中段の構え

  構えというのは、形ではない。構えは状態である。どういう状態かは、すぐに攻撃できる状態、すぐに守れる状態のどちらかである。攻撃の構えといわれる上段は、竹刀を振り上げた状態をとることによってすぐに攻撃できる状態の現われである。下段の構えはどのような打突も摺り上げて防ぐことができる状態の現われである。その中で、中段の構えは、攻守一体の状態として基本となっている。したがって、構えた時点ですぐに打突できる状態でなければ構えとはいえない。上級者も初心者も身体的スピードはあまり変わらない。ただ、無駄が多いところが違うのである。素振りさえ速ければ、構えから打突のスピードだけで決まる。差し面などをする人がいるが、差し面で勝つことができるのではなく先の先をとることができるから勝つことができるのである。差し面ができなくても先の先がとれれば十分勝つことができる。自分の技を磨くというのは技の無駄を省き構えからの打突の速さを磨くことである。

p.s.差し面など上級者が使う技があるがこれらは面うちの無駄を省いて極めた技であるべきである。無駄を省いて、より素振りを速く、より前への出方を速く、より抜けるのを速くすることによって差し面は完成するのである。したがって大きく振る面も差し面も当たる瞬間は同じ形でなければならない。この形がおなじでなければその差し面はまやかしの技となり、その後の剣道の上達を妨げるものになるであろう。

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