3.ツーリングの準備ツーリングに出かける際に必要なものは、安全・快適に旅をするための装備と下準備だ。これを怠るとつまらない苦労をしたり、予想外の出費を覚悟しなければならないことになる。これからあげるものは、ツーリングのための準備の中でも基礎中の基礎と思ってもらいたい。実際にツーリングに出かけ、一緒に走るメンバーや旅先で知りあったライダーの装備や話を参考に、より自分に合った準備が出来るよう学んで欲しい。ここであげた項目は巻末の付録に表にしてあるので実際のツーリングの準備のときのチェックシートとして利用して欲しい。◆バイク点検これから自分と荷物を運んでもらうバイクは事前に充分な点検を行いたい。ところで、「ネンオシャ チエブク トウバシメ」という呪文をご存知だろうか。これは始業前点検項目の頭文字をつづったものだ。「燃料、オイル、車輪、チェーン、ブレーキ、クラッチ&クーラント、灯火系、バッテリー、ネジ締め」となる。これらの項目が正常なら殆ど問題など起こらないだろう。ところが、普段通勤にしか使わないバイクは 少々クーラント(冷却水)が減っていようがミッションオイルが減っていようが、そこそこ走ってしまう。つまり、普段問題がないからと言って安心してはいけないということだ。普段なにも問題がないバイクでもツーリングのような連続高速走行をすると、いきなりエンジン不調に陥り、運が悪ければバイクが廃車どころか自分の命まで保証の限りではなくなってしまう。それを避けるには、しっかりとした事前のバイク点検が必須となるわけだ。ここでは、普段問題なく走っているバイクでツーリングに出かけることを前提とした、簡単な点検をピックアップした。例えば数ヶ月ぶりに動かすバイクでは、さらに各部の点検が必要となるが、ここではとくに記載しない。そんな場合は、ロングツーリングの前にバイク屋さんで一通り点検調整してもらい、半日程度のショートツーリングをこなすのが無難だろう。それでは、それぞれの点検項目を説明していこう。

・エンジンオイル

エンジンが動く基本はエンジンオイルである。昔の人は良く言ったもので「油断大敵」とは正に書いて字のごとくである。4サイクルの場合はオイルが規定量入っているか、劣化していないかのチェックをしよう。4サイクルでも多かれ少なかれエンジンオイルは減耗するので、油量は規定量の上限辺りまで入っていることが望ましいだろう。また、特に消費量が多いエンジンの場合には予備のオイルの持参も考えよう。

2サイクルの場合はミッションオイルと混合オイルが規定量入っていることを確認しよう。2サイクルのミッションオイルはエンジンが正常であれば殆ど減ることはないので、この点検の時に減っていたら要注意だ。出発前に修理が出来ればいいが、そうでない場合はツーリング先でまめにチェックしよう。

混合オイルは走り方と走る距離に応じて減ってくるのでツーリング先でも常に注意しておこう。乗り慣れたバイクであれば、消費量もわかっているだろうからツーリングの距離に合わせて予備を用意しよう。

・クーラント規定量まで入っているか確認する。とくに夏は命取りになりやすいので見落とさないようにしたい。また、冬に普段より寒い地域に行く場合はクーラントが凍りつかないように低温対応のクーラントに替えたり、通常より濃い目にするなどの処置をしておきたい。・バッテリー液ツーリング当日に出かけようと思ったらエンジンが始動しないということが無いように規定量あるか確認しておこう。本来、比重も確認したいところだが一般にはそれほど神経質になる必要はないだろう。ただし、アイドリング時にヘッドライトが極端に暗いとか、バッテリー内部に泡が立っている等の症状がある場合はバイク屋さんで点検してもらおう。・チェーンクリアランスが正常か確認しよう。チェーンのたるみが大きすぎるとチェーン脱落など非常に危険なので必ず点検したい。また、チェーンの引き過ぎは燃費や乗り心地の悪化、チェーンの寿命を縮めるなど良いことがないばかりか、最悪の場合チェーン断裂で足を怪我してしまう危険もあるので注意しよう。

チェーンは外気にさらされたまま常に過酷な状況で働くパーツなので、油切れにならないよう注意しておこう。特に雨天走行の後は注意が必要だ。走行距離が300kmを越えるツーリングでは必ずチェーンルーブかそれに代わる潤滑油を携行したい。オフ走行の場合はさらに短い距離でも注油する必要があろう。

きちんと調整しても、異音が出る場合はチェーン及びスプロケットの寿命の可能性がある。こんな場合はバイク屋さんに相談したうえで交換を考えよう。

バイクがシャフトドライブの場合はギヤオイルの確認をしておこう。通常はそれほど温度が上昇しないベベルギヤのオイルも連続高速走行では相当な温度まで上昇する事を知っておきたい。

・タイヤゴム質が劣化していないか、亀裂はないか、タイヤの溝は充分あるか、空気圧は正常か確認しよう。ツーリングでは普段なら避ける雨天のライディングも避けられないし、知らない道を走るわけだからあらゆる状況に対応する必要がある。ゴム質が劣化したタイヤは濡れた路面で極端にグリップが低下してしまう場合があるので注意したい。また、空気圧は積載する荷物や人数に合わせて調整しておこう。点検時に極端に空気圧が低下している場合はパンクかバルブのエア漏れが考えられるので入念にチェックしておこう。・ブレーキパッド普段よりも積載量の多いツーリングではブレーキの負担も大きい。また、雨天の走行もあるのでブレーキには十分な注意を払いたい。ディスクブレーキの場合は簡単にパッド残量が見えるので確認も簡単だろう。ドラムブレーキの場合はカム駆動部の根元についている矢印を目安にシュー残量を確認しよう。最近はブレーキパッドにも色々な種類が発売されている。中にはサーキットのような高速からの急制動に重点をおいたパッドもあり、雨の日には制動距離が予想以上に延びてしまうものもある。長距離のツーリングの場合には、懐が許せばブレーキパッドをツーリング向けのものに交換するのもより安全を確保する方法だ。・ブレーキ/クラッチフルードリザーブタンクの点検窓やケースの上から目視で規定量入っているか点検する。特に、ブレーキフルードの汚れがひどい場合には交換したほうが良いだろう。この点検の時に油面が下限まで下がっているようならブレーキパッドやクラッチプレートの摩耗の可能性があるので注意しよう。・灯火系各部の灯火が正常に点灯するか確認する。ウインカーやヘッドライトの異常はライダーも気づきやすいが、テールランプ周りは気がつきにくい。テールポジションランプやブレーキランプが正常に点灯しないと非常に危険なので通常の操作で点灯することを必ず確認しよう。・各部のネジの増し締め実は増し締めも重要だが、一度ネジを緩めておくことも重要なチェックポイント。ツーリングでは十分な工具を携行するわけにはいかないので、固着してしまったネジを緩めるのは一苦労となる。それを未然に防ぐために、携行する予定の工具で緩められるように一度ネジを回しておく。勿論、携行した工具で十分な締めつけが出来ないようでは役不足。あくまで、ネジが固着していないか確認しておくための作業だ。最も注意しておきたいのはリアホイールのアクスルナットとチェーンクリアランス調整のボルトとロックナットである。これは車載工具で出来るか一度試しておいたほうが無難だろう。航空便でバイクを送る場合はコンテナに積む際に緩める必要のあるハンドル周りのネジやバッテリー端子が外せるかなどを点検しておこう。オフ車の場合も転倒でのダメージを最小限に食い止めるためにハンドル周りのネジの締めつけ調整をしておこう。・ガソリンリザーブタンクの確認通常は殆ど使用しないリサーブタンクも旅先では使用することが多い。バイクのリザーブタンクはその構造上タンク内の錆や異物等がつまり易く、いざというときに役に立たない場合がある。それが人里はなれた場所だったら大変な苦労をすることになる。そこで、リザーブが正常に使えるかどうか確認しておくわけだ。コックをリザーブ位置に切り替えて10分位走っても問題なければそれでOK。リザーブのガスラインは正常だ。・各部の注油可動部分が雨にさらされるバイクでは日ごろの注油が重要だ。ブレーキ/クラッチレバーのヒンジやワイヤー、ブレーキペダル等は日ごろから油切れが発生していないかこまめに点検する習慣を身に付けよう。注油をしてやることで、不要な疲労やパーツの摩耗を防ぐことが出来る。

忘れがちなのはリアサスペンションリンクのグリスだ。最近のものはシールがしっかりしていて頻繁な点検は必要ないが、初期動作で堅い感じがしたりストローク中に異音が発生する場合は要注意。そのまま乗り続けるとバイクを傷めるだけではなく、自分自身の腰を痛めてしまう可能性も高い。

 

◆装備快適に楽しくツーリングをこなせるかは装備によるところも多いにあるといえる。たとえば、雨の中を走るのならきちんとした雨具をもっているかどうかでその後の大変さがまるで異なる。ブーツカバーがないばかりに、翌日の晴れたツーリングでも濡れたブーツをはく羽目になったりすることも在るのである。ここでは快適にツーリングをこなすための最低限の装備から、余裕があれば持っていきたい装備をピックアップしてみた。これらを参考に必要な装備を用意し、実際のツーリング前にバイクに積載して走ってみて問題ないか確認しよう。重心の変化に敏感なバイクに 大量の荷物を積載する場合は、できる限り重心を低く積載しぐらぐらさせないことが肝要だ。最も確実な方法は、バイク専用のハードケースをマウントすることだが、排気量の小さいバイクにはあまり適さない。ソフトタイプのサイドバッグはその点手軽で使用しやすい。

○必須装備

・運転免許証:絶対必要

・現金:絶対必要

・キャッシュカード

・クレジットカード:手持ちが不足したときに便利

・健康保険証:出来れば使いたくはないが(最悪コピーでも可)

・自動車登録証:フェリーなどの乗船には必要な場合有り

・自動車任意保険証:出来れば使いたくはないがすぐに連絡出来るように

・予約チケット/宿泊クーポン券:折角の予約を台無しにしないように

・緊急時連絡先表示:タンクバックなどに明記した紙を入れておこう

・ロードマップ:ジックリ予習しよう

・バンダナ:なんにでも使える

・雨具:カッパ/レイングローブ/ブーツカバー

・筆記用具/メモ用紙

・ナイフ:缶切りやドライバーなどがセットになったアーミーナイフが最適

・着替え:下着/上着/短パンなど季節や行き先に合わせて

・洗面用具:男性の場合はひげ剃り、女性の場合は化粧品も忘れずに

・工具:車載工具+α/パンク修理キット/チェーンオイル/ガムテープ/針がね

・ビニール袋:防水/バケツ等にも応用可

・ポケットティッシュ

・救急用品/医薬品:消毒液/絆創膏/解熱鎮痛剤/正露丸etc.持病の薬も忘れずに

○快適装備/もしもの時の装備・携帯ラジオ:明日の天気など情報収集に利用したい キャンプ主体なら必須・カメラ:思い出を残す美しく撮りたいならやはり一眼レフ、軽量優先ならレンズつきフィルム。最近ではデジタルカメラを持っていくのもその場で見られて面白い。・無線機/携帯電話:ツーリング中の連絡や緊急連絡に無線機は出来るだけ小さいものが良い。アマチュア無線の場合はツーリング先のレピーターの周波数を確認しておこう。山奥では携帯電話は役に立たない 事を忘れずに。・ワックス/曇り止め材:ヘルメットの視界確保に

・方位磁石:人里はなれた所へ出かける場合は是非用意したい一品

・スペアパーツ:バルブ/レバーetc.

・ロープ:オフ車の必須装備?

・滑車:オフ車の必須装備?

○夏の装備・扇子:日本の夏を楽しむエッセンス?

・サングラス:余裕があればスモークシールドとクリアシールドでもいい

・帽子

・ひえひえシート/保冷材:熱射病対策。うなじ辺りを冷やすと効果的。

・日焼け止めクリーム

○冬の装備・オーバーパンツ

・インナーグローブ

・使い捨てカイロ

・襟巻き:冷気の侵入を極力さけよう

○キャンプの装備・テント有名メーカーのテントがやはり無難。少々かさばるがドーム型のテントのほうが天候に左右されず使いやすい。テントの大きさは荷物の分も考えた大きさを選ぶこと。・シュラフよほどのことが無いかぎり3シーズン用+シュラフカバーで充分。・マットコストパフォーマンスではウレタンマットが優れているが、ウレタンマットよりも空気マットの方が使用感/保温性とも良い。・ヘッドライト/懐中電灯両手がフリーになるヘッドライトがお奨め。電池があるか確認する。・ランタンロウソクタイプは小さくて良いが暗いし臭い。かさばることを覚悟するならガスタイプのものが明るくて良い。重さを気にしなければ乾電池の蛍光灯も良い。・バーナー赤ガソリンが使用できるものがベスト。ガスならEPIが一般的。・コッフェルアルミよりもステンレスかチタンのものを用意したい。・ビーチサンダル1泊程度であればブーツだけでも我慢できるが、テントを出入りする際、ブーツの脱着は予想以上に不便。冬場は軽い運動靴が最適。・デイパック(小さく畳めるもの)テントを張った後の買いだしに便利。ミラーにぶら下げるのも一手だが、安全性を考慮すればデイパックで背負うほうが好ましい。・蚊取り線香持ち歩き用のものがベスト。最悪でも虫よけスプレーを用意しよう。・洗濯ロープ/洗濯ばさみ洗濯物だけでなく食器やシュラフを干すのにも使える。・虫刺され薬:眠れない夜にならないように
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