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(About the Tittle ; Do you know Miss.Rachel Carson?)
レイチェル・カーソン
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RACHEL L. CARSON (1907〜1964)
アメリカ合衆国のペンシルバニア州スプリングデールに生まれたカーソンは、少女時代から雑誌に投稿するなどを繰り返す文学少女であったようですが、大学時代に生物学を専攻したこと、その後の現魚類野生生物局での広報誌の編集主任の経験などが、彼女を稀代の科学的な視点と流麗な文体を併せ持った著述家にさせたのでしょう。1952年には職を辞しますが、不朽の名著「沈黙の春」はその10年後の1962年に出版されました。「沈黙の春」の出版によりカーソンは一躍時の人となりますが、と同時に農薬関係企業等による激しい攻撃にも曝されることになりました。しかし、既に癌に蝕まれていたカーソンには十分に戦う時間は残されておらず、1964年4月14日にその生涯は終わりを迎えました。56歳という実に若すぎる死であったわけです。 |
センス オブ ワンダー;THE SENSE OF WONDER
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1956年に雑誌に掲載されたものを、カーソンの死後に知人らが彼女の遺志をついで1965年に単行本として出版されました。人はどのように自然に目覚めていくべきかを、カーソンの親戚の子供のロジャーとカーソン自身のふれあいの中で語られています。押しつけることによっては自然に対する感動や洞察力は生まれないといったカーソンの考え方がしみじみと伝わってきます。文体も優しく語りかけるようであり、カーソンの自然に対する慈しみを感じさせるものとなっています。また、この本は文章もさることながら美しい写真に彩られていることも忘れてはなりません。
現在、日本では新潮社から上遠恵子さんの翻訳によるものが出版されています。この本では原著とは異なり日本人写真家による写真が用いられていますが、やはり美しい写真であり、全て日本国内で撮影されたものでありながら、本文と十分に調和しており、読後の感動を深いものとしてくれます。 |
沈黙の春;SILENT SPRING
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1962年に刊行されると同時に一大センセーションを巻き起こし、今日までもその歴史的価値を保ち続けている名著といえるでしょう。カーソンはこの著作によって人類の犯してきた環境汚染の告発者の旗手となったのです。当時は農薬をはじめとする化学薬品が最終的に自然環境に与える影響については純粋に科学的な見地から言及されることもなく、いわば農薬等の製造者側の思うままにその使用は進んでいたわけですが、その現状に一石を投じたのがカーソンの「沈黙の春」ということになります。「沈黙の春」は政府機関に現状を見直させる契機となるとともに、企業側の猛反発を受けることになりますが、今日の自然環境に対する考え方はカーソンの主張に非常に近いものとなっています。しかし、カーソンの先見性を十分に活かしきっていないのも事実といえるでしょう。「沈黙の春」はカーソンが残した人類への大きな遺産であるといえます。我々はこの遺産の無駄にすることなく自然との調和を考えていかなくてはならないのです。そうしなければ人類は本当に、鳥も鳴かず虫の羽音も全く聞こえない春、“沈黙の春”を迎えることになるでしょう。
「沈黙の春」は新潮社より青木簗一さんの翻訳によるものが出版されています。 |
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