シバケト会神島キャンプ
(1999.7.17〜18)

 シバケト会がいかなる集団であるかについては,ここでは詳しくは述べないが,椎名誠の「わしらは怪しい探検隊」(角川文庫)という小説に影響されて,日本のいろいろな風光明媚なところへ出かけ,自炊およびテント生活をし,更に大いに飲んで日頃の不満を解消するというアウトドア集団である.そして,その記念すべき第1回を「わしらは怪しい探検隊」と同じ三重県の神島にしたという点では,非常に単細胞的な集団でもある.今回のメンバーは,隊長の「サイトウ青年」,炊事班長の「フジタ君」,ドレイの「カマキリのリンさん」,事務局長の私という4人である.
 さて,目的地の神島は伊勢湾に浮かぶ周囲4kmほどの小さな島で,三島由紀夫の「潮騒」の舞台となった島として有名である.行政的には三重県の鳥羽市に属しており,連絡船も鳥羽港から出ているが,距離的には愛知県の渥美半島からの方がはるかに近い.

 7月17日土曜日.我々の“梅雨が明けていれば…”という淡い期待は,無惨にも引き裂かれ,相変わらずのどんよりとした梅雨空のもと,炊事班長のランドクルーザーで鳥羽へと向かった.車は桑名東インターから東名阪自動車道に入り,関ジャンクションから伊勢自動車道へと軽快に南下していった.
 伊勢西インターで伊勢自動車道を降り,インター近くのジャスコで炊事班長の指示の下,2食分の食料および飲料水,ビール,ワイン,そして固形燃料や紙コップなどのキャンプ用品の類いを調達した.特にアルコール類は少なすぎると,日頃の不満を解消するどころか,逆に不満を増幅してしまうという,火の中にそれこそアルコールを注ぐような結果となってしまうので,量の見きわめは非常に重要である.用意した2つのクーラーボックスが満杯となるほどの食料と酒を買い,更に途中でバーベキュー用の金網まで買って鳥羽へと向かった.
 1時間たらずで鳥羽に着き,車を港近くの市営駐車場へ停めた.神島へはフェリーの便は無いので車はここに置いていく.船の出港まで1時間ほどあるので,ちょっと遅い昼食をとりながら時間を待った.出航の時間が近づいたので駐車場へ戻り,荷物をまとめて港へと向かう.我々の荷物は途中での買い出しのおかげで相当な量になっており,ドレイを中心に荷物を分担して船へ乗り込んだ.

駐車場で荷造りをする 島の坂道をのぼる

港の駐車場で荷造りをする隊長

荷物を抱え島の坂道を登る

 船は土曜日の午後という事もあって,学校帰りの高校生などで賑わっていた.さらに,病気の赤ちゃんを抱いた若いお母さんや,食料品等の生活物資も沢山積み込まれており,島民の生活にとって貴重な足となっているようであった.
 およそ50分で神島港に着いた.われわれが幕営地に予定している古里が浜は港のちょうど反対側にあるため,ちょっとした山道を峠ひとつ越えていかねばならないということを小説で読んでいたが,どこをどう歩いて行けばよいのか皆目見当がつかない.もちろん小さな島なので,時間をかければたどり着く事ができるはずであるが,すでに午後3時を回っており,早くテントを張って夕食の準備をする必要がある.おまけに道中でアルコールを一滴も口にしていないおかげで,隊員の不満もかなり溜ってきているようであった.そこで,まず,事務局の私が先に歩き,トランシーバー代わりの携帯電話で残りの3名を誘導するという作戦に出た.が…,携帯電話会社によっては電波が届かず,おまけに指示とは全然別の道を残り3名が歩いて行ったため,先頭を行くはずの事務局長が一番最後から追いかけていくという,かなり間抜けな事をしてしまった.

古里が浜 テント

われわれの幕営地「古里が浜」

設営の終わったテント一式

 そうこうする内に,なんとか無事に古里が浜に着き,テントを張る場所を探した.ちょうど2週間ほど前に神奈川県と山梨県でキャンプ中の人が濁流に飲み込まれるという事故があったばかりであり,テレビ・ラジオでアウトドア評論家なる人が,「流木などがあるところは,過去にそこまで水が来た証拠なので,そのような所ではキャンプをしないように」と申し述べていたが,われわれはその忠告を徹底的に無視して,大小の流木がゴロゴロする浜にテントを張った.その時は方向音痴になっていたのでよくわからなかったが,古里が浜は島の太平洋側であり,津波などが押し寄せてきたらひとたまりも無いような所であった.
 隊長と炊事班長は比較的アウトドアに詳しいため,テントを張る作業はこの2人を中心に手際よく進んだ.次いでバーベキュー用のかまどをこしらえて炊事班長の火入れの儀をへて,隊長の音頭で乾杯となった.その日,われわれの後にキャンプに訪れたパーティがあったが,人間心理学的にはこのような場合,先住者のすぐ隣にテントを張るようなことはせず,適当に離れた場所にテントを張るため,残念ながらお互いの交流はなかった.尚,このようなことは,キャンプに限った事ではなく,京都の鴨川河畔は夕方になるとアベックが鴨川に向かって座り,お互いに愛を語り合う事でチョー有名であるが,見事に等間隔に並ぶ姿もこれと同じ心理である.この場合も当然ながらお互いの交流は生まれない.
 さて,話は飛んで,「わしらは怪しい探検隊」では,夜中にテントへ蚊の大群が押し寄せてくるシーンが描かれているので,われわれは蚊の襲来に備えてぬかり無く準備を整えてきた.肌の露出した部分にはスキンガードを吹き付け蚊を寄せつけないようにし,テント内は蚊取り線香をもうもうと焚き,更には,殺虫剤のスプレーをテント中に充満させ,万が一負傷した場合に備えて「ムヒ」なる虫刺されの薬までも準備して敵の襲撃を待った.が,しかし,結論からいうと,その夜は蚊の襲来は無かった.もちろん数匹の単発的な攻撃はあったが,これも,われわれがかなりの量のアルコールを飲んでいたため,夜中に尿意をもよおし,そのためにテントの出入りをする時に紛れ込んだ蚊であった.

バーベキュー キャンプファイヤー

バーベキュー中!

流木で狂喜乱舞のファイヤー

 翌日,いまにも雨が降り出しそうであったため,フランスパンとコーヒーの朝食をすばやく済ませ,急いでテントをたたんで港へと向かい,予定より一本早い船で鳥羽へ戻った.帰りに伊勢自動車道玉城インター近くの玉城弘法温泉に立ち寄り,温泉で汗を流し家路についた.

※今回の旅人:Fujita,Hayashi,Saito,Tsuge


伊勢志摩インターネット

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鳥羽市立神島小学校

神島小学校のホームページですが,島全体の観光案内や民宿紹介もあります.

玉城町

陽射しの天使が舞い降りる町,玉城町のホームページ.玉城弘法温泉までの詳しい地図も載っています.


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