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book「ONE PIECE」  尾田栄一郎  【ジャンプ・コミックス】
 日曜の夜7時30分、子どもと妻が、いつものようにテレビを食い入るように見ている。見ているのはテレビアニメ『ONE PIECE』だ。見た後で、子どもたちは興奮し、つれ合いは目に涙をためている。映画が封切られると、決まったように「良かった。面白かった。また泣けた。」などと言いつつ三人は、パンフレットを持って帰ってくる。(「なんで漫画を見て泣けるのかねぇ」・・と私の心の言葉。)
 私はというと、たぶんあまりに現代的な絵になじめず、話もよく分かりそうにないので、この時間は新聞の残りを読むことにしていた。ところが、ある夜新聞も全部読み終わっていたので、我慢して「ONE PIECE」を見ていると、話の筋はよく分からないが、Dr.ヒルルクが、チョッパー(Dr.ヒルルクが息子と呼ぶ悪魔の実を食べたかわいいトナカイくん)が、残り少ないと宣告されたDr.の命を救おうと一生懸命に探し当て、(間違ってつくった)猛毒キノコのスープを自ら飲んで最期を迎える(下のような)場面に、目が釘づけにされてしまった。
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(第16巻より)
(Dr.ヒルルクのセリフ)『人はいつ死ぬと思う・・・?』
この問いにあなたはどう答えますか?
これに対して、Dr.ヒルルク自身はこう答えています。
『心臓を銃で撃ち抜かれたとき・・・ ・・・違う』
『不治の病に犯されたとき・・・ ・・・違う』
『猛毒キノコのスープを』
『飲んだとき・・・・・・違う!!!

『・・・人に  忘れられた時さ・・・!!!

ここから引用の『おれが消えても おれの夢はかなう』につづきます。
なんとかっこよく、かつ哲学的な言葉でしょうか!こんな漫画だったのか?と焦った私は、息子にお願いし、「ONE PIECE」のコミック本を読ませてもらった。
なんと他にも面白く、かっこよく、人生を感じる場面がたくさんあるはあるは・・。
 たとえば、先ほど書いたトナカイのチョッパーくんについては、Dr.くれはが、このように語っている。
『あいつは心に傷をもっている……医者でも治せない大きな傷さ・・・』
『この世に生まれた瞬間に・・・親に気味が悪いと見放された』
『"青っぱな"だたったからさ・・・!!!』
『あいつはいつでも群れの最後尾を一人淋しく離れて歩いた。』
生まれたての子どもがだよ!!』
『そしてある日・・"悪魔の実"を食っちまって 奴はいよいよバケモノ扱い
 トナカイ達はあいつを激しく追い立てた』
『もう完全に普通のトナカイじゃなくなっていたのさ』
『・・・それでも仲間が欲しかったんだね・・・』
 このように出てくる主な登場人物はそれぞれ、その人格や生き方そのものに重い影響を与えたものを背景に背負っているのだ。ウソップも、ゾロも、ナミもサンジも・・しかり!しかもそのほとんどが幼少期の経験がもとになっている。
 そうした中でも彼らは明るく、伸びやかで何か間が抜けている所もあり、よく仲間同士でけんかをしている。これが、つれ合いの言う『かっこいい!』ということなのだと思う。(ちなみにつれ合いはサンジの大ファンで、私を登場人物に見立てるとゾロだそうだ。・・いつも家ではごろごろ、ぼーとしているのに、時に外で鋭い剣を抜くことがあるからかな?と自分では思う。)
 こんな面白くも変わった人物たちをまとめている?のが船長のモンキー・D・ルフィである。まとめているのか、もませているのかこの主人公、他の人物に負けず劣らず変わり者である。『肉が食いたい!!』という言葉に表れているように食べている場面と寝ている場面とが妙に頭に焼きついているが、このルフィも普段は一番ぼけっとしているようで、戦っているときや人物などを判断する場面で力を発揮する、やはり『かっこいい!!』人間なのだ。
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(第5巻・6巻より)
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 最後に引用した場面は、ルフィが戦っている敵のクラハドール(キャプテン・クロ)に言ったセリフ。仲間を見殺しにしてまで、自分だけの富を得ようとするクラハドールに対して言った怒りの言葉である。こういったことが言えるからノルフィは、船長らしくなくても、仲間がなぜかついて行く立派な船長なのである。
 コミック版が出るの待ち遠しく、出たらまた息子たちにお願いして読ませてもらわねばならない。
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