不安と期待の初めての海外

〜「流星花園」ロケ地探索ツアー〜
(2005.8.18〜21)

 2005年夏.私の中にジワジワっと海外旅行ムードが沸いてきた.しかし,その時にはまだパスポートも持っていなかった.
 7月の末に,「来月,台湾へ行くので準備する様に…」と指令が飛んできた.
 話が決まった後のパワーはすごい.大の台湾ドラマファンの知佐子さんと.知佐子さんのカレリンの福ちゃんの手腕により3泊4日の日程が決まった.
 2005年8月18日(木)関西空港発11時15分のキャセイパシフィック航空CX565便で3人は台湾へ飛んだ.

 約3時間のフライトで中正国際空港へ降り立ち,空港構内を抜けて外へ出ると,予想はしていたが,蒸し暑さにすこしひるんだ.
 空港からホテルまでハイヤーを飛ばす.ほどなく私は台湾の交通事情を理解した.台湾の車はかなり運転が荒いのだ.空港から台北までは自動車専用道を走るが,車間距離は短く,まるでカーチェイスをしている様だ.おまけに台北の街に入るとおびただしい数のスクーターだ.信号が青になると,一斉にスクーターが走り出す.カラフルな看板などを見ながら異国の地に来たという感慨にふけっていると,予約していた台北喜来登大飯店(シェラトン・タイペイ)に着いた.
 チェックインは福ちゃんの英語力で難なく終えた.まずは部屋で「来ましたなぁー」というかけ声とともにビールで乾杯!.
ホテルで休んでいると,亜熱帯気候特有のスコールの様な雨が降ってきた.

■ 台北市内の交通手段 ■

 雨が小降りになったので,3人で外へ出る.
 ホテルのすぐ前がMRT(Mass Rapid Transit=台湾捷運)の善導寺駅なので,ここから台北車站(Taipei Main Station)駅まで1駅を地下鉄に乗る.20NT$(約70円)である.台湾の公共交通はとにかく安い.タクシーも初乗り70NT$である.150NT$あれば市内の大体の所へは行ける.タクシーは黄色い車体で,流しの数も多く,手を挙げれば泊まってくれる.言葉は通じなくても,漢字で書いたメモやガイドブックを見せれば確実だ.台北滞在中はMRTとタクシーにずいぶんお世話になった.
 台北車站駅から中山駅まで地下街を通り,地上に出る.台北の街を福ちゃんを先頭に歩く.私はまだ台湾独特の匂いに慣れない.途中,台北晶華酒店(グランド・フォルモサ・リージェント)でビールを飲む,結構大げさなつまみが付いてくる.
 どこをどう歩いたのか私は全く分からないが,1日目の夕食処,台湾料理の「欣葉(SHIN YEH)」へ着く,ここは団体客も多いようで,店の横には大型バスがひっきりなしに来る.日本語のメニューもあり,北九州市の小倉にも店を出している.

■ 変身写真館「黄金印象」 ■

 お腹が満たされたあとは,変身写真館「黄金印象」を探す.ここは知佐子さんと福ちゃんがあらかじめリサーチして,日本から予約しておいた店である.今日は打ち合わせであるが,ここでは日本語が通じないので福ちゃんと知佐子さんが英語で店の人と会話している.横で聞いている私は???☆☆※※…で,英語力の無さに落ち込む.てなわけで,2人が英語で会話している内容は良くわからなかったが,結論だけを述べれば,翌日の朝7時から午後2時まで撮影とのことであり,私は初の海外旅行の2日目にして,ひとりぼっちで街に放り出されることとなった.

■ 不夜城 夜市 ■

 明日の事は後で考えるとして,とにかく台北の夜は夜市だ!とばかりに士林夜市へ繰り出した.士林夜市は台北でも一番規模が大きい夜市である.どこから人が集まってくるのかと思うほど,人で溢れている.食べ物を扱う店とそれ以外のものを扱う店のエリアがMRTの劍潭駅を挟んで分かれている.食べ物を扱うエリアの匂いと熱気は強烈である.私たちは一番入り口に近い所でフルーツのジュースを買った.3人違った飲み物を頼んだが,どれがどれだか味では分からないほど,不思議な味である.福ちゃんと知佐子さんは,予想していたものと実際のものが異なるという,期待を裏切られるところを面白がっているようであった.これも海外旅行の面白さである.

士林夜市

■ 台北ひとりぼっち ■

 2日目の午前中は中正記念公園へ向かった.
 滞在するシェラトン・タイペイからは真南の方向になるが,少し遠回りして,台北車站,228和平公園,総統府などの建物を見て,中山南路に面する大中至正門から中正記念公園へ入った.右手に国立劇場,左手に国立コンサートホールがあり,一番奥に中正記念堂がある.
 中正記念公園は蒋介石が没した翌年の1976年に着工し,1980年に公開された蒋介石を偲ぶ広大な記念公園である.ちなみに「中正」とは蒋介石の事.中正記念堂の正面の89段の石段(蒋介石の享年と同じ)を登った先の大広間に高さ6.3mもの巨大な紹介石像が鎮座している.
 紹介石像の両脇には衛兵が微動だにせずに立っている.そして1時間ごと(毎時正時)に衛兵の交代式が行われる.衛兵の一糸乱れないシステマチックな動きは必見である.

中正記念堂 蒋介石像 衛兵の交代式

■ 台北101(タイペイ・イーリンイー) ■

 MRT市政府駅からひときわ高くそびえ立つ建物,台北101へ向かって歩く.このエリアは台北の一大ショッピングエリアになっており,日系のデパートやシネマコンプレックスなどが立ち並ぶ.その一つニューヨーク・ニューヨークは海外のカジュアルブランドが充実する若者に人気のショッピングビルで,1階のマクドナルドは「流星花園」のロケ地でもある.
 台北のデパートの地下には,大抵フードコートがある.テイクアウト形式のファーストフードの店がずらりと並び,日本でもおなじみのものから台湾でしか味わえない様なものまで多種多様な料理を選ぶ事ができる.ちょっと小腹がすいたので,台北101のB1階のフードコートで腹ごしらえをする.
 さて,いよいよ世界で一番高い建物,台北101の展望台に上がる.地上508m,101階建ての89階に展望台がある.5階から展望台行きのエレベーター(世界最速1010m/min=東芝製)でわずか37秒で地上382mの展望台に着く.気のせいか,かすかに揺れている様な感じがする.

台北101 展望台からの眺め

■ 微風廣場(Breeze Center) ■

 ここも「流星花園」のロケ地.白を基調にした店内は清潔感が漂い,アトリウムが開放的である.日本でおなじみの無印良品や紀伊国屋書店もある.また,地下の食料品売り場には日本の食材も揃っている.

■台北の原宿 西門街 ■

 ここは若者文化の流行発信地.ファッション,雑貨,飲食店が所狭しと並び,昨日訪れた士林夜市に勝るとも劣らぬ活気を見せている.私たちは「三兄妹」というお店でマンゴーやストロベリーの載ったかき氷を食べた.私たち3人は,台湾の食を楽しむため,徹底して3人が違う物を注文し,それぞれを食べ比べて楽しんだ.

■ VS(Vacuum Space〜真空地帶) PUB ■

 ここも「流星花園」のロケ地.MRT木柵線科技大樓駅の1カ所しかない出口を出て目の前の大通りの反対側すぐのビルの地下にある.台湾ドラマファンの知佐子さんのリクエストで来たお店なので,お酒が苦手な知佐子さんも.ここでは飲まねばならない.


■(番外)松田聖子台湾コンサート応援ツアー ■

 私たちが台北に滞在しているときに,松田聖子の初の海外公演が台北で行われ,日本からの応援ツアーの一行が,同じホテルに泊まっていた.3泊4日の日程で,毎朝ホテルのロビーに1日のスケジュールが貼り出してあった.

■ 温泉研究所初の海外進出 ■

 MRTで新北投に向かう.駅を出るとほのかに硫黄の匂いがして,温泉に来た事を感じさせる.知佐子さんは「有馬みたい〜」と言ってはしゃいでいる.川が流れ,その両脇にホテルが建ち並ぶ光景は,日本の温泉地とよく似ている.
 駅から横断歩道を渡り,北投温泉親水公園へ入る.ここの噴水は金城武の映画「ターンレフト ターンライト」のロケ地だ.
 北投温泉博物館は1913年築造の外観はビクトリア様式で,当時はアジア最大の公共浴場を有した.畳敷きでステージ付きの大広間などは,日本統治時代の面影が残っている.


北投温泉博物館 北投温泉博物館

 一旦,駅前まで坂を降りて,再び花月温泉生活館へ向かって坂を上る.小学校,中学校の前の坂を上り,脇道に入ると花月温泉生活館である.ここも「流星花園」のロケ地.残念ながらここは露天風呂がないので,再度,駅前に戻りタクシーで春天酒店へ.ここの露天風呂は水着着用である.泡風呂,超音波風呂,打たせ湯などがある(800NT$).露天風呂から眺める景色は,台湾にいる事を感じさせず,日本とまったく変わらない.


花月温泉生活館
春天酒店(露天風呂)

■ 港町淡水 ■

 夜までに時間があるので淡水へ向かう.
 淡水は淡水河が海に注ぎ込む河口に近い港町である.国土の狭い台湾にもこんな穏やかな流れの川があるのかと思うほど,ゆったりとした流れである.
 川の流れとは対照的に,道の両側には屋台がならび,道幅一杯に人が溢れている.高さ50cmはあろうかというソフトクリームを売る店などが目を引く.知佐子さんは好奇心旺盛にいろいろな物を買って食べ歩きしている.これが淡水スタイルである.昼間から夜市の雰囲気が漂い,ごった煮の華人文化が感じられる.夕暮れとともにアベックが多くなってくるようだ.

■ 台北を食べる ■

 小龍包の鼎泰豊はNYタイムズが世界10大レストランに選んだ事もある超有名店.店の前には人が溢れ出し,確実に並ばなければ入れない店であるが,回転が速いため,思ったよりも早く店に入る事ができる.順番を呼ばれ,厨房の横を通って奥に入ると,私たちの興奮度は振り切れてしまった.
 小龍包はアツアツを一口で頂くのが一番である.口の中で肉汁がじわぁっと出てくる.私たちは小龍包の他に蝦仁焼賣,炒青菜,酸辣湯,台湾ビール,そしてデザートに芋泥小龍を注文した.これだけ頼んでも品物が出てくるのが早いので,1時間足らずで満足して店を出た.

鼎泰豊は行列必至! 小龍包 小龍包は熱いうちに

■ 茶芸事始め ■

 旅の最終日,台湾を離れる前に茶芸館へ行った.ここで私は今回の旅で唯一と言っても過言ではない主張をした.密かに,渡辺満里奈著の「たわわ台湾」で茶芸館を予習していた私は,すかさず竹里館を希望した.竹里館は台北西華飯店(シャーウッド)の裏手にひっそりとある.3種類のお茶を工夫茶で頼んだ.1杯目はお店の人に入れてもらい,2杯目からは知佐子さんが挑戦した.ちょっと緊張して,じっくり味わう余裕は無かったが,一番さっぱりした高山茶と茶器を買って帰った.


その他の台湾関連サイト

■台湾・台北旅行情報サイト 台北ナビ.COM

■Click 台湾

■旅々台北.com 台北の観光やグルメの総合情報とホテル予約

「流星花園」ロケ地関連サイト

■流星花園ロケ地index


 今回の台湾旅行は,私にとっては初めての海外旅行という事もあって,緊張と不安の連続であった.そんな旅を楽しくしてくれたのは,台湾にめっぽう詳しい福ちゃんと,海外旅行慣れしている知佐子さんであった.お二人には本当に感謝しています.

 台湾滞在中は,日系のデパートや,ファーストフード,コンビニがあり,日本の新聞やテレビも見ることができるため,海外へ来た感じが希薄であったが,日本に帰ってきて,じわぁっと「海外へ行ってきたんだなぁ〜」という思いがしてきた.
 また,行きたくなった.台湾へ.


参考文献

◆るるぶ情報版A8 台湾'05〜'06(JTBパブリッシング

◆渡辺満里奈著「満里奈の旅ぶくれ−たわわ台湾−」(新潮文庫


今回の旅人:K.Fukumura,C.Morikawa,K.Tsuge

2005年 8月 31日 (水)


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