発電所見学シリーズ


発電所へはテプコ館からバスで行きます。



 今年も、夏休みを利用して、長野県にある「新高瀬川発電所」を見学に行ってきました。
 昭島からだと、中央高速で3時間ほどかかってしまうので、気軽に行ける場所ではありませんが、日本有数の大きさを持つダムと大容量の発電設備を持つ場所が見学できるのであれば、これくらいの距離は何でもないでしょうね(そんなことを思うのは私だけかな?)。

 「新高瀬川発電所」は長野県の中でも、北部にある「大町市」(長野の中で2番目に大きい市だそうです)にあります。山の中にある発電所ですから、周辺の環境にも配慮して発電方法は「揚水(ようすい)発電」です。

 まず、発電所への出発地でもある「高瀬川テプコ館」の館内を見学しました。見学は午前と午後の2回行っており、私は午後の部を予約をしたのですが、あまりにも早く到着してしまったので、テプコ館の中を見学しました。
 館内はそれほど広くなく、基本的な展示の他、「バーチャルライド」と呼ばれる乗り物があり、高瀬ダムや大町の自然が立体的な映像とともに体験することができます。また、コンピュータを用いた電気Q&Aや電気迷路クイズがあり、クイズに全問正解すると、賞状と記念品がもらえます。
 外には、実際に発電所で使われていた水車が展示されており、見学では見ることのできない部品を間近で確認することができます。

ポンプ水車ランナ
(新高瀬川発電所で使用されていた)
高瀬川第一発電所で使用されていた水車
(セットになる発電機は、近くにある大町エネ
ルギー博物館に展示されています)


 発電所見学は、まず映像ホールで記録映画(20分)を見るところから始まります。このビデオは、ダムや発電所ができるまでを記録したものです。その後、マイクロバスに乗って高瀬ダム・新高瀬川発電所の見学に出発します。私は午後の部へ参加したのですが、家族連れの人や年配のご夫婦など17名の方がいました。バスの中では、テプコ館の職員の方が、周辺の自然に関することやダム・発電所に関する話などをしてくれました。かなり長くやられているようで、時々笑いを混ぜながらの説明はなかなか楽しかったです。

ダムの表面はごつごつした岩です。
これをロックフィルダムといいま
す!!
ダムの上から湖面を見ています。 発電所内部。奥に見えるオレンジ色の
設備が発電機です。

 発電所は、山の中に高さ55m、幅27m、奥行165mの空洞を作り、その中に4台の発電機と水車が置かれています。この大きさは霞ヶ関ビルを横にしたくらいあるそうです。発電容量は最大128kW(32kW×4台)あり、揚水式発電所としてはかなり大きいです。

 ちなみに、一般車両では高瀬ダムまで行くことができず、一つ前にある七倉ダムから歩かないといけないのです(その先は東京電力の作業用道路となってしまうため、一部のタクシーなど許可を得た車両以外は通行禁止)。
 高瀬ダムに行くまでの道は、桜の時期や紅葉の時期にはかなりきれいな景色が見えるそうです。そのため、発電所の見学だけでなく、桜や紅葉を見るという人たちも沢山見学予約をするそうです。皆さんも行ってみてはどうでしょう?時々、猿が現れることもあるそうですよ。


<高瀬川テプコ館 いんふぉめーしょん>
開館時間
9:00〜16:30
発電所見学案内時間
事前に予約をする。
午前 … 9:00 〜 11:30
午後 … 13:00 〜 15:30
(4月下旬〜11月末までは毎日運行) 
休館日
5月〜11月の期間中は無休。
12月〜4月の毎週月曜日(休日の場合は翌日)および年末年始
入館料
無料
駐車場
あり
交通機関
電車:JR信濃大町駅より車で15分
車:長野自動車道豊科I.C.より約1時間
連絡先
〒398-0001 長野県大町市大字平1904ー5
電話 0261-23-2152 FAX 0261-23-2153
ホームページ
http://www.tepco-takasegawa.com








揚水発電とは
 
 揚水発電は水力発電の一種で、昼間は上のダムから水を発電機に流して発電を行い、発電に使った水を下のダムに流します。夜間は原子力発電や火力発電で作られた電気を使って、発電機を逆回転させて下のダムに貯めた水を上のダムに戻します。このようにして発電をする方式を、揚水発電といいます。
 発電機を逆回転させると、発電機の先に付いている水車の影響で、水が吸い込まれてポンプの役割を果たすのです(図を参照)。

 揚水発電の利点は、電気の使用が多い時などに発電がすぐできるところです。原子力発電や火力発電は、発電にボイラを使っている関係で、細かな発電量の調整ができません。それに引き替え、水力発電は水を流すことで電気を発電するので、細かな調整が可能になります。
 特に原子力発電は、一度運転を止めてしまうと再度運転を始めるには多大な時間がかかります。そのため、原子力発電は年中無休で運転をしています。

 左の図は、各時間における電気の使用量と発電方式を書いたグラフです。電気を主に作っているのは「火力発電」であることがわかると思います。
 電気は午前9時から午後8時くらいまでが、たくさん使われます。この時間帯合わせて発電量を定め、たくさんの電気を作り出せばよいのですが、これだと夜間・深夜などの電気をほとんど使わない時間帯も同じように発電を行ってしまいます。現在のところ発電した電気を貯めておくことができないので、この時間帯に作られた電気は無駄になってしまいます。揚水発電はこの無駄とされていた電気を使って水をくみ上げ、昼間は発電を行うのです。画期的でしょ? この周辺ですと、城山ダム(神奈川県)で揚水発電を行っています。