その3
〜 劇場公開版 Air/まごころを君に 〜
(97年7月劇場公開)
99年9月1日

エヴァは、この映画(Air/まごころを君に)で完結する。

 TVシリーズで、納得に行かなかったのが弐拾伍(25)話、弐拾六(26)話の2つ。
この映画では、この2つがリメイクされた。
 弐拾伍話をリメイクしたのが、「25話 Air」。
弐拾六話をリメイクしたのが、「26話 まごころを君に」ということになる。

【エヴァ初号機はリリスのコピー】
 カヲルは言った。「エヴァ・シリーズ、アダムより産まれし、人間にとって忌むべき存在」。
 エヴァ・シリーズは、アダムから産まれた。しかし、初号機だけは、「リリス」から産まれたものだった。
 キール・ローレンツらが、しばしば、初号機の安否を気にしていたが、初号機だけが、リリスの唯一のコピーだったからである。

 しかし、リリスから産まれたことが意味することは?

【ゲンドウの目論んでいた事、それは禁断の「アダムとリリスの融合」。そして...】
 「キール・ローレンツ率いるゼーレ」の考える「人類補完計画」と、ゲンドウの計画とは、明らかに異なっていた。
 そして、ゲンドウの計画がやっと判明した。
 それは、ゲンドウが保持している「アダム(胎児)」と「リリス」。これらを融合させるという、禁断の技を用いて、人類補完計画を実行する。

 そして、その補完により、2004年に死んだ最愛なる「ユイ」に再会する事が、ゲンドウの真の目的だったのだ(ユイの肉体は消えたが、魂だけはエヴァ初号機の中に存在する)。

【ゼーレの「人類補完計画」】
 キール・ローレンツの率いるゼーレが計画している「人類補完計画」とは。

 それは、リリスとエヴァ・シリーズ、そしてロンギヌスの槍を利用した人類補完計画。
 しかし、ゼーレがリリスを持っていない今、ゼーレは、リリスのコピーであるエヴァ初号機を用いて、補完計画を実施しようとしていた。

 地上ではゼーレの人類補完計画、それと地下ではゲンドウの人類補完計画。この2つの補完が同時に行なわれようとしていた。

【レイの魂は、リリスのモノ】
 ゲンドウは、アダムとリリスを融合させようとした。そして、十字架にはりつけられたリリスの前にいた。隣にはレイもいた。
 ゲンドウ、レイ、リリス。この3人から、アダムとリリスの融合が始まる。

 そして、ゲンドウの右の拳を、レイの腹に潜り込ませた(この時にレイは、ATフィールドを開放させ、肉体を開放していたため、ゲンドウの拳がレイの腹の中に潜り込んでいった)
 レイの腹の中にアダムがいるのか?(後で、間違いとわかる)

 しかし、ゲンドウの計画が実行される直前、レイは、ゲンドウを裏切った!
 レイは、腹の中のゲンドウの拳を切り落とし、ゲンドウを無視し、リリスの前に進んだ。

 レイは、リリスに言った。「ただいま」。

 リリスは、レイに答えた。「おかえりなさい」。そして、レイはリリスに吸収されるようにしてリリスの体内に消えていった。

 つまり、レイはリリスと一体だったのだ。レイの魂は、リリスのモノだったのだ(肉体はユイのもの)。そして、魂が戻ったリリスは復活した!
 十字架から体を引き離し、動き出したのだ!

 リリスが復活した時、地上ではシンジの乗るエヴァ初号機と、その他、複数のエヴァ・シリーズによる人類補完計画が始まっていた。人類補完計画、つまりサードインパクトが始まっていた。

 そんな時、レイの顔を持ったリリスが地上に姿を表した。

【生命の種、知恵の種、そして二つの実の融合...人類補完計画の発動】
 我々人類が持っているのが「知恵の種」(科学)。
 そして、使徒の持つものは「生命の種」(S2機関)。
 そして、この両方を持つ生命体、ヒトを完成させる。
 知恵の種、生命の種のどちらも持つ生命体の誕生、それこそが、人類補完計画の真の姿。

 知恵の種と生命の種を融合させ、エヴァ初号機に植え付けて、生命の樹を誕生させる。それが、ゼーレの人類補完計画のあらすじ。

 そして、人類補完計画が発動した!

【セントラルドグマは、リリスの卵だった】
 人類補完計画の発動と共に、箱根に埋まっていた、セントラルドグマが動き出した。真っ黒な巨大な球体、それがセントラルドグマの真の姿だった。

 そして、このセントラルドグマの正体は、リリスの卵だった。リリスとは、生命の源。そのリリスの卵が動き出したということは、新しい生命の誕生か?

 ちなみに、人類と使徒は、この卵から産まれた。

【リリスの卵、それは「黒き月」】
 冬月は言った。「黒き月」と。セントラルドグマ、つまりリリスの卵は「黒き月」とも言われる。
 ということは、「白き月」も存在するのか?

【ガフの部屋が開く】
 ガフの部屋が開いた。
 それは、終局の扉の開放、世界の始まりを意味する。つまりは、終わりと始まり。

 ガフの部屋の影響で、人々は固体生命の形を維持できなくなった。 全ての人間の肉体がとけてゆく。
 それは人間、誰しもが持っているATフィールド、つまり心の壁が解き放たれ、肉体が姿を消し、魂だけの存在となった証しである。
 魂と魂を隔てていた物質は無くなり、あらゆる魂はたった1つの空間に存在するようになった。これまで他人同士であった人類は、一つの生命体へと変化していったのだ。

 これが、以前にミサトの言っていた「出来損ないの群体である人類を、完全なる単体の生命体へ進化させる」ことであった。

 そして、人類補完計画は、完遂したかに見えた。

【碇シンジの望むもの】
 単体の生命体になった人類。これから、「生命の樹」、「リリスの卵」より、新しい生命体が誕生する。
 そして、生命の樹の中心、エヴァ初号機を操縦しているのが主人公「碇シンジ」。

 これから誕生する人類は、生命の樹の決断、つまりはシンジの決断、希望によって、決定されるようだ。

 人間同士の付合いが苦手、人嫌いであったシンジ。そのシンジが考える人類の理想とは? 

 自分は必要な人間か? 他人から傷つくことに恐れる、そんな事ばかり考えているシンジ。 人間の姿を無くして、全人類の心を一つにして、自分と他人の区別の無い「完全なる単体の生命体」になってしまった方が、自分の心を傷つく事もない。他人を意識しないでもいい。

 しかし、シンジの望んだことは、今まで通り、人の形を残したままの人類。これで、また他人を意識し、自分の心が傷つくこともあるかもしれない。しかし、シンジは、いつもの人類に会いたかった。

【現代のアダムとイブ】
 そして、何もかもが終わった。

 地上には、シンジ、そして、アスカだけが残された。この二人が、これからの人類のアダムとイブになるのだろうか?

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