〜メタモルフォーゼ高山ライン〜
ワイドビューひだで行く冬の飛騨路
(1992.1.2〜1.3)

◇ 天下の三名泉 下呂温泉 ◇

 お正月を海外のリゾートで….ってのは私達にはまだまだ無理なので,せめて,国内の温泉でゆっくりしようって事になって下呂温泉へ行ってきた.
 岐阜から,『メタモルフォーゼ高山ライン』のCMでおなじみの,高山本線の“ワイドビューひだ”に乗る.“ワイドビュー”というだけあって,ワイドな窓,そして座席のあるところは,通路より少し高くなったハイデッカー構造で,両サイドの景色もよく見え,車内も広く明るく感じられる.
 岐阜を出てまもなく,右側の車窓に犬山城が見えるあたりから,線路と平行して木曽川の流れが見え,列車は山間をぬうように走る.途中,中山七里と呼ばれる景色のいいところでは,列車もいくぶんスピードを落とし,放送から観光案内が流れる.観光バスに乗っているような気分だ.
 岐阜から約1時間15分,草津,有馬とともに天下の三名泉といわれる下呂温泉に着く.駅前には各旅館の送迎バスが並んでいるが,私たちはゆっくり歩いて宿にむかう事にした.途中の下呂大橋の下の河原につくられた露天風呂は,脱衣所はおろか隠すものもな〜んにもないので,解放感はたっぷり味わえそうだが,入るにはかなり勇気がいりそうだ.
 宿に着くと,まずは1回目のお風呂タイム.ここ(下呂温泉山形屋)は去年の秋にリニューアルオープンしたばかりなのでお風呂も真新しく,今はやりのジェットバスも完備していた.大浴場の外には露天風呂があったので入ってみた.露天風呂からは益田川の流れと鉄橋を渡る高山線の列車が見える.でも,ちょっと待てよ,この露天風呂には屋根があるではないか,雨や雪の日でも入れるようにとの配慮だろうが,なにか求めていたものとは違うなという気がした.
 お風呂のあとは食事.下呂温泉というと山の中で山菜料理ばかりだと思われるけど.実際には海の幸山の幸が盛りだくさんで,ゆっくり時間をかけていただいた.

JR東海自慢の「ワイドビューひだ」

「ワイドビューひだ」の車内

◇ 飛騨の小京都・飛騨古川と高山 ◇

 翌日は再び“ワイドビューひだ”で飛騨古川へ向かった.西が津和野なら,東は古川.堀割に色とりどりの鯉が群れ泳ぎ,堀割の片側には白壁造りの土蔵が立ち並ぶ光景は,津和野ほど有名でなくても古川も負けていない.けど,私たちが行ったときは負けていた.というのは,堀割(瀬戸川)の修景工事のため,あっちこっちで工事が行われていて,写真を撮るにも一苦労.おまけに鯉はといえば,11月中旬〜4月中旬までは近くの増島城の堀に引越.今年は正月からついてねーや,と思いながらも気をとり直して,和ろうそくの三嶋屋へ向かった.しかし,ここも正月休みのカウンターパンチ.本当の小京都っていうのはお正月はちゃんと休むものなんだ.と変に納得して古川をあとにし,もう一つの小京都,高山へ向かった.
 高山駅前をまっすぐ歩いて宮川を渡ると,古い町並みが残る上三之町にでる.ここだけはお正月でも観光客でいっぱい.高山といえば…やっぱりみたらし団子.高山陣屋の前のだんご屋さんで1本60円ナリ.高山へ来たら必ず寄っている和風喫茶の手風琴で,お正月らしくぜんざいを頂き.桜山八幡宮に初詣へと向かった.
 高山で「そば」といえばラーメンのこと,高山っ子はラーメンが大好き?寒い街にはラーメンが似合う.ってわけで高山を離れる前に腹ごしらえ.入ったお店はカウンターだけのこじんまりしたお店だったけど,ビールは置いていないという頑固さも許せてしまえるほど美味しいラーメンだった.お腹もいっぱいになったところで,18時35分 発のひだ16号で高山を後にした.

飛騨古川

高山陣屋

 今回の旅行を振り返ってみると,観光地の中では全て歩いて移動した.下呂,古川,高山,いずれも歩いて回るのにちょうどいい,等身大の大きさの街って感じがした.海外のリーゾートでお正月ってのは無理でも,国内にも,まだまだいいところがいっぱい残っていると思った飛騨路の旅でした.

※今回の旅人:Fukumura,Tsuge,Tsubota,Yamano


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