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book「強く生きる言葉」 岡本 太郎
強く生きる言葉  つい1週間前ぐらいの新聞に岡本太郎さんのことが出ていた。彼の芸術についてではなく、彼の遺していった言葉について書かれていた。
芸術作品に関しては、大阪万博で見た「太陽の塔」ぐらいしか分からないのだが、『芸術は爆発だ』に代表される、かつてテレビCMや「笑っていいとも」という番組での独特な言動や目つきには何かしら惹きつけれれたことを思い出した。
 さっそく彼の「強く生きる言葉」を注文し、読んでみた。短い言葉の連続なので、読むというよりながめたといった方が適当なのかも知れない。1時間もしないうちに読了できる。ながめていた言葉が、頭を打ってくる。彼の芸術作品や目線に惹きつけられるように、言葉がからだに焼きついてくるのだ。まさに爆発してせまってくる。
 この本を構成した岡本敏子さんが、巻末の「太郎のつぶやき」にこう書いている。

「岡本太郎が普段の生活の中で、動きまわりながら、ふっと洩らす言葉。
何気なく聞き逃してしまえばそのまま消え失せて、二度と戻ってこない。・・・(中略)・・・
私はくっついて歩いて、一言も聞き漏らすまいと、しょっちゅうメモをとっていた。あっちへ飛び、こっちへ飛びするのだが、彼の生き方の筋は一貫しているから、まとめて読み返してみると独特の哲学、人生論になっている。(後略)」

 私も「生き方の筋」だけは通したいと年を経るにつれ、その思いが強くなっているいくことに気づく。とくに目だった才能などないけれど、その生き方だけは価値あるののにしたいと思う。
(2003年8月)


成功(P23)
人間にとって成功とはいったいなんだろう。
結局のところ、自分の夢に向かって自分がどれだけ挑んだか、
努力したかどうか、ではないだろうか。


感性(P24)
感性をみがくという言葉はおかしいと思うんだ。
感性というのは、誰にでも、瞬時にわき起こるものだ。
感性だけ鋭くして、みがきたいと思ってもだめだね。
自分自身をいろいろな条件にぶつけることによって、
はじめて自分全体の中に燃えあがり、広がるものが感性だよ。


人生とは(P40)
人生は、他人を負かそうなんてケチくさい卑小なものじゃない。


信念(P52)
信念のためには、
たとえ敗れると分かっていても、おのれを貫く、
そういう精神の高貴さがなくて、
何が人間ぞと僕は言いたいんだ。


勉強(P73)
一生懸命、キミ自身の勉強をして
高い人間性を目指せば、それでいいんだ。


思想(P77)
思想はほとんどの場合、社会の情勢とは悲劇的に対立する。
しかし、その対決で世界は充実していく。それが「思想」なんだよ。
ほんものの思想だったら、情況はどうあれ、
そんなにコロコロとかわるものではないはずなんだ。


無名の人(P93)
この世には根性を貫いたがゆえに、敗れ去った人だっていっぱいいる。
純粋であればあるほど、この世では敗れざるを得ない。
まったく無名の人物でも、素晴らしい、己を貫いた尊敬に値する人物はいっぱい存在したはずだろう。そういう人間の運命の方に、僕は加担したいな。


(P106)
誰もが、あえて出る釘になる決意をしなければ、時代はひらかれない。


人間らしく(P112)
自分らしくある必要はない。
むしろ「人間らしく」生きる道を考えてほしい。


モットー(P143)
逃げない、はればれと立ち向かう、それがぼくのモットーだ。


順番(P163)
順番なんてほんとうの人間の価値とは何の関係もないんだよ。


ひとりぼっちのガキ大将(P173)
ぼくは、いつもガキ大将相手に、たった一人で闘ったんだ。
ひとりぼっちのガキ大将だ。
子分は一人もいない。
だがガキ大将よりふくらんで、そして血だらけになっていた。

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