長良川鵜飼いの旅
(1991.9.20〜1991.9.22)

◇ 旅のきっかけは一本の電話から ◇

 まだ7月も始まったばかりだというのに,何となくこの夏どこにも行けずに終わりそうな予感がして,ちょっぴり落ち込んでいたとき,この春結婚した大阪の友人から電話がかかってきた.
「和風旅館に泊まって鵜飼いを観て,鮎料理を食べて…そんな風情のある旅がしたいんだけど計画してくれないかなー.ただし,私たち夫婦がメインであなたは運転手で….」
ちょっとしゃくにさわったけど,一緒に旅をしてくれる恋人もいないからしょうがないか…と.友人の誘いにOKした.
 旅と決まれば,JTBってわけで,いつもお世話になっている大垣支店の人に
「友だち夫婦と私の3人で,長良川に泊まって鵜飼いを観たい.」
と希望を伝えて,宿と舟の手配をお願いした.今回はちょっとリッチに長良川ホテルの新館に泊まることにした.宿泊と鵜飼いがセットになった『鵜飼いパック』で,なんと1人38,000円.地元に住むわたしにとっては,わざわざホテルに泊まることはないのだが,久しぶりの友だちとの旅行だし,鵜飼を見るのも初めてなので,まぁいいか.
 宿の手配が終わると担当の人に,
「もうそろそろ結婚したら?」
って説教されてしまった.そして極めつけは,
「新婚旅行はぜひJTBでお願いしますね.」
さすが,しっかり商売してる.と思いながらも,こんな友だちづきあいができるのも馴染みの旅行代理店の良さかな?と思いながら支店を後にした.

◇ 鵜飼は贅沢な大人の川遊び ◇

 さて9月20日,待ちに待った鵜飼いの日,前日の台風も通り過ぎて,台風一過のいい天気.前々から有給休暇をとって心身ともにスタンバイOK.大阪からの友人夫妻と合流して,赤い路面電車の走る岐阜の街を抜けて今晩の宿,長良川ホテル新館へと車を走らせた.
 ホテルに着き,部屋に案内されてびっくり仰天.今晩私たちが泊まる部屋は10畳+8畳の和室に2畳の書院という,スーパーウルトラ贅沢な間取り.
 さっそく浴衣に着替えて鵜飼い見物へと出発.ホテルの車で舟の出る長良橋まで送ってもらって,またびっくり.舟は私たち3人で貸し切りになっていて,舟には私の名前が書いてあった.
 船頭さんが竿をあやつり,船が岸を離れ,長良川を上っていく.川面を渡ってくる風が,浴衣の肌に心地よく当たる.鵜飼が始まるまではお食事タイムになっている.舟の上で飲むビールの味は,ビアガーデンなんか比べものにならない.そして舟の上で食べる料理の味も,また最高.メニューは写真にあるように,3段重ねの重箱にいっぱい詰まっていて,食べきれないくらいだった.そして,鮎の塩焼きと鮎雑炊もとってもおいしかった.
 そろそろ,あたりが暗くなり,酔いも回って,おなかもいっぱいになった頃.いよいよ鵜飼いの始まり.長良川の上流からかがり火をゆらしながら鵜舟が川を下ってきた.鵜匠に操られる鵜の姿を,サラリーマンの自分と重ね観て,なんだか同情してしまった.クライマックスは,総がらみといって,6艘の鵜舟が一斉に川を下りながら鵜飼をおこなう姿は幻想的で,思わずため息をついていた.鵜飼を見ている間,時の流れがゆっくりしている感じで,とても贅沢な気分に浸ることができた.
 鵜飼いの後は,ホテルに戻り,長良川と岐阜城が見える大浴場でのんびり疲れを流し,その後は,ホテル内のスナックでカラオケで発散した.
 さて,翌日はホテルをゆっくりとチェックアウトし,近くにある岐阜メモリアルセンター(1988年「ぎふ中部未来博」の会場となったところ)のテニスコートで,地元の友人と一緒にテニスで汗を流した.

主役の二人

長良川の鵜飼

◇ ◇ ◇

 ところで,余談になりますが,いま長良川に河口堰が建設中です.長良川は本流にダムが1つもない,数少ない川です.河口堰によって長良川の自然や,鵜飼がどう変わっていくのか心配です.

※今回の旅人:M. Kasagi,K. Kasagi,Tsuge


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