photo 206![]() そのまま土佐立川駅で寝たが、 夜中に車で人が来て話し声とエンジン音で起こされたり、 早朝にジョギングの人の足音で起こされたり、 降り込んできた雨しぶきで服が湿ったり、 さんざんな一晩だった。これまでで最悪の寝床だった。 |
photo 207![]() 今日こそ瓶ヶ森林道を走るべく県道55を東に。 田んぼと小川が織りなす素朴で美しい風景が続く。 |
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途中で小学校の廃屋があった。中には「掃除をまじめにしよう!」と書かれた黒板。 こういう現役をしのばせる遺物って、歴史を感じさせてたまらんなぁ かつて子供たちがこの建物の中で座って授業を受けてた風景が浮かぶ。 |
photo 210![]() 四国でよくある時間帯通行止め。 毎時10分間だけ通行可、あとの50分間は通行止。 交通整理の兄ちゃんと話したりして、こういう時間もまた良し。 |
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四国カルストに向かう。9年前にはじめて来て
ファンタジー世界のような広大な景色に感激したところ。 9年ぶりで楽しみだなぁと走ってるうちに雲の中に入って、四国カルストは真っ白だった。ガックシ |
photo 213![]() 何日か前に徳島の山道を走ってて、「ふるさとふれあい市場」 みたいな のぼりが道沿いに立ってて気になってたん。 カーブを抜けたら小さな小屋があり、じいちゃんばあちゃん3人がいた。そこがその市場だったみたい。 「あっ」と思って横目に見ながらブレーキをかけたが間に合わず、通り過ぎた。 おじいちゃんと目があっておじいちゃんが会釈してくれた。 「どうしよう、Uターンして戻ろうか。でも野菜だったら調理できないし、 果物は置いてないだろうし・・まあいいか。」と再加速して通り過ぎてしまった。 でも目が合って会釈までされて止まりかけながら、そのまま加速して去ってしまったのが すごく悪いことをしたような気がして・・ 立ち寄っとけばよかったと、ずっと悔やんでる。 俺、はんぺんをかぶって腰をまげて歩く、田舎の小さなおばあちゃんに弱いんだよ・・・ 畑や田で農作業してるのを見るたび、心の中で「がんばれ!」と応援してる。 |
photo 214![]() 石鎚スカイラインを登ってるうちにまた雲が出てきた。 面河渓で『民宿 素泊まり1泊1000円』 の看板がちらっと見えた。 「お、安い!2日間風呂に入ってないし、林道はまた雲がかかってるぽいし、今日はここに泊まろうかな」 と思いながらも、通りすぎてしまった。 それからずーっと通り過ぎたのを悔やんでた。 「紀伊半島でも四国でも、なにもない田舎の山村に小さな民宿があって、客が入ってるのか気になってたんだよな。 実際に泊まってみるいいチャンスだったんじゃないか。 あんなけ安くしてるってのは、お客がいなくてがんばって安くしたんだろうな。 このまま去れば、ふるさと市場のときみたいに後悔し続けることになるんじゃないか。 今から戻って泊まろうかな。でもまだ明るいしなぁ・・」 とうじうじ考えながら走ってた。 |
photo 215![]() その横で腕立てふせをしてるおっさんがいた。 すげえ!徒歩でリヤカーひいて旅してるのか!こんな長く急な山道を登って! もう少し先に広々とした駐車場やトイレがあるのに、 わざわざ道の途中の待避帯にテント設置してるのがマニアックですてき! 心の中でがんばれよーと応援したった。 林道入口の土小屋まで来たら、あたり一面真っ白。 肝心の瓶ヶ森林道も少し走ってみたが何も見えない。 「よし、戻ってあの1000円の民宿に泊まろう。 どんなじいちゃんばあちゃんがいるんだろう。伴侶に先立たれて一人でがんばってるとかかな・・」 |
photo 216![]() 民宿 聖流郷の前にバイクを泊めた。 なんか人の気配がないけど、看板が立ってるし大丈夫だろう。 正面の戸を開けようとしたらカギがかかってる。あれ? 呼び鈴を押したが音がならない。あれれ?? 戸を叩いてすいませーんと声をかけるが反応がない。ええー・・・ おばさんが道を歩いてたので「すいません、ここ営業してますか?」と聞くと、手招きされて小声で 「ここな、やめといたほうがいいで。看板出してるけど、病気で寝込んでて料理も出せん。 バイクなら少し走った先にいくらでも泊まれるとこがあるから、そこにしたほうがいいで。 寝るだけならいいけどな。」って。 ええーーーー・・・・そんな事言わないで・・・ 「いえいえ、寝るだけでいいと思ってるんです。人はいるんですよね?」「いるはずや」 二人で住居部分の玄関から声をかけるが、反応なし。 「先に行ってみ」 「そうですね、そうします」 でも事情を聞いて余計に気になり、おばさんが去ってからまた戸を叩いて声をかけると、なんか中で物音がするような、しないような。 別のおじさんが歩いてきたので同じように尋ねると 「○○さんな、いるはずだよ。」 と名前で呼んでくれたけど、やっぱり反応無し。 病気で倒れて動けないんじゃ、と悪い想像が浮かぶが勝手に中に入るわけにもいかんし、どうしようもない。 近所付き合いはあるみたいだから、大丈夫だよな?? さっきのおばさんも戻ってきたので2人に 「別をあたってみます。ありがとうございます」 といって走り出した。 |
![]() その後、家に帰ったあともずっとこの宿のことが心にひっかかってて、 翌年に新しいバイクを大阪で買って沖縄まで乗って持って帰る途中に再訪した。 変わらず「宿泊1000円」の看板があったが、人の気配は無く・・・ 1年間ずっと具合が悪くて一人で篭ってる・・わけないよな。 どうしても嫌な想像をしてしまう・・・ ほかの身寄りを頼って引っ越した、とかだといいんだけど。 |
5kmくらい県道12号線を下るとまた小さな集落があり、古びた木造の家に「民宿」の看板が見えた。 だけどやっぱり人の気配がない。 すぐ近くにいたおばさんに「すいません、ここやってます?泊まるか、風呂だけでも入りたいんですが」と聞くと、手をふりながら 「ここな、もうやってないで。年寄りなもんで、病気で入院しててな・・このあたり過疎でな・・」 ああ・・こんなのばっかりだ。寂しい。 おばさんが旦那さんも呼んで、どっから来たのかと聞かれ、そこからバイクにまたがったまま話が進んだ。 お二人は普段は大阪に住んでて、ここが実家なのでしばらく戻ってるんだって。 昔はこの県道12号線ぞいに4000人くらい住んでたが、今は500人くらいしかいない。 農業の跡継ぎをしてる若いのも数人いるが、ほとんどは年寄りばかり。高齢化と過疎で人口が減ったので市町村合併して、昔の村名がなくなってしまった。等々・・・ 「これツーリングってやつか、すごいなぁ。テレビでもそういう番組やってるのみたで。これカーナビか。すごいなぁ」 「風呂くらいならうちで入れてやってもよかったんやけどな、今日は沸かしてないんや。ごめんなぁ。 このあたりに風呂に入れるとこなんてないから、ずっと先の国民宿舎しかないんやないかなぁ」 二人ともいい人だった。 しばらく路上で話して、礼を言って走り出した。手を振って見送ってくれた。 |
photo 217![]() 風呂に入ろうと、国民宿舎 古岩屋荘に向かう。 途中の民家は、雨戸が閉められて車が止まっていない廃屋っぽいのが多い。 国民宿舎は立派できれいな建物で、こんなとこよりも寂れて小さなとこがいいなぁと思い、 地図を見ると近くに民宿 嵯峨山温泉と表示があるので来てみた。 小さな民家が2軒あるだけだった。 おかしいなぁ?とバイクを降りて探索したら、木々の中に2階建ての廃屋があった。 まさかこれが「民宿 嵯峨山温泉」? |
photo 218![]() そばのバス停には「温泉前」とあるので場所に間違いはない。 なんてこった・・大丈夫か、日本の地方。このままじゃ都市部にしか人がいくなって、 田舎は無人の荒野と山林ばかりになるんじゃないか。 (帰宅後に調べてみたら、民家のほうが元温泉だったみたい) 結局、国民宿舎の温泉に日帰り入浴した。350円。安いね |
photo 219![]() この国民宿舎の宿泊料も高くはないけど 1000円のインパクトの後だとどうも金を出す気がせず、 山なので涼しいし、途中によさげなバス停や廃小屋をいくつも見てきたので、 今日は野宿することにした。 国道494、横山トンネルの手前に小さなプレハブのバス停があった。 周りに民家は1軒も見えない森の中。 よさげと思って中に入ってみたが、狭すぎてヒザをかかえて座るしかない。ダメだ。 |
photo 220![]() 別のバス停を走りながら探したが、近くに民家があったりでいい場所がない。 道沿いの民家の無いところに小さなお堂があって「あっ」と思ったが、 人に見られたら顰蹙を買うの確実なのでダメだ。 10kmほど走り、道の駅っぽい施設(おもごふるさとの駅)の休憩所に落ち着いた。 屋根付き、長いす4つ設置、自販機と水道付き綺麗なトイレ有り、でかなり良い。 今日も瓶ヶ森林道を走れなかった。 明日は晴れたらいいなぁ |