1999/6/1〜6/30
世の中は何のへちまと思えども
6月1日 へちまは英語で、loofah といいます。または、a sponge gourd ともいいます。
前ページのつづきで、「へちま」の語義を小学館の国語辞典でひもといてみると、
2 つまらないもの、とるにたりないものにたとえていう語。
また、「…もへちまも」の形で下に否定の語を伴い、語の意を強調していう語。
*浄・心中天の網島‐中「なごりもへちまもなん共ない」
3 (形動)気がきかないこと。りちぎでやぼなこと。
*雑俳・柳多留拾遺‐巻二〇「跡をとる手代へちまな男なり」
4 醜女をたとえていう語。
なんと、昔はブスのことをへちまと言ったのですね。
うりざね顔といえば美人のことを表わすのに、同じウリ科のヘチマの扱いはひどい。
それにしてもかの日本が誇る大劇作家の近松門左衛門が、
浄瑠璃「心中天の網島」でへちまくんを登場させていたとは驚きではありませんか!
<この世のなごりも、へちまもなんともない>とは、なるほど深遠な意味を持つ表現です。
また「へちまの皮」で引いてみると、
糸瓜(へちま)の皮(かわ)
1 へちまの外皮。
2 へちまの外皮・種子などを取り除いたあとの繊維。垢すりなどに用いる。
3 つまらないもの、役にたたないもののたとえ。「へちまの皮のだん袋」「へちまの根」とも。
4 「へちま(糸瓜)の皮とも思わず」の略。
へちまの皮が役に立たないなんて、かぼちゃだって、スイカだって同じではありませんか。
へちまの巻鬚のはたらき
←支柱の竹につかまりました。
鬚がねじれます。→
へちまの巻鬚(まきひげ)には、ねじれがあり、
バネのように伸びたり、縮んだりします。
このため、実が大きくなっても、風に揺れたりしても、
切れずに支えることができるのです。
図書館で借りた、小学生向けの<カラー自然シリーズ>36巻 「ヘチマ」(偕成社)によると、
巻鬚は斜め上向きに円をかいて生長し、下から仰いで見ると、時計回りにゆっくりと伸び、
およそ2時間で一回転する。
巻鬚の先端は、触れた物の表面がつかまりやすいかどうか知る力をもつといわれます。
その証拠にガラスのようなつるりとした支えより、凹凸のある棒や縄に、はやく巻きつきます。
先端で2,3回巻きつくと、巻鬚はよじれてらせん形になります。
両端が固定されてよじれるので、らせん形の中央に戻りができます。
支柱に触れなかった巻鬚は、どこにも巻きつかないまま、巻きあがります。
6月7日 へちま棚作戦
今日は日曜日、しかしうかうかしていられない。
ぐんぐん成長を続けるへちまのために、
棚を作ってやらなければならない。食器棚に使う、水切り用のフレームを、
棚の天井に転用すればどうかと思いつき江坂の東急ハンズへ行く。
2800円で売っていたので2枚購入。へちまくんへの出費がかさむ。
友人の岡くんがかけつけ、へちま棚を作ってくれる。
あっという間に出来あがった。
へちまの実がたわわに実ることを祈る。
ちなみに岡くんは維新派の大道具スタッフ、
自身では<IMPACT DRIVE>という劇団で
たった独りで野外劇場を作り、お芝居をしています。
今年も12月に大阪南港で公演を予定。
6月12日 今日届いた高井さんのメイルより
「また、へちま日記みました。
いよいよ棚が設置されて、本格的ですね。
沖縄料理のナーベラー(へちま)チャンプルーにすると
皮も食べるのかなぁ。 一度食べたことがありますが、くせのある味でした。」
沖縄ではへちまのことをナーベラーというんですね。
そういえば、ゴーヤ・チャンプルーという料理、
あのゴーヤ(にがうり)もウリ科に属する植物、
へちまの親戚みたいなものだ。>
ふむふむ、ああやって料理すれば食べれそうだ。
実がなるのが楽しみになってきました。
ちなみにぼくが育てているへちまは完全無農薬野菜です。
6月13日
ついにへちまの蔓が天井に達しました。
約180センチメートル。
6月17日
とっくに梅雨入りしたのに、ピーカンつづきの毎日。
へちまの葉ははすぐしおれて、1日に何度も水をやらなければなりません。
それでもぐんぐん伸びて、約2メートルの高さの天井を越えて、
もうそれ以上は捕まるところがないのに蔓を伸ばしています。
最近気になることは、阪神タイガースとへちま なり。
へちまの仲間
最近、道を歩いていると、どうも他人の家の庭で育てている
植物に眼がいきます。そんな中でも、とくに支柱を立てたへ
ちまの仲間である蔓性の植物に注目します。>
これは近所の団地の庭先に植えた胡瓜(キュウリ)です。
葉っぱの形もへちまとそっくりですが、もう黄色い花を咲かせてい
ました。
焼き茄子+生姜醤油と胡瓜の塩もみ、枝豆、
そして生ビールが美味しい季節になりました。
6月20日
昨夕北野武監督・主演「菊次郎の夏」を観る。
夏休み生き別れた母に会いに行く少年と、やくざなおじさんの物語だが、
心なごむとてもよい映画でした。不覚にもぼくは3度涙した。
少年は、夏休みに起こったひとこまを絵日記にしてゆくのだが、
描かれた絵が秀逸です。(北野監督自身の描いた絵らしい。)
そういえばぼくも昔、学校から絵日記をつける宿題を出され、
いつも三日坊主でまともに完成させたことがなかった。
植物の観察日記も、何かの球根を育てるというのをやったが、
水を替えるのを怠り、芽が出た段階で腐らせてしまった記憶がある。
夏休みといえば、少年としてはしんきくさい植物の観察などに関心があろう筈無く、
野山を駆け巡って昆虫(クワガタ、カブトムシなど)採集をするか、
好きな野球を炎天下にもかかわらず、ぶっ倒れるまでやるという毎日でした。
そんなぼくが今、誰に命じられたわけでもなく「へちま日記」をつけてます。
わが部屋のベランダは南側に位置しています。
東南アジア原産のへちまは、こうやって日除け代わりにも利用され、
棚を作ることによって家の中に直射日光が当たるのを防ぎ、
アジアの夏を涼しく過ごす快適さを演出してきたのですね。
またぼくの部屋のベランダはご覧のとおり、向かいの家と近接しており、
布団を干すのが大好きらしいお向かいのおばさんと毎朝
目を合わさなくてすむよう、ブラインド代わりにもなりました。
へちまはえらい。役に立つ。
とまたぼくは確信するのでした。
6月22日着 へちま通信 より
火曜日の訪問者、豊村&石川です。
さて、私達『へちまー』は、今や、『ヘチマニア』となってしまいました。
へちまについて、新情報です。
今回は、『へちまの名前の由来』です。
(以下雑学辞典より)
へちまは江戸時代初期に中国から入ってきました。
漢字で書くと『糸瓜』と書き、はじめはそのまま<いとうり>、
または発音しやすい<とうり>とよんでいました。
<とうり:と瓜>の『と』が、い・ろ・は・に・ほ・へ・『と』・ち・り・・・・と、
『へ』と『ち』の間に『と』があるので、
江戸の人が洒落て、『へち間=へちま』と言うようになったとのことです。
ちなみに広辞苑には、『唐からきたので、<唐瓜=とうり>と呼んでいた』
と<とうり>になるまでのちがいはありましたが、
『へ』と『ち』の間というのは同じように書かれています。
今でも『糸瓜』と書くことを考えると、前者のほうが有力ではないかなー思うのですが。
これにより、なぜ、『へ』と『ち』と『ま』というなんとなくおもしろい言葉が集まって
『へちま』ができちゃったのかがわかりました。
ここまできたら、もう、ヘチマニアです。
あと、ベイビー・クリシュナのTSUTAYAデビューはいつですか?
借ります!
ではまた次回、へちま研究会の発表をお楽しみに。
有益なおたより有難う。「へ」と「ち」の「間(ま)」にあるから<へちま>とは!
びっくりしたなあ、もう。洒落っ気があるんだから、江戸時代の人は。
へちまとは全然関係ないのですが、
「ベイビークリシュナ」のビデオリリースは9月24日です。
その頃には、へちまくんの実が沢山成っていることでしょう。