第5回目: 速さと共に増えるモノ
99年6月22日
 タイムマシン、未来へ行く方法、過去へ行く方法、その理論は既に発見されてます。前回までに説明しました。しかし、その理論が実現可能であるか? というとまだまだ問題があります。その問題を今回、説明します。

 未来へ行くも、過去へ戻るも、光の速さと同じくらい、またはそれ以上の速度を実現しなければなりません。しかし、現在では人間の乗物の最大の速度は、光速の1%程度なのです。

 だけど、文明が発達ゆけば、その速度を更に上げることが出来るかもしれない。実際に、21世紀半ば頃にはソーラパワーを利用して、光速の約半分の速度が実現可能という事も噂もあります。

 ここで、タイムマシンを目指し、スピードをどんどんと上げてゆくとします。ロケットよりもヤマトよりも速いスピード! 更にスピードを上げる事が出来る。そんな時、ある現象が発生するのです。この現象こそが、タイムマシンの妨げとなるのです。
 それは、それは、スピードが上がるほど、あるモノが増えるのです。どんどんと...。 それは、それは、【質量】なのです。スピードが上がるほど、質量が増すのです。小さな虫であろうと、人であろうと、重量級の船であろうと、スピードを上げれば、その物体の質量が増えてゆくのです。

 同じ人が、地上で立っている場合と、速い飛行機に乗っている場合。速い飛行機に乗る人の体重の方が、重いのです。と言うことは、体重計で量った自分の体重が、予想よりも重かった時、「ふんっ、地球の自転がちょいと速すぎたから重くなっただけさっ!」って思ってもいいわけです。(実際は、そんなことないけど)

 質量が重たい物体と、軽い物体、どちらのスピードを上げることが難しいか? 重い方に決まっています。つまり、スピードが上がるほど、質量が重くなる。重くなるから、なかなかスピードが上がらない。それでも、スピードを上げるためには、より大きな力、パワーが必要となります。
 と言う訳で、「スピードをどんどん上げて光速に近づき、未来へタイムスリップしよう!」と思っても、スピード増加に伴って質量も増加する。そのため、より大きなパワーが必要となってくる。だから、なかなか光速に近づけないのです。

 *)おまけ: 増加する質量を式で表してみます。
     ・増加する質量(重さ)    M kg
     ・速度が0の時の質量    M’kg
     ・光の速さ(光速)      C m/s(30万 km/s)
     ・動いている速度      V m/s
  とすると、次のようになります。(この式を理解しなくて、全然大丈夫です。続けて読んで下さい)
    M=M’/普i1−(V/C)*(V/C))
 それでも、更にスピードを上げてゆくとします。そして、光速になった時! その物体の質量はどのくらいになると思いますか? 光速の時の質量。その質量、なんと無限大! つまり、世の中で最も重い物体になるのですっ!
 光速で移動する時の質量は、世の中の如何なる物体も(虫であろうと、人であろうと、重量級の船であろうと)、無限大の重さになるのです。
 さて、光速から更に速度を上げようとする。光速を越えようとする。つまり、過去にタイムスリップしようとするわけです(第3回参照)。
 しかし、ちょっと待って下さい! 光速の時に、既に質量は無限大の重さとなっている。無限大の重さになっている物体を、更にスピードアップさせられるか?

 無限の重さの物体を更に動かせる力、それは無限大の力でしょう。そのような力が世の中に存在するか? 無限大の重さのものを動かせる無限大の力...。存在しないでしょう。

 つまり、光速を越えることは不可能なのです。無限大の重さになった光速より、速く移動することは出来ないのです。不可能なのです。
 光速を越えられない、つまりは過去へタイムスリップ出来ないのです。過去へタイムスリップする理論(光速を越える速さを実現する事)はわかっているのに、それが実現できない。速度と増加と共に増す質量のおかげで、光速を越える事ができず、過去へタイムスリップする事は出来ないのです。
 ということは、このページの題になっている「タイムマシンは簡単さ!」って言うのは嘘なのか? 私は、嘘を言うためにこの第5回まで引張って来たのか?
 いや、決してそんなことありません! 光速を越える技は、世の中に存在しない訳ではないのです! その技とは? 一体、過去へタイムスリップする事は出来るのか? その事は次回に説明しようと思います。 それでは、また!

HOMEへ