へちま日記

part1  1999/4/25〜5/31
へちまの種
 text by Shigeru Takaoa


4月25日、アパートのベランダで種を撒きました。

へちまはウリの仲間で、熱帯アジア原産です。
つる性の植物で、雄花と雌花の2種類の花をつけます。
雌花は成長して実になり、 若い実は食べることができます。

へちま2

   5月8日 ひとつ芽が出ました!






へちま1 5月15日 次々と発芽し、 2枚の子葉が開きました。
へちまは最初この双葉(ふたば)に蓄えられた
栄養分をつかって育ちます。
双葉はすでに種の中にできていた葉なのです。
植え替えをしなければなりません。
ホームセンターへ扶養土と鉢を買いに行きました。



5月16日 近所の淀川の河川敷へ石ころと土を取りに行きました。
へちまくん
     
      へちまは慶長の頃(約360年前)中国から日本に伝わり、
     江戸時代には小石川植物園で薬草として作られ、
     咳止めや利尿の薬として利用されました。
     また化粧水としても重宝され、
     大正の頃はヘチマコロンが大量にでまわりました。
     へちまの実の繊維は、たわしや靴の中敷きにされ、
     種には4割ほどの油を含むので、
     菜種油の代用にされました。
     鹿児島や沖縄ではへちまを食用にしているところもあります。
      このように、へちまは多目的に利用される植物だったのですが、
     現在ではすっかり忘れ去られたのです。
     ところで「へちま」は漢字で糸瓜または天糸瓜と書きます。
     これは茎が蔓性で、巻鬚(まきひげ)で他物にからみつくからでしょう。
 


5月20日 大きなプランターに植え替えをしました。涙をのんで幾つかを間引きする。
デジタルカメラが欲しくなり、カタログを集める。Canon Power Shot A50に決める。


へちま5.22 5月22日 子葉の間から本葉がはえる。
        やがて蔓がでてくるので、
        支柱を立ててやらなければならない。
        近所のスーパーの園芸コーナーで購入。
       へちまに追いまわされる日々が続く。








へちま5.26
5月26日 支柱を立てる。
       鬚が伸びてきたが、うまく巻きつくだろうか?
       成長が速いので気持ちが焦る。
       狭いベランダで育てるので、
       どうへちま棚を作るか思案中。

       デジタルカメラCANON A50で初撮影した。
       接写するにはすごぶる適している。




蔓

 へちまは何故馬鹿にされてきたか?
 それを解明しなければなりません。
 広辞苑を引くと、「へちま」の意味2に、
 <つまらぬもののたとえ>とありました。
 一休狂歌問答には、「世の中は何のへちまと思えども」とあり、
 さらに、何の役にも立たない、つまらない物の譬えで、
 浄、丹波与作「恩も礼儀も忠孝も、死ぬる身にはへちま」、
 「へちまとも思わぬ」(少しも意に介さない)とあるではありませんか!
 ぼくはますます、そんなへちまくんに、愛着を覚えたのでした。







5月31日 へちま日記の愛読者である石川さんからメールが届きました。
       彼女は先日僕が提唱する大日本ヘチマ党の結成に賛同し、
       21世紀に向けてヘチマイズムの普及に努めているらしい。
       彼女からの報告によると、
       「新明解国語辞典は、:棚に作る一年生つる草。夏、黄色の花を開く。
       大きく長い実は煮て(!)食べられる。
       海綿状の繊維はあかすり用、茎から採れる液は化粧水にする。
       他の野菜とは違い、皮が役に立たないところから、
       なんの価値もないと言う意味を 『へちまの皮とも思わない』というようになった。
       『へちまとも思わない』はその略。
       たいした存在でもないものを指すこともある。
       例 [世の中をなんのへちまと思えども] [へちま野郎]
       [学校もへちまもあるものか]などは、
       否定的表現においてごろを整える用法
       古語辞典にはその『へちまの皮』という表現は、
       近松の浄瑠璃でもやっていたそうです。
       アカスリ、コロン、食用など、役に立っているのに、
      『役に立たない』というのはやっぱり不思議だったのですが、
       役に立たないところを『皮』と限定すれば、納得です。
       なんてへちまについて調べる人は『へちまー』でしょうか?」

へちま5.30
 以上、石川さん、おたよりありがとうございました。
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