謡の聞かせどころを複数の演者が同一種類の打楽器を担当し、競演するもの。謡・打楽器それぞれ一人で競演するものを「一調」または「独調」という。
 能の用語は、何気なく使っていてもよくわからない

言葉がたくさんでてきます。

 ここでは、今までに使ってきた言葉の簡単な説明を

したいと思います。
平成11年 富永神社祭礼能「杜若」
 そのほか詳しくは、「能狂言のホームページ」(http://www.nohkyogen.jp/)の基礎編で紹介されていますので、そちらをご覧下さい。
 600年以上の伝統を持つ、日本が世界に誇る古典芸能。ユネスコにより世界無形遺産の第1回目の指定をされました。仮面を使う演劇と文学と音楽とが融合した総合芸術です。室町時代に観阿弥・世阿弥により完成され、能と狂言の総称として「能楽」といわれますが、これは明治以降に一般化した用語で、江戸時代までは「猿楽の能」などと称されていました。能を正式に演じると一番で1〜2時間となり舞台に出る人も20人近くになります。
狂言
 主にせりふを中心に展開する笑劇。舞や謡、囃子の伴う曲目も多くあり、古典に題材を求めることの多い能に対して、中世の庶民のたくましい姿を描くものが多く、当時の現代劇でもありました。30分前後のものを2〜3人程度で上演するものが多い。また、間狂言(あいきょうげん)といって、能に出演する立場の狂言も多くある。
シテ
 主役を演じる役者で主に面(おもて)と呼ばれる能面をかけますが、一部の曲目では面をかけずに直面(ひためん)と称して素顔で演じる時もあります。また、「シテツレ」と複数で出ることもある。
ワキ
 脇役を担当する者で必ず現在に生きている役柄で劇的な表現を志向する。「ワキツレ」と2名で出演することもある。
謡(うたい)
 能は、謡という声楽によりストーリーが展開していきます。役柄を担当する役者が謡うのはもちろんのこと舞台に向かって右よりの8人程度によって構成される「地謡」という斉唱団によっても謡われます。
舞(まい)
 舞踊の技術。跳躍的なニュアンスの「踊る」とは違い、旋回運動の「回る」から派生したといわれています。謡とともに「舞歌二曲」として能の稽古の最初に必要とされています。
 能の略式の演じ方では、舞の型の見せどころを謡のみで舞う形式を「仕舞」、舞事を中心とする型の見せどころを謡と囃子で舞う形式を「舞囃子」といっています。
囃子(はやし)
 能の器楽で舞台後方に座して、謡や舞を栄(は)やします。向かって右から笛(能管)、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ、おおかわ)、太鼓と並び、基本的には各役一人で4人で担当しますが、曲目により太鼓がぬけて3人の場合もあります。雛飾りでは、囃子方のほかに地謡の役を入れて五人囃子と称しています。
連調
能の用語
 謡の聞かせどころを複数の人で謡うもの。独演するものを「独吟」という。
連吟
薪能(たきぎのう)
 この名称は、夜になって薪をたいて、それを照明がわりに演能するところから来た名称ではなく、もとは、「薪の神事」などと称して新年に御薪を寺社に献進する儀式で、一種の春迎えの信仰行事であり、それに伴って行われる猿楽が「薪の猿楽」でした。
 奈良の「薪能」は、奈良時代に起こった行事で、興福寺の修仁会(しゅにえ)に鎮守の社から東西金堂へ行法のために薪を積む儀式であり、その時翁式の聖者が薪を負うて舞うことが芸能化したと言われています。初めは寺に所属する呪師が司っていましたが、後、猿楽者が代行するようになり、能楽が大成後は、金春座が責任者となり、他の座も参勤していましたが、明治以降に一時中絶し、戦後昭和21年復活、昭和25年京都薪能が平安神宮で催されて以来、各地で大衆野外能として流行するようになりました。