熟年トレッキングツアー体験記2
(2003.10.19〜20)


 ■ 標高2000m 池の平湿原トレッキング ■

5月に続いて,10月19・20日の両日,熟年トレッキングツアーに参加した.
このツアーは過去7回の内,4回も雨に降られるという,降水確率60%のツアーであり,雨具は必需品であるが,私が参加を始めてからは比較的天候に恵まれている.今日の予報も晴れマークの一点張りで,雲一つ無い文字通りの快晴である.「綾小路きみまろは私の弟子…」と言うガイドさんの合図で,JR大垣駅前を午前7時30分に出発した.

 大垣インターから名神高速道路に入り,中央道,長野道を通り,更埴ジャンクションから上信越自動車道に入る.上田菅平,東部湯の丸と過ぎて小諸インターで高速を出た.すでに時計は12時を指しているので,早速昼食場所へ向かった.
 1日目の昼食は小諸の北国街道沿いの丁子庵という老舗のおそば屋さんである.本館は110年の歴史のある総欅(けやき)造りであるが,私たちは裏の新館に入った,座敷の窓からは浅間山を望むことができる.この店では浅間高原で育ったそばを,そば粉の製粉度を高めて白色にして,麺棒を3本使った独特の方法でそばを打っている.当然のことながら,私たちが到着してからそばを茹で始め,冷水にくぐらせるので,少し時間がかかるが,風味も歯ざわりも良い.

 小諸を後にして,県道東部嬬恋線を鹿沢温泉方面へ向かう.この道には一丁(約109m)毎に100体の観音像が建っている.バスは次第に山中に入っていき,標高を上げていく.車窓には黄色く色づいたカラマツ林が広がる.地蔵峠(1731m)の手間で,湯の丸高峰林道に入り,程なく池の平の駐車場に着く.
 池ノ平湿原はかつて火山の火口であったところに湖ができ,土砂や植物の遺体が堆積してできた湿原なので,駐車場のある場所は火口の縁にあたる.そのため,湿原へは坂を下っていくことになる.私は雲上の丘から湿原の外周を回って帰ってくる予定であったが,間違って湿原内へ下りてしまったので,木道を鏡池へ向かい,見晴台へ行くことにした.見晴台への道は,少し登りがきつくなったが,八ケ岳連峰や,遠く富士山を望むことができた.湿原内の散策には,いくつかのルートが用意されているので,体力に応じて楽しむことができる.

池の平湿原
湿原には木道が整備されている 湿原全景 鏡池
あずまや高原ホテル
ホテルから望む浅間山
 池の平湿原を約2時間散策した後,今晩の宿,あずまや高原ホテルに向かった.ここは5月のトレッキングツアーでもお世話になった宿で,百名山のひとつ,四阿山麓の標高1500mの場所にある.夕食の時間まで時間があったので,ホテルの周辺を散策した.ホテルからは浅間山がはっきりと見えた.ホテルの裏手から四阿山の登山道が延びているが,夕暮れ時にひとりで歩くのは,少し心細く感じた.
 夕食は2階のレストランで和風会席に舌鼓を打った.食事の後はレストランで添乗員さん,ガイドさん,ツアーの参加者の方とのおしゃべりタイム.一人で参加しているので,こういうのは大歓迎だ.
 部屋に戻ってテレビをつけると,プロ野球の日本シリーズ第2戦を放送していた.ダイエーが5-0で阪神をリードしていたが,あっという間に,13-0まで点差が開いてしまった.にわか阪神ファンとしては面白くないので,風呂へ行くことにした.今日2回目の入浴である.露天風呂では満天の星を眺めながら入浴できる.長風呂に浸かっていると,少しずつ星の場所が移動し,地球が自転しているのがわかる.

■ 北八ヶ岳白駒池でアクティブトレッキング ■ 

2日目はホテルを8時30分に出発し,上田菅平インターから上信越自動車道を佐久インターまで走り,インター前のおぎのやで休憩をした.隣にJAの直売場があり,ここでガイドさんが朝採りの高原キャベツを買って,走ってきた.バスに備え付けの冷蔵庫で冷やして,塩を振って食べると美味しいとのことなので,期待しよう.
 バスは八千穂からメルヘン街道(国道239号線)に入る.標高が高くなると白樺林が広がる.八千穂の白樺は日本一らしい.何回かカーブを曲がって白駒池の駐車場に着いた[11:05].ここで約2時間の自由行動である.

 事前にインターネット等で調べて,白駒池では高見石に行こうと決めていた.池の平湿原で道を間違えたので,慎重に足を運ぶ.10分ほど原生林の中を進むと,白駒荘と青苔荘への分岐点に出るが,高見石への道もここから分かれている.高見石へは白駒荘の脇からも登ることができるが,こちらはかなり急な登りになるので,できれば下りに利用したい.かなり速いペースで歩き,25分ほどで高見石小屋に着いたが,なぜか登ってくる間,誰ともすれ違わなかった.途中,道が別れるところには標識があり,迷うことは無い.
 ここの山小屋は通年で営業しているので,手軽に登山気分を味わうことができる.ちょうどお昼時で,山小屋のテラスで多くの人がお弁当を広げていた.大自然の中で食べるお弁当は,どんな高級料理にも勝るとも劣らないだろう.小屋からは眺望が利かないので,小屋の脇から岩山を登って,高見石へ行く.苦労して登ると眼下に真っ青な水をたたえた白駒池が見えた.紅葉が終わっていたのが残念.
白駒池入口
原生林の下に苔が生えている
高見石小屋への道 高見石小屋 高見石から見る白駒池

 下りは白駒荘への道を下りた.急な坂で,途中で何度も足を取られて,尻もちをつきながら下る.15分ほどで湖畔へ下りてきた.湖畔にも池を45分くらいで一周できる遊歩道があるが,集合時間まであまりないので,駐車場に戻った.

 バスに戻ると,よ〜く冷えた朝採りキャベツのお出ましである.午後1時近くになり,お腹を空かしたキリギリス達(ツアー参加者)がキャベツをかじる.歯ごたえが良く,甘みがあって,大自然の恵みを感じた.

白駒荘 白駒荘から見た白駒池

■ 紅葉の横谷渓谷ハイキング ■ 

2日目の昼食は,蓼科ブライトン倶楽部という会員制のホテルである.こういうハイソな場所に慣れていないので,ちょっと落ち着かなかった.食事を済ませて出発を待っている間に,年配の男女がタクシーでホテルに着いた.ひょっとして有名人?と思ったりしたが,知らない顔だった.最寄りの駅といっても,かなり遠いので,タクシー代もバカにならないだろうと,変な心配をした.

 食事の後は横谷渓谷のハイキングである.横谷観音から横谷温泉まで約1時間,ほぼ下りの道である.最初はジグザグに渓谷に下りていく.せせらぎの音が聞こえてくるが,流れはなかなか見えてこない.最初に飛び込んできたのが,王滝.そして,しばらく歩くと,渋川の流れが真近に迫ってくる.滝や変わった岩には,屏風岩,一枚岩,乙女滝などの名前がつけられている.冬には流れが氷結し,氷の芸術を見ることができる.

横谷渓谷
最後に,東山魁夷画伯の「白い馬の見える風景」のモデルになった御射鹿池へ行く.看板も駐車場も無い,周囲400mほどの小さな池であるが,なんとなく神秘的な感じがする.西に傾いた陽射しが,ちょうど対岸の森を照らし,水面が水鏡になって,背面の森を映しだしている.東山魁夷画伯は森の中に白馬を描き,幻想的な世界を表現した.
御射鹿池  

 添乗員さんの話では,今年の紅葉は,今ひとつとのことであった.しかし,改めて紅葉狩りなどしたことがない私にとっては,横谷渓谷の紅葉もきれいだったし,白駒池や池の平湿原で見た黄金に輝くカラマツがとても美しく感じた.もっとすばらしい紅葉は来年にとっておこう.

 このトレッキングツアーは,目的地では自由行動が基本になっており,それぞれの体力や体調によってコースを選ぶことができる.おまけに,歩かない人のためにオプションが必ず準備されている.また,昼食も普通の団体旅行とは少し違い,場所,内容ともに凝ったものになっている.常連さんが多い理由だろう.細やかな心遣いに,添乗員さんの苦労が感じられる.次回も楽しみだ.


フォトアルバムへ

2004年 9月 22日 水曜日


たびネット信州

歩く信州の中に池の平湿原の詳細な地図があります.わたしもこの地図を持って歩きました.

信州・東部町観光協会

湯の丸高原のページには,池の平湿原の情報や地図があります.

あずまや高原ホテル

私たちが泊まったホテルです.日帰り入浴も可能.また,ホテルでのコンサートなどの企画もあります.

八千穂村

八千穂村の公式ホームページ.“高原は今”のページにきれいな写真があります.

八ヶ岳だより

八ヶ岳の山小屋が運営するホームページ.ここに白駒池の高見石小屋の情報があります.山小屋の案内,初心者向けの情報など.

蓼科ブライトン倶楽部

周辺の観光案内や蓼科の天気予報,季節には紅葉情報も見ることができます.


戻る