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book「こころ」って,どこにあるの?
「心」って,どこにあるかなんてことを考えたことがありますか?
「胸がきゅんとする」からやっぱり胸のあたりだろう?
いや,人間の思考はすべて脳がつかさどるのだから,「頭」のあたりだろう?
心って,「人と人,人ともの・・の間にある!」
なんてすてきな言葉だろう。この文章のように,長い思考の後のちょっとした発想の転換は,時として真理をつくことがある。
最近,夫婦で自分たちの「心」ってなんだろう?と考えたことがある。
「自分はこういう人間で・・・,こういう育ち方をして・・・,こういう考えに心惹かれ,・・・こういう人たちと出会い・・・」(・・?)→ 
「あ!そうか,お母さんに・・・おばあちゃんに・・・」→
・・・ここで突然2人の目が合った!(^^)


 きのう,じゅんが学校から帰ってくるなり,おばさんに聞くの。 「ねえ おかあさん,心ってどこにあるの?」って。 おばさんはびっくりしちゃってねぇ。だって,そんなこと考えたことなかったもの。
それでね「さあ,どこにあるのかなあ」って,じゅんといっしょに考えることにしたの。
「こわかったり,びっくりすると,胸がどきどきするから,心って,胸にあるんじゃない?」って, おばさんがいうと,じゅんったら「どきどきするのは,心臓っていうんだよ。血が早く流れるから ,どきどきするんだよ」って,えらそうにいうの。
(中略)
 でも,ほんとうに,心ってどこにあるのかしらねえ。どんなかたちなのかしら。よくわからないけれど ,こころって悲しくなったり,うれしくなったりするところでしょう。どうしてそうなるのかなあ。

 去年ね,おばあさんが死んだの。そう,じゅんのお父さんのお母さん。それで,おじさんがポロポロ泣いてね, とても悲しそうだった。そりゃそうでしょう,お母さんがいなくなったんだもの。じゅんもおばさんも ,そんなおじさんの悲しそうな顔を見ていたら,とても悲しくなったわ。きっとおじさんの心が分かったんだと思うのね。 心って,気持ちと同じものかもしれないね。
 おばさんには,じゅんやおじいさんがいるから,よろこんだり,悲しくなったりできるのよね。
もし,だあれもそばにいなかったら,おばさんの心って,はたらかないと思うのね。そこの花びんに いけてある花を見て,ああ きれいだなって思うのも,心のはたらきね。
 おばさんね,心って,からだの中にあるんじゃなくって,おばさんとじゅん,おばさんとおじさん, おばさんと花の間にあるとおもうのね。
 おばさんのまわりにいる人やものと,おばさんの間には,見えない何かがあってそれが,心じゃないかしら。


このあいだも,じゅんといっしょにテレビを見ていたらねえ,アフリカのこどもたちが,食べ物がなくって,こまっているって, うつっていたの。
 次の日ね,学校の給食の時間にじゅん,そのアフリカの子どもたちを思い出したんだって。きっと, じゅんとアフリカの子どもたちの間にも,こころがあるんだなあって,おばさん思ったのよ。

(「どんどん」【障害児教育 自主教材編集委員会・編】p37からP42より抜粋)

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