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![]() というのも中身を読むと,国分さんが「この本の生命は,もう終わってしまったものとかんがえていました。」と(1959年の新書版のためにのところに)と謙遜して書いているのとは逆に,今でも十分価値のある,いやまさに情報の氾濫する現代にこそ必要な一冊であることが分かる。 全頁紹介したいぐらいの,(教えることを仕事としているものにとっては)実践に裏打ちされた言葉がぎっしりと詰まっている。 題名の『師』という古めかしい言葉とは裏腹に,子どもと教師と教育について優しい愛情にみちた(でもきびしい)本である。 帯にも載っていた「あとがき」の文章から・・・ 「きのう一日のつかれに,われをわすれて寝ころんでいても,朝になれば,あなたは起きなければなりません。起きて学校へ向かわなければなりません。50人,60人の子どもが,あなたを待っているからです。待っている子どもに,きょうもまた,なにか一つ新しい,よいことを,あなたは教えてやらなければなりません。あなたは,生きた子どもを,親たちから,世の中から預かっている人なのです。重い責任をもっている「魂の技師」なのです。」 国分さんからこのように言われると「その通りや!がんばらんとな。」と素直に心に入ってくる。反対に同じようなことを,下の抜粋にあるようなその時だけの形や格好だけに重きを置くような人から言われると,「あんたに言われとうないわ!」と思う。 いつまでもと勇気と誠実さを失わない一市民でありたいと思う。 |
「ひとりの人間・一市民」
こうして、わたくしたちは、子どもには、相手がどんなに幼くても、それをひとりの人間・一市民としてあつかう態度をもつように、教師であるあなた白身は、ひとりの人間であり、一市民であることのほこりをもち、ひとりの人間・一市民であることの権利を高くかかげ、その身体的・精神的自由を追求し、それを保持するように努力しなければなりません。
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