇ〜」って言っとった。 |
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【ジャッジ】
審判の事ではない。スポーツウェア、つまり「ジャージ」の事。しかし、このジャッジ、北九州でも私の住んでいる若松だけの言葉のようで、しかも最近ではほとんど使われることが無いのが寂しい。 ちなみに、足首の締まっているスポーツウェアが「ジャッジ」、締まっていないのが「ジャージ」であると、私は大学生時代まで信じていた。 |
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【じゃいけん、し、し、し、...】
じゃいけん(じゃんけん)をした後、勝負がつかない時によく「あいこでしょ!」って言うが、これを省略して「し!」って言うのだ。いちいち、「あいこでしょ!」とか長い言葉よりも「し!」の方が短いし、断然楽と思う。 |
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【インドォ〜じんのくぅ〜ろんぼ!】
子供の遊びの「だるまさんがころんだ」をこう言って遊んでいた。「インド人の黒んぼ」と言っている。現在では、完璧に差別用語として放送禁止用語だ。 |
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【でたん(でったん)】
「無茶苦茶」という意味。「無茶苦茶、すごい」、「かなり、すごい」を「でたん、すげぇ〜」と言う。「でたん」は「でたらめ」を縮めた言葉である。 ちなみに八幡東区は、「でたん」と言い、八幡西区では「でったん」と言う事が多い。また、私の住む若松では「でたん」は言わず「そーちゃん」と言う。つまり「そーちゃん、すげぇ〜」と言う。「そうとう」を縮めた言葉である。 |
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【ちかっぱ】
「無茶苦茶」の事である。北九州の「でたん」にあたる。「力一杯」を省略した言葉である。「ちかっぱ、すげぇ〜」等と使う。 |
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【ばってん】
博多弁として一番有名ではないだろうか? しかし、最近での使用頻度は低い。「この本、読んだばってん、貸そうか?」等と使う(と思う)。 |
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【〜かいなぁ】
最初に聞いた時、冗談でこんなふざけた言葉を使っているのかと思った。疑問形として使う。「俺、お前にお金を返したかいなぁ〜」(俺、お前にお金返したかな?)というように使う。 |
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【しんしゃった】
これもまた、「〜かいなぁ」に続き、ふざけたような言葉である。語尾に使われる。「あいつは、先に行きんしゃったけん、お前も急いで行かな(行かないと)!」等と使う。 |
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【ばさら】
筑豊版の「無茶苦茶」である。「ばさら、すげぇ〜」と言う。「ばさら」というと、数回前のオリンピックで鈴木大地の「バサロール・スタート」が流行ったが、私は大学時代に、この「ばさら」という言葉を聞いた時、この言葉と勘違いしたものだ。 |
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【わや】
私の大好きな言葉である。そーとー気に入っている。意味は、「無茶苦茶」。ただし、北九州の「でたん」とは使われ方が異なる。「お前、わやじゃのぉ〜」(お前、無茶苦茶するな)、「わや言うの〜」(無茶苦茶、無理なこと言うなぁ)という具合で使われる。 たった2文字の言葉であるにも関わらず、奥が深い言葉であるため、気に入っている。 |