だいたいどれをとっても、いちいち「やられた!」と思わせられる作品群。割と沖縄のイメージに依存しているような感じを受けるが、それだけではない。手を変え品を変え、微妙に違うツボを付き捲る技は絶妙。案外技の数は多いのかもしれない。これからにも期待。
祝い事をしてはならない日に一族が祝い事を強行した祟りか、優子は7つの魂(マブイ)を全て落としてしまったとユタに告げられる。早くマブイを取り戻さないと、死んでしまう。慌てた優子はマブイを探して島を駆け回り、行く先々でマブイが宿った魚やアイスキャンディを売りつけられる。
東子はキャミソールと麦藁帽子でおしゃれして、サトウキビの森の前で洋介を待っている。そこは1年前本土から旅行に来た洋介と初めて会った場所なのだ。また再び会えるのだと胸をときめかせる東子だったが、なかなか待ち人は姿を現さない。代わりに道の向こうから現われたのは、ものすごく歩みののろいオバァだった。
睦子はオバァと歓楽街の部屋に二人暮らしだ。母は睦子が幼い頃に疾走してしまったらしい。オバァは昼間は魚を売り、夜は化粧をしてホステスをしている。部屋からは夜の町に仕事に出かける何人ものオバァが、ビッチンヤマ御嶽(拝み場)で変身する様子が見える。ある日睦子は拝み場で手を合わせているオバァに出会う。聞くと、ビッチンヤマ御嶽は人を隠すことがよくあるという。睦子の母が最後に目撃されたのも、ビッチンヤマ御嶽の近くだった。
初枝は良いオバァである。夫とは20年前に死別した。しかもその間十数年は、夫の不貞のために別居状態であったのだが、彼女は寂しくはなかった。浮気の相手が隣に住む民江だったからである。沖縄に冬がやってきた日、初枝の元に突然可愛らしい少女が現われた。初枝は喜んでもてなし、少女は翌日もやってきた。しかし隣家の民江はそれを快く思わず、少女を攫ってしまう。民江は暖かくもてなそうとするが、少女は次第にやせ細っていく。その時、少女の来訪を待ちわびる初枝の心にも変化が……。
彼女は夜毎に僕の部屋に現われる。僕が眠っている隙に僕の布団に潜り込み、僕が目覚める前に去っていくのだ。布団の端に体の型だけを残して。僕は彼女に恋をした。
理子は占い好きの中学生だった。あらゆる占いを試し、自分に都合のいい結果だけを信じ、現実よりも占いで告げられた未来を信じていた。ある日、前世占いによって、自分の前世が神官であったことを知る。
結婚して間もなく、突然妻に失踪されてしまった主人公。独り暮らしを再会すべく、移ったアパートに、奇怪な「宗教新聞」が配達される。そして街にはその宗教の「目かざし」が大流行。目と目を合わせれば、運命の人との間にビームが走るというが……。
瞳は甘やかされている女の子だ。いつも家族に監視され、家から出してもらえない。でも、彼女は外へ出たがった。不思議な木を見つけたのだ。見事な梅の花を咲かせ、次には椿、桜……と、季節ごとに違う花を咲かせる不思議な木は、冬を迎えた時、最後の成長を遂げた。