1993.2.21〜2.24
予定外の出会い
|
僕等は内陸部にあるメクネスという町に向かうため、列車に乗り込んだ。列車のコンパートメントの中には、髭をかなり伸ばしたアラブの青年や、ジュラバと呼ばれるフード付きの服をきた白髪混じりの老人達と一緒になり、まさにアラブの「におい」をいうものを体験できた。その中にアラビア語、英語、日本語、スペイン語を話す、とても気さくなアラブの青年に出会い長時間に及ぶ列車の旅も会話をして楽しくすごすことができた。彼はサイードという26歳の青年で、僕等の向かうメクネスの町の先にあるフェズという町で暮らしていると語った。今からメクエスに向かう旨を伝えると彼はメクネスよりフェズの町のほうが大きく歴史的な建造物も多く、観光するにはフェズの方がよいと彼は語った。彼は日本の知識も豊富なようで、フェズの町は日本で言えば京都みたいなところであると説明してくれた。「是非、フェズへ来たら?僕が案内するよ。」彼は僕等を誘ってくれた。その言葉に甘えて、僕等は列車を乗り越すことに決めた。予定外の出会い。それが旅の楽しみでもある。僕らを乗せた列車は、夜中過ぎにようやくフェズの駅へ滑り込んだ。 |
![]() |
電車のなかで知り合ったミスターサイードと記念撮影。 彼は自称26歳とのこと。26歳には見えないよ。けっこうサバよんでるんじゃない?この後、彼の家でモロッコ料理をご馳走になりました。彼がかけてるサングラスをもらいました。 |
メディナ見学
|
フェズのホテルでころがりこむように短い眠りについた翌朝、彼は町の中にあるメディナと呼ばれる城壁に囲まれた所を案内してくれた。そこはまるで、迷路のように道が入り組んでおり、一人で歩こうものなら、確実に迷子になってしまうようなところであった。日本でいうならばまさにアメ横の商店街のようで、日用品から衣料、雑貨、お土産屋が軒を並べていた。人が行き交う雑踏がなんとなく音楽のような、ある一定のリズムを刻みながら聞こえてくるような感じがした。ここでは、子供までが土産物やたばこを落ち歩いて道行く人に売り込む商売をしているのには驚かされた。また、彼は14世紀に建造された王宮にも案内してくれた。そこは、彼が言っていたように「古都京都」を思わせる歴史を感じさせる場所であった。その後、彼の家に招待されモロッコ料理をご馳走になった。決しておいしいものではなっかたが旅の経験としては良い思い出となった。帰り際に、「記念にこのサングラスと君の持っているものと交換しないか。」と言われたので僕はもっていたTシャツを手渡してそれと交換した。そのサングラスはその後のモッロコの旅で強い日差しを防ぐのに重宝した。 |
![]() |
これが、メディナと呼ばれる商店街の入り口です。 |
物々交換?
|
このモロッコでの旅で最も印象に残ったのは、この地では今でも物々交換が日常の商取引として機能しているという点であった。とある土産屋ではアラブの主人に「君の持っている何かと交換しよう。」と言われ、私が為替レート計算用に常に持ち歩いていたキャノン製の電卓と交換にアフリカの風景が鮮やかに描かれている小物入れを手に入れた。特に日本の製品はハイクオリティだといって信頼を得ており、しきりに交換を要求されるのである。モロッコに行く際には、日本製のものを持っていくと、意外なものと交換できるかもしれない。 |
![]() |
ある、お土産屋さんで記念撮影。この後、土産屋のご主人が、ミントティーをサービスしてくれました。めちゃめちゃ、甘かったのを今でも覚えてます。 |
定価がない?!
|
もう一つ印象にあるのは、「物」に定価という概念がないということである 。つまり、すべての物質が売り手と買い手との間でとり行われる直接交渉しだいで値段が決まるという点である。特に土産屋の主人は日本人だとわかると必ず高い値をふっかけてくる。こちらが「高い」と言って買わない素振りを見せると、「いくらなら買うんだ」と言って電卓を出してくる。この値段なら買ってもいいとこちらが電卓の数字を打つ。ここから値段交渉が始まる。お互いの間を電卓が行き交い、その値段ならOKということになって、握手をして契約成立ということになる。こんな事は日本ではもちろん、ヨーロッパを旅していた時でさえなっかたので、とても貴重な体験となった。こちらも旅の予算には限りがあるので、値段交渉には自然と力が入ってしまう。 ヨーロッパから船でわずか2時間半。モロッコでは日本では体験できないような異文化に接することができて、とても印象に残る旅となった。異次元の世界に迷い込んだわずかな期間であったが、是非もう一度訪れてみたい、そんな気分にさせてくれる、そんな国であった。 |
|
ホテルで一休みの図。 |
|
お土産屋で買った敷物の上で、アラーの神に礼拝をしている図。隣の彼はパンツ姿です。ミスターサイードからもらったサングラスも似合ってるでしょ? |
![]() |
モロッコとのお別れの図。ジブラルタル海峡上の船上で撮影。 海に沈みゆく夕日がとてもきれいでした。グッバイ・ミスター・サイード!! |
End of Morocco
▲ミスターサイード ▲メディナ ▲土産屋にて ▲ホテルで一休み ▲礼拝 ▲ジブラルタル海峡
| TOP |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|||||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|||||||||
![]() |
![]() |
![]() |
||||||||
![]() |
![]() |
|||||||||
![]() |
![]() |