4.ツーリングの服装身に付ける装備は外界と自分の体を遮断する唯一の手段である。これは、車で言うボディに相当するものだから重要視したい。各アイテムにはそれぞれの目的があり、やはり機能を優先して選びたいが、ツーリングでは人前でも恥ずかしくない位の清潔さと全体のコーディネートにも気を付けたい。○ヘルメット・ヘルメットの重要性ヘルメットは、人間の最も大事な頭部を保護する重要な装備である。頭部が時速30km/hでコンクリートの壁にぶつかれば、即死か 運が良くても後遺症を引きずることになる。このように、非常に衝撃に弱い頭部を保護するヘルメットは安全性を最優先で選択したい。各メーカーから販売されている各種ヘルメットにも頭部の保護に関する基準があり、その代表的試験規格として日本工業規格の「JIS-A〜C種」やSNELL財団の「SNELL85,90,95」などがある。ツーリングで使用する場合には、やはり安全性が高いとされる「JIS-C種」または「SNELL規格」にパスしたものを選択したい。・ヘルメットの種類ヘルメットを大別すれば「お椀型」「ジェット型」「フルフェイス型」の3種に大別できる。お椀型は、簡単に脱着ができるので買い物の時などには重宝するが、その形状から耳後部から後頭部辺りの保護機能は期待できないため、先に述べた「JIS-C種」や「SNELL規格」をパスするものはない(もしもあったらメーカーさんごめんなさい)。それに対し「ジェット型」や「フルフェイス型」は顎関節までを帽体で覆うため安全性は高いと言える。高速道路などを頻繁に利用するツーリングユースを考えればやはり、「ジェット型」か「フルフェイス型」を選択したい。

「ジェット型」の最大のメリットは、顎部の保護体(チンガード)がないから、気軽に飲み物を飲んだり、おしゃべりしたりできることである。むき出しになった顔面を保護するために、ヘルメット自体にシールドが付いたものや、ヘルメットとは別にゴーグル等を装着するタイプがある。この辺りは好みの問題だが、はね石や虫との衝突から顔を守る装備を欠かさない事が重要だろう。また、「ジェット型」は顎部を保護する機能がないので、顔面を下にして路面を滑走した場合には、大きなダメージを受ける可能性が高いことも知っておこう。

「フルフェイス型」は紹介したヘルメットの中では最も安全性に優れるタイプと言える。オートバイレース等で使用されるヘルメットが専ら「フルフェイス型」であることからも、その安全性が容易に理解してもらえるだろう。高速道路を多く利用する場合には「フルフェイス型」を選択したい。安全性が高い事もあるが、風の巻き込みも少なく、結果的に疲労しにくいというメリットがある。ただし、「フルフェイス型」は気軽に飲み物を飲んだりできないし、コンビニなどでは フルフェイスを被ったまま入店する事を禁じたところもあるので「ジェット型」に比較すると若干煩わしい面もある。

・各種機能夏の暑さをしのぐためには、ヘルメット内の換気が重要になる。最近のヘルメットは換気機能が充実したものが多く発売されているので購入時には是非検討しよう。また、内装の脱着が可能であれば、手軽に内装の洗濯ができ、清潔に保つことができるのでありがたい。ただし、フィット感はヘルメット一体式のほうが良いこともあるので、店頭で実際に被って選びたい。

メガネを使用する場合、内部のパッドの形状によってはメガネが掛けられないものもあるので必ず試着してから購入しよう。

○ジャケット/パンツ・ジャケットとパンツの重要性ジャケットやパンツには「保温機能」「動きやすさ」「保護機能」の3つの機能が求められる。「保温機能」や「動きやすさ」は疲労を軽減するためであるが、それは事故を起こさないために重要な条件だと考えて欲しい。一方「保護機能」は、いざ事故を起こした場合に、ダメージをいかに軽減できるかという重要な条件である。ツーリングではこれらの機能がうまくバランスしているもを揃えたい。・材質の特性「保護機能」に関しては、やはり革製品が最も優れている。革自体の耐摩擦性はいかなる繊維よりも優れていると言っても過言ではない。この特徴を充分に生かすには優れた縫製技術が必要であり、その点からすれば やはり実績のある老舗メーカーの物がしっかりしていて長持ちするようだ。革製品は「保護機能」の面では非常に優れているが、「保温機能」「動きやすさ」の面からすれば充分とは言い難い部分も多い。革は通気性が無い分、保温性は優れているように思われがちだが、革自体が熱を通し易いため 思いのほか保温性が低い。そこで、内装に保温性の優れた材質を用いて機能を充実させたり、逆にベンチレーション機能を強化したり、メッシュの革を使用するなどして 通気性を良くしたものもあるので選択するときの参考にしたい。また、革製品は繊維製品に比べ重いため、自分の体にフィットしない物はその重さだけでも疲労が増してしまうので、充分吟味して購入したい。

一方、繊維製品はその軽さとコーティング技術による快適性が最も大きな特徴である。特にウィンタージャケットなどは保温性と通気性を両立させながらさらに軽量で動きやすいものも数多く開発されている。「保護機能」では革製品に若干劣るものの、パッドを内蔵することにより安全性を高めた物も数多くあるので購入時に検討したい。さらに、最近では防水性の高いコーティング(ゴアテックスやエントラントがその代表)を施すことにより多少の雨ならばレインウェアを必要としないものも出回っているので購入するときに検討するのもいいだろう。

・ツナギとセパレート高速走行を前提とするならやはりツナギタイプのものが適している。しかし、食事やトイレの時には煩わしい思いをするのは間違いない。やはりロングツーリングでは オールマイティなセパレートタイプがお奨めと言える。セパレートタイプと言っても色々で、チャックでつなぐといわゆる「ツナギ」のようになるタイプもあれば、パンツとジャケットが完全に別物という場合もある。どちらにしても、暑さ、寒さに充分対応できるものを自分のツーリングスタイルに合わせて揃えればいい。

セパレートタイプで注意したいのは、ライディングフォームをとったときに背中が出てしまわないこと。見た目にも格好悪いが、それよりも、ジャケットとしての機能を充分果たしていないわけだから注意したい。

・選ぶときの注意点重要なことは、運転の邪魔にならないこと。各種の操作でバイクに引っ掛からないよう、パンツや袖の裾が大きく拡がってないものを選びたい。襟元もキッチリとしたものを選ぶようにしよう。裾や襟元がばたつくと、どんなに厚着をしていても冷たい空気が侵入し、保温効果が極端に低下する。また、全体的にばたつきの少ないもの(勿論動きに支障の無い程度で)のほうが疲労は少ない。よく高速でジャケットの背中をヨットの帆の様に膨らませて走り去っていくバイクを見かけるが、あんな状態だと、向かい風に対抗するために相当の体力を消耗するだろうし、振られる体を支持するために余計な所に力を入れる必要があることが、容易に想像できる。パンツはライディングフォームで膝関節や股関節の部分がきつく絞まらない物を選ぼう。長時間同じ体勢を強いられるバイクではちょっとした無理が後になって大きな疲労につながってしまうので気を配りたい。また、パンツのまた下丈は普段のズボンより長めにしよう。バイクに乗ったときは膝を曲げた状態になるからだ。○シューズ・シューズの重要性バイクに乗るとき、足は色々な仕事をこなさなければならない。ブレーキやギヤチェンジは勿論、体重移動、バイクを支えるスタンド、人間のサスペンションと想像以上に忙しい。また、シューズはアクシデントのダメージを受けやすい足首の関節を守る機能を発揮しなければならない。これらの条件を満たすために、おのずとバイクに適したシューズが必要になる。・目的に合わせたシューズ選び単純にライディング時の機能面だけを考えれば操作面、安全面共ライディングブーツが最も適している。しかし、ツーリングでは町中を散策したり、時には軽いハイキングをこなしたりしなければならないし、観光地などでは着脱する機会も多い。この辺りを考慮してシューズの選択をしたい。また、パンツとシューズのコーディネートも重要だろう。革パンに運動靴では、どうにも形容のしようがない。ただし、オフ走行を前提とした場合は、やはりオフ専用ブーツが必須だ。なにはともあれ怪我をしないことが優先だ。

最近ではカジュアルに履く事のできるライディングシュースも豊富に出回っているので、自分に合ったものを選ぼう。

・選ぶときの注意点足首のくるぶしを保護できることが大前提だ。アクシデントでの保護も勿論だが、通常の運転でステップなどにちょっとぶつけた時 痛い思いをしなくても済む。ソールはある程度 強度のあるものを選ぼう。土踏まずでステップに立ったとき、靴が簡単に「ヘの字」になるようでは強度不足と考えたほうがいい。素足のままで 長い時間ステップに立つことが難しいように、ロングツーリングではソールの強度が直接 疲労に結びつく。逆に、つま先はペダルタッチが判る程度の柔軟性が欲しい。頻繁に歩く場合には、ソールが親指の付け根辺りから曲がるような物を選ぶと歩きやすい。

オフの場合は、基本的にタンク底を選ぼう。モトクロス用の平底だと、雨の林道でひどい目に遭うこと間違い無しだ。

シューズを足に固定する方法はなんでもいい(人によって色々蘊蓄があるので参考にしよう)。自分の好きな(使いやすいと思う)ものを選べばいいが、キッチリ履いたときにかかとがしっかりホールドされることと、つま先に余裕があることがポイントだ。

○グローブ・グローブの重要性さすがに、真冬にグローブをしていないライダーを見かけることはないが、夏になるとノーグローブのライダーをよく見かける。あれは非常に危険だ思って欲しい。素手だと、スリ抜けなどでちょっと物にぶつけり 立ちゴケしただけで、思わぬ怪我をしてしまう。運転に支障のない擦り傷程度ならいいが、手のひらの皮が大きくむけたり、指を骨折してしまってはバイクの運転どころでは無くなってしまう。もしものことを考えるならば、是非グローブを着用したい。・保温性と通気性冬に使用するグローブは保温性が第一条件だろう。最近はゴアテックスを使用したレイン兼用の防寒グローブも多く出回っているので、それを選ぶのもいい。保温性を保つために、5本指タイプではなく3本指タイプや親指以外は別れていないものも見かける(確かに温かい)が、自分のライディングスタイルに合わない(普段のレバー操作とは異なってしまう)ものは選択しないほうが無難だろう。

夏用グローブは涼しさと保護性のバランスを考えて選びたい。真夏のツーリングでは手のひらからの放熱だけでも、暑さが随分違ってくるので、通気性の良いものを選ぼう。保護機能が高いのは やはり革製だが、メッシュ加工を施したものでも繊維のグローブに比べて通気性に劣る。その点、安全性と通気性がうまくバランスしているのは、オフ用グローブだ。部分的にプロテクションパッドを装着しながら、繊維の通気性を取り入れている。最近、それに習ってオン用の布製(不織布が多いようだ)グローブも多く出回るようになった。

・選ぶときの注意点まず、握ったときに指先に少しだけ余裕があること。指先に余裕がないと、ロングツーリングでは必ず指先が痛くなる。それぞれの指の長さは、メーカーや各モデルによって異なっている。自分の手にうまくフィットするか、手を動かしても変にずれたりしないかなどを確認して購入しよう。次に、指先の感覚がある程度わかること。クラッチやブレーキなどのタッチ、ウインカーやホーンの確実な操作を妨げない物を選びたい(冬用ではそうもいかないが)。最後に、色落ちの少ないもの。と言っても、これは買って使ってみないとその実力はわからない。経験的には、黒や赤などの原色を使用しているもは色落ちしやすい傾向があるようだ。革製品の染料が皮膚に染み込むと、なかなとれないので注意したい。○レインウェア・レインウェアの重要性雨に濡れてしまうと、体力の消耗は激しい。また、べたべたしたウェアーは不快なため、精神的ストレスも重なってくる。もともと、雨のライディングは危険な状況なのに、そのうえ精神的なストレスを溜めながら体力を消耗すれば、事故を起こす可能性も極めて高い。それを避けるために 快適に雨のライディングをこなせるだけの機能をもったレインウェアを揃えておきたい。レインウェアに要求される機能は「防水性」「通気性」「保温性」の3つだ。・防水性と通気性防水性と通気性は相反する特性だが、近年のコーティング技術により随分改善された。80年代に普及したゴアテックスやエントラントなどはその代表的なコーティング技術といえる。これらの技術で、より快適なレインウェアーを手に入れることができるようになったが、コスト的にはまだ一般のレインウェアー(ビニール性のもの)より高く、価格にしておよそ1.5〜3倍といったところだろう。懐が許せばこれらのレインウェアーを用意したいが、実際には使用する状況によるところも大きい。例えば、冬ならさほど汗をかくこともないから通気性に関してはあまり神経質になる必要はない。ところが、暑いエンジンを抱えながら走る夏の場合は、やはりこれらのレインウェアーの効果は大きい。だた、ビニールのレインウェアーでも、ベンチレーションがしっかりしたものであれば通気効果が期待できる。・保温性体温より温度の低い雨に濡れるわけだから、保温性も重要なポイントだ。レインウェアーは、かさばらないように1枚の薄いシートで作られているから、素材そのものの保温性はあまり期待できない。レインウェアーの場合、保温の上で重要なのは表面の撥水性となる。撥水することで、レインウェアーを流れる雨に熱を奪われない(雨粒と接する面積を小さくする、表面の気化熱を減らす)ようにするわけだ。夏のツーリングではそれほど気にならないが、冬のツーリングでは撥水効果により保温性に大きな差が出ることになる。

 

・選ぶときの注意点ある程度余裕のある大きさを選ぶこと。冬のライディングウェアーの上からでも着込めるような大きさが目安となる。余裕がない物を使用すると、レインウェアーを無理に引っ張ることになり、縫製や接着された部分が痛みやすく、水漏れの原因となる。さらに、バイクの運転に支障がないよう、ズボンや袖の裾はキッチリと閉められるようになっていることも重要だ。

縫製されたレインウェアーの場合、股間の縫製が集中した部分の防水対策が充分が確認しよう。最近の縫製部の防水シールは随分良くなったが、それでも、ビニールの接着にはかなわないようだ。やはり縫製部には無理な引っ張りを与えないことが長持ちさせるコツといえる。

畳んだときの大きさもレインウェアーを選ぶうえで大きなポイントといえる。いくら防水性が高くても、かさばってタンクバックに入らないようではツーリングに持って行く気にはならないだろう。本来、ツーリングに持っていくには軽量でコンパクトな物が理想であるが、総じて、超軽量なものは、非常に薄い素材を使用していたり、丈を短くして軽量化していたりするので注意しよう。

ズボンの裾はチャック等で、大きく開くものが良い。レインウェアーは、ツーリングの最中に突然使用することになるから、靴やブーツを履いたまま着用できることが望ましい。

レインウェアーにも「ツナギ型」と「セパレート型」があるが、ツーリングで使用するならズバリ「セパレート型」がお奨めだ。チャックの処理の難しい「ツナギ型」は防水性も良くないし、着脱も煩わしい。

・その他の小物雨のライディングでは専用のグローブを用意したい。革のグローブを濡らしてしまうと油分が抜けて耐久性が低下してしまうし、革で無くても多かれ少なかれダメージを受ける。ショップではグローブカバーが売られているが、雨の中でグローブを着脱しているとどうしても濡れてしまうし、グローブカバーを着けるとバイクの操作もしにくくなってしまうのでお奨めできない。雨用グローブには合成皮革やウエットスーツの素材でできた専用のものが適している。

ブーツカバーも是非用意したい小物の一つだろう。シューズを濡らしてしまうと、旅先で乾かすのは難しいから、できるだけシューズを雨から守りたい。長時間のライディングが前提なら、底の付いたフルカバーのものがいい。靴底のないものより水の浸入が少なく防水性も高い。
 

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