No.87

嫌なニュースが後を絶たない。戦争は終らないし、ひっきりなしに殺人事件が起こる。子供が犠牲になる殺人事件の殆んどは実の親の犯行なんだそうだ。我が子を犯罪から守る為には確率論からすると自分自身を警戒するのが先決だということになる。世も末だ。

戦争による人殺しも、親による子供殺しも同じくダメなことなんだけど意味合いが全然違う。親が子を守ろうとするのは自己の遺伝子保存の為であってそれは本能として脳に刷り込まれていることだ。

記憶が脳にあるかどうかまだハッキリしていないそうだが、脳は何重もの層で形成され新しい記憶は外側の層にあると言われている。脳の中心には原始的な記憶があってそこには動物が生きて行く為の本能があるらしい。言葉を持たない獣の脳は生まれてから殆んど成長することもない。獣は小さな脳を使用して生涯本能のままに生きて死ぬ。そんな獣でも「愛」なんていう概念に頼るまでも無く生まれる前から子供を守ることを知っている。人間が戦争をダメだというのは敗戦国の教科書に書いてある知識であって誰かが定義した正義にすぎない。つまりそれは脳に新しく追加された記憶であって本能とは階層が全然違う。

人類に限らず現在地球に生存する生き物の全ては、何億年もの間、自分の遺伝子を残す争いに勝ち抜いてきた種の末裔だ。永く厳しい進化と淘汰の競争の中で生き残る為の競争力を持たなかった種は滅んで行ったはずだ。もしかすると人間が殺し合いを止めないのは自然な姿なのかもしれない。少なくも子供を虐待する親よりは自然だと思う。そもそも自分の子供を殺そうとする遺伝子をもった個体を無理に生かしておいても意味がない。そんな輩はいずれ死滅するから放っとけば良い。

人道的には人類の殺し合いを許すべきではないと思うのだが、医療の発達により不治の病や伝染病等の死亡率が減った現代では何らかのカタチで生存競争を行わないと人類の進化が止まってしまう。進化が出来ないということは環境の変化に対応出来なくなる事を意味し種族の絶滅につながる。

侵略されそうな少数民族は日本の銀行の様に合併して巨大化することで潰され難くくなり、その結果肥大した国家間での争いはリアリティーを失い、戦争が出来なくなることで明確な淘汰作用が失われる。淘汰が無ければ種族はキャパを超え飽和し、その歪は内戦やテロとなって噴出する。

平和であるという事は誰にでも優しい世の中だ。それは素晴らしいことだと思うのだけど「生物としての人類の道」と「文明を持ってしまった人類の正義」とには大きな齟齬が生まれてしまった様に思う。人類は後者を選ばずには地獄を歩むことになる。だが後者を選んだとしても飽和する世界には限界があり、その歪が人口抑制の為の新しい社会装置を生み出す。

本来生きるという事は大変な事だ。人類は自分の遺伝子を守る為に戦い、毎日必死に食料を探し、子供を守る為に命をかけて働かなければ生存を許されない。それが出来ないものは淘汰されていくのが自然の摂理だ。でも現在の日本はそういった生きて行く為の苦労全てを拒否しても生かしてくれるナマヌルイ社会だ。そんな社会には本来生きているはずのない遺伝子が淘汰されずに残ってしまうことになる。それが子供殺しのような不自然な事件に繋がって行くような気がする。

生物は進化の早さに耐え切れず世代交代する。いくつかのタイプが試されダメな種類は滅ばなければならない。全部が全部生き残る事は大地のキャパが許さない。地球上に人類が存在し続けるためには自然淘汰が必須で戦争がその社会装置だとすれば人類は自然のままに戦死しなければいけないのかもしれない。たとえ戦争が無くなったとしても別のカタチとなって誰かを殺す。結局のところ平和と戦争は光と影のように対になっているものなのかもしれない。もし世界平和が叶ったとしてもその裏に隠された闇の深さは計り知れない。

子孫を残すという事はその食いブチを稼ぐ為に誰かの子供を殺す覚悟がいるという事なんだろうか。例えばボクは肉を食っても屠殺場の風景を想像しない。それと同じように世界のどこかで貧困で死んでいく子供たちの事だって真剣に考えたりしない。

 

先日友人がまた一人結婚した。仲間内で集まって二人を祝福した。その席でボクは最後の独身となってしまった。「なぜ結婚しないのか」と散々聞かれたけどそこは酒の席だからボクは新郎新婦の前でも構わずにジョークで結婚制度を全否定した。結婚しないということは家族を持たないということで、そのツケはいずれ払うことになる。でも自分の老後の為に家族を持とうなんて思わない。それはそれで仕方のない事だ。結婚なんていくらでも否定する。でもただ一つだけボクの中で残念でならない事がある。それはボクが両親からもらったモノを我が子に託すことが出来ない事だ。子供に出来る親孝行というモノがあるとしたら多分それだけなんじゃないかと思う。それを思うといたたまれない気持ちになってしまう。

06/08/23

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kuntan's note