091 
むかしあって今はないものW
06/03/16

捨て犬:むかしは捨て犬(野良犬)というと、けっこうかわいがられたもの。しかしながら、狂犬病というおぞましい付録をもっているというイメージのおかげで、渡る世間では肩身の狭い立場。
犬殺し:その捨て犬を一掃する目的だったのが、保健所の野犬捕獲係り。これまたイメージが悪く『犬殺し』。飼い犬を放しっぱなしにすると犬殺しに連れていかれてしまいます。
田舎の香水:人糞の肥のことをこう呼んだ。田舎へ行くと畑の脇に野ツボが掘ってあり、田舎の香水を蓄えた。野ツボで熟成させると、良質の肥料になるといわれているものの、くっさー。我が家の愛犬もこれに落ちたことがある。石を投げ入れてはいたずらした。
忍者ごっこ:今では○×レンジャーなどとかっこいいけれど、むかしはなんといっても黒装束の忍者。くるっと地面で回転し、空き缶のフタを加工して作った手裏剣をシュシュッと投げる。かっこいいー。
ワープロ:つい最近まであったが、もう過去の遺物。今で言えばノート型パソコンにプリンターまで付属したすぐれもの。
縁台:夏の風物詩。向こう三軒両隣が運命共同体だった時代のグッズ。ブタの蚊遣りに線香つけて、縁台でヘボ将棋。
手作り将棋盤:安物で買ってくる将棋には紙の将棋盤しかついていないので、板に自分で升目を書いて作った。微妙に板が反っているので威勢良く『大手』などとやると、将棋の駒が移動してしまいます。
着せ替え人形:つましい庶民のこどもは和紙で作った着せ替え人形。色とりどりの和紙はまるで高級和服をイメージ。または紙に印刷しただけだったりの人形だけど、オフランスのオートクチュール。米国から舶来のマテル社のバービーちゃんの方がいいけれど、庶民の子どもはやっぱり着せ替え人形。
駄菓子屋:薄暗い横丁の辻にあるのが駄菓子屋。こんなとこで絶対客なぞ来ない、というような立地なのになんと子どもたちの社交場。たいてい店番はおばあさんで、子どもたちからは『ババア』と呼ばれている。意地は悪いし不潔というのがその名の由来。自分たちのほうがずっと汚いのに・・。
くじ付き寒天菓子:手のひら大のガラスの器に赤や黄色の寒天が入っていて、木の盆に伏せてある。器の底に紙のくじが貼ってあり、中身を食べるとアタリがわかる。紙片に『○印』がついていたらアタリでもう一個。ガキが汚い手でいじるので、ババアはひやひや。
七輪:珪藻土を焼いて作ってあり、遠赤外線効果絶大な炭火コンロ。家の中では煙がたまらないので、七輪を屋外にセットして焼きサンマ、ジュージュー。気をつけないとドロボーネコ襲来。
薄板:木材を紙のように薄く削り取り、食品の包装に使った。肉、魚、饅頭など、何を買ってくる時にも都合がいいのが薄板。これに食品をのせ、くるんでさらに新聞紙でくるむ。衛生的でこびりつかない。発泡スチロールのトレーの出現で消えた。
新聞紙の袋:商店ではこれに揚げたてアツアツのコロッケを入れてくれた。なぜかどの家でも主婦は新聞紙を切って貼ってこの袋を作ったもの。そういえば何を入れたのでしょう。
馬フン:田舎道ではあたりまえ。『真ん中馬グソ、ぐろ仏』。道の真ん中を歩くと馬フンに足を突っ込んでしまうので、道の端を歩けという教訓。でも気をつけないと道端には人間のフンがあったりします。桑原桑原。
五右衛門風呂:石川五右衛門よろしく、大きな釜様の鋳物の風呂を下から薪で湯を沸かす。そのまま足を突っ込むとたまらないので、木の落し蓋を踏み込んで入浴する。でも加熱中だと風呂の壁も熱いので気をつけないといけない。やけどします。


092 
つけ太郎 ぬか
06/03/23


毎年、桜前線北上とともに、いよいよぬか漬がおいしい季節になってきます。日本にいろいろ漬物がある中で、つまるところぬか漬が、漬物の中の漬物といっても差し支えないでしょう。

今さらながらぬか漬のすばらしさについて:
まず第一になにがすばらしいかといえば、ぬか漬が発酵食品であるということです。通常、野菜を一夜漬けしたくらいでは十分な醗酵はしません。なんといっても時間が足らないからです。でもぬか漬はたった一晩漬けるだけでも、ちゃんと発酵食品なのです。

理由はかんたん。醗酵したぬか床に野菜を漬け込むことで、醗酵中の乳酸菌や酵母菌が乗り移るからです。しかも醗酵によって発生したうまみもいっしょについてくる。浅漬なのに発酵食品。なんとすばらしいことでしょう。

そして第二にすばらしい点。それは白米に不足しがちなビタミンB群を摂取できる点です。ご存知のように米ぬかには豊富なビタミンB群が含まれています。野菜を一晩ぬか漬するだけでビタミンB群補給。ビタミンBは炭水化物や脂肪を効率よくエネルギーに代謝するはたらきが活発で、疲労回復、美容に効果があるといわれています。

ぬか漬の思い出
ぼくが子供のころ、うちでもぼくの母はぬか漬をしていました。カメの中にたっぷりぬかみそが入っていて、そこに塩ずりした野菜を突っ込んでおいた覚えがあります。

ぼくはぬか漬が好きだったので、よくぬか床をかき混ぜたおぼえがあります。そのときのなんともいえない醗酵臭がわすれられません。

さらに『漬かりすぎ』が好きだったので、母親に内緒でカメのいちばん底のところにきゅうりやなすを忍ばせておいたものです。こうして4、5日放っておいて、学校から帰ってそっと取り出すわけです。それを水でさっと洗ってまるごと口に放り込む。すると口の中がなんともいえない酸味よいうか、うまみというか、ジューシーな味わいであふれる。至福の時といったら大げさですが、なんともしあわせな気分になったことを思い出します。
つけ太郎 ぬか
漬物屋である限り、やはりお客様に食べていただきたいのが『ぬか漬』です。なのに、道長のメニューにぬか漬はありません。それはぬか漬がもっとも活発な発酵食品だからです。

おいしく食べていただくためには醗酵していなくてはなりません。でもそうすると、お届けするまでに醗酵が進んで酸っぱくなってしまうし、袋は醗酵で発生する二酸化炭素で膨らんでしまい、あえなく返品という末路になってしまいます。

何とかおいしいぬか漬を
でも何とかおいしいぬか漬を召し上がっていただきたい、というのが長年のゆめでした。そこで考案したのが『つけ太郎 ぬか』です。だれにでもおいしく漬かるぬか床があれば、それを使ってぬか漬するだけでOK。というわけで、今まで使っていたぬかみそを継ぎ足しながら、『つけ太郎 ぬか』として売り出しました。

おかげさまで好評の『つけ太郎 ぬか』に成長しました。みなさんもこの機会にぬか漬をはじめてみませんか。

ぬか漬は日本の味


093 
昔あって今はないもの 6
06/03/29


アトムシール:鉄腕アトムが流行り、明治のマーブルチョコレートにオマケで付けられた。ただし、貧乏人には高嶺の花のマーブルチョコ。これをたくさんもっているだけでステータス。
夏休みラジオ体操:夏休みは生活が乱れてはいけないので、夏休みの前半はラジオ体操。毎朝ハンコを押してもらって皆勤賞には鉛筆やなにかの学用品。最後の日にもらえます。
ツチノコ:一時いる、いないで話題になったなぞのヘビ。特別天然記念物、レッドデータに指定される間もなく絶滅。
樟脳船:たんすに備える樟脳のかけらをセルロイド製の樟脳船の後に挟む。それを水に浮かべるとあら不思議。スーっと走ります。
ポンポン蒸気:ブリキ製の船の中に細工がしてあり、そこにチビたローソクに火をつけるとポンポンと音を立てて推進する。まさに蒸気機関を利用したすぐれもの。
紙せっけん:少女のたしなみエチケットとばかり、少女必携の紙状に薄いせっけん。そのかぐわしき芳香に、思わず異性を感じてしまう、ちょっと危険なアイテム。もったいないといつまでも使わずにいると、ポケットの中で引っ付いてしまいます。
パチンコ:ゴムカンとも呼んだ。Y字型の太い針金にゴムが結んであり、中間に皮のホルダー。これに小石やカンシャク球を挟み、ゴムを引き付けておもいっきりはじき出す。今に思えばかなりキケンな代物。
刃が引っ込むナイフ:ギラリと光るナイフにバネが仕込んであり、相手にグサリとやると刃が引っ込んで刺さったように見える。仕事疲れのお父さん、また今夜も子どもの相手でグサリと刺されて死んだふり。いい加減にしてくれーぃ。お疲れさん。
ヘビ花火:火をつけるとなんとも不気味にニョロニョロと、黒煙を上げながらとぐろを巻きのたうちまわる。ただそれだけの花火。なぜか楽しんだという後味のない花火。
日光写真:ボール紙製の箱にガラスのカバー。印画紙の上にパラフィン紙に黒インクで印刷された漫画のヒーローのネガを載せる。ガラスのカバーをかけて輪ゴムを掛け、日光に照らすとあら不思議。日光写真のできあがり。でもあとでちゃんと黒い紙に包んでおかないと、みんな真っ黒になっちゃうので注意。
ダッコちゃん:タカラ玩具で売り出したビニールの風船人形。なぜかファッションとして流行し、街を歩く女性の腕にダッコちゃんが。今にして思えば「なぜ?」といいたくなるようなファッション。うーん泣けてくる。
マンボ:駄菓子屋の定番菓子。薄いビニールの管にニッキの味のするフニャッとしたあやしげな菓子が入っている。これをビニールの管ごと噛み切ってクチャクチャやってから、ペッと吐き出す。
ワッペン:どうしてこんなもんが流行ったのかわからないけれど、これをあちこちに縫い付けてこれもファッション。ワッペンシールなるものも出現し、ランドセルやグローブにもワッペン。トホホ。
笑い袋:布製の袋の中に電池でうごく装置。これななんでしょうと渡されたとたん、袋の中から不気味な笑い声。結局はじきに飽きてしまい、笑い袋ならぬ無言袋。
あぶり出し:冬の風物詩。半紙に酢やみかんの果汁で秘密の文字や絵を描いておきます。それを火鉢の火にかざすと、あら不思議、黒い絵や文字が浮き上がる。もっともすでに半紙はよれたりシミができたりで、何がかいてあるか、あぶらなくてもわかっちゃうところがかわいい。
火を噴くロボット:ゼンマイ動力で歩くのと同時にお腹の穴から火を噴くロボット。回転するヤスリに鉄が触れ火花が出る仕組み。下手ってくると歩行不能で仰向けに転ろび、足をジージー動かすだけのあわれな姿に。あえなくお蔵入り。


094 
放っておけない
GMナタネのこぼれ落ち自生
06/04/17


現在、日本のナタネ輸入港周辺で、トラックでの輸送に伴うナタネのこぼれ落ちによる自生が問題になっています。たしかに現在日本に輸入されているGMナタネには、食品としての安全性が確認されているわけですから、べつに野生で自生していても問題はない。という解釈もあるわけです。しかしながら、一方では安全性が100%保障されているわけでもないのです。将来における人体と環境への安全性についてははっきり言って「わからない」というのが現状です。現に日本ではGM作物の商業栽培は一切行なわれていません。

いうまでもありませんが、日本に食品や家畜の飼料として輸入されている穀物は、そのまま土に播けば芽も出るし、成長して花を咲かせ、実を結び子孫を増やします。そしてGMナタネのように作物としてでなく、雑草として拡散してしまうものもある。さらに悪いのは、いったんそうなってしまうと、もう止めることがむつかしくなるということです。安全でないとわかった段階で使用を中止すればよい、というわけにはいかないのです。

関連の製油会社は今
日本の食用油製造会社は合併により巨大化したおかげで(日清オイリオとJ−オイルミルズ)、港に隣接した埠頭の中に巨大な製油工場として集約されています。その場合、ナタネなどの原料は直接港の中で加工されてしまうため、外部に拡散する確立が低くなっています。

それに対して、旧来から製油工場を営んできている地方の製油会社では、港から工場までの陸路を延々、トラックで輸送しなくてはなりません。

製油会社との折衝
私たち『遺伝子組み換え食品を考える中部の会』では、GMナタネの野外調査を進める一方で、製油会社や港の荷役会社、国道の維持管理をする国土交通省などとの折衝を重ねてきました。その結果、現在次のような対策が実行されています。

製油会社:
ナタネ輸送用トラックのこぼれ落ちが起きないよう、構造の見直しをする
トラック乗務員の教育(急ブレーキ、急発進、急ハンドルの禁止。トラックへのナタネ荷役後の清掃の徹底、業務日誌など)
自社製油工場までの沿道のナタネの駆除作業
港荷役会社:トラックへの荷役後、周囲の清掃徹底
埠頭内のナタネの駆除
国土交通省:除草区域以外でも、開花したナタネを発見した場合には駆除する

わたしたちに課せられることとは
以上のような対策でGMナタネのこぼれ落ち自生が完全に防げるわけではありません。その可能性を限りなくゼロに近づけるためには、あらゆる防止策が当事者たちによって、厳密におこなわれなくてはなりません。また、市民団体としての私たちの役割は、今フィールドで起こっている現状を把握し、それへの対策を関連団体に対して継続的に要求してゆくことです。

巨大な製油メーカーが港の埠頭内に製油工場を建設できるのに対し、中小の製油メーカーでは経済的な理由などで港から遠く離れたところへの移送を余儀なくされてしまう。そしてこぼれ落ちのリスクと、輸送コストを背負わされてしまいます。GMナタネの輸送をやめることができない限り、こぼれ落ちリスクを限りなく低いものにしてゆくための努力をする義務を課せられてしまうわけです。

GMナタネの拡散を完全に防ぐ方法は実はひとつだけあります。それはGMナタネの使用をやめることです。これには原料や分別流通のためのコスト、原料の安定供給などの問題があり、困難な点もあるかと思いますがぜひ実現していただきたいと思います。またGMナタネの使用を減らし、非GMを導入しての商品開発を進めることも、GMナタネの自生・拡散を減らす手立てになるのではないでしょうか。

トラックへのナタネ積込み後、荷台の開口部にシートをかぶせる乗務員



095 
有機認証とトレーサビリティ
06/05/06



日本で有機農業者が協会を作ったのが1971年(日本有機農業研究会)、世界では以外にもそれより1年あとの72年でIFOAM(世界有機農業運動連盟)がフランスで発足しています。現在本部はドイツ。

有機認証の歴史
日本で有機認証が制度化されたのは2001年、JAS法の改正の際。この有機の検査認証制度の創設のほかに、食品についての表示の充実強化が図られました。なおJAS法は5年ごとに見直しされることになっています。

海外での有機認証制度は80年代からで、その基準作りについてはIFOAMの『有機農業と加工の国際基準(82年策定)』が強い指導力を発揮。日本の有機JASの基準も大きくそれに依っています。IFOAMの認定は規範的なものとはいえ、日本での有機はJASの規格でしか認められません。そのため、日本に有機農産物やその加工品を『有機』として輸出するためには、海外の現場でJAS有機の検査をクリアする必要があります。

ただしJAS有機と同等の水準を持つ国で有機認証を受けた農産物(農産加工品)については、日本に輸出する場合には、そのまま有機JASの表示をすることができることになっています。その国名は次のとおり。

アイルランド、米国、イタリア、英国、豪州、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、フィンランド、仏国、ベルギー、ポルトガル、ルクセンブルグ

先日納品先の担当の方からこんな要求をいただきました
道長で『和風きむち』という商品があります。それに使っているH社の有機トマトピューレについて、それが有機であることの証明となる書類を要求されました。

もちろんのことトマトは農産物なので、色々な事情でピューレの原料として満足な質と量を確保するため、H社では国産の生のトマトか米国産、ペルー産のトマトピューレのいずれかを仕入れています。ここ何年かは国産トマトの収穫量の不足から、ペルー産(米国産より品質がよいため)トマトピューレを使用しているとのこと。

国産有機トマトの場合は、H社の有機認定工場でピューレにして缶詰に、輸入のピューレの場合には現地でJAS有機認定を受けた加工工場で作られたものを日本に輸入して、缶詰にパックしなおしています。

本来たとえば今回のような加工食品が有機認証を得ているとすれば、それに係る産地での有機認定証書は必要なく、最後の一枚、要するにH社の認定証書がそのすべてを総括するものとして有効です。しかしながら、消費者などから要求のあった場合には、それにかかわる書類を提示する義務をメーカーとして背負っています。これは有機の場合、理論的にはトレーサビリティーが完璧だからです。

すべての信頼性を追及するとすれば、H社の有機認証のほかにペルーのピューレ工場とそこで使われているトマトについての有機認定書類が必要になります。そしてさらに可能性として使われるかもしれない、米国産ピューレの加工工場の関連書類と原料トマトの同書類。さらに日本のトマトの有機を証明する書類も必要といえば必要です。

ここで問題になるのは、加工工場の場合はそこに固定されているため明確ですが、作物としてのトマトの場合には少々厄介です。毎年同じ生産者、ほ場で作られるとは限らない。あるいは昨年はそのほ場で作付けがなかったかもしれない。

有機認定証書は5年に一回発行されます。あとは毎年の検査がクリアーされたという通知書がそれに代ります。そのため、認定証書よりも『通知書』の方が有効であったりします。あるいは国によってそのあたりが違う場合もあるかもしれない。

ここまで来るといくら有機とはいえ、加工食品の場合にはその信頼性を確実にするためにその経路をすべてトレースバックすることが困難な場合もありうる。または単に農産物の場合でさえ、有機生産者が偽って禁止農薬を使った場合、有機認証はもうあてにならないことになってしまう。

では有機認証とはいったいなんなのでしょう。最終的に国が認めたのだから、その農産(加工)物が有機であると証明されただけということになるわけです。つまり、信用できないかもしれない。しかし正直な有機生産者が疑い深い消費者に農産物を流通する場合、それ以外に証明する方法がないわけです。

要するに有機認証とはそういうものだ、ということです。反対にこの制度が必要でない場合もあるわけです。生産者と消費者が互いに提携し、信頼しあっていれば何も問題はない。

有機認証には何かむなしさが付きまといます。ビジネスとして農業を捉えるならば、それはそれでも仕方がない。ならばこの制度が有機というウソを厳重に取り締まるためのものでさえあるべきだと思う。


096 
むかしあって今ないもの Z
06/05/09


レーコー/レスカ/クリソー:サテン(喫茶店)で注文するときの商品の略称。もともと調理場と給仕を結ぶ業界用語だったが、いかにも『通』を気取る客が使うようになった粋を装う言い回し。それぞれ『アイスコーヒー/レモンスカッシュ/クリームソーダ』を指す。
ウィンドファン:まだエアコンが高嶺の花だったころ、せめてその雰囲気だけでもというねがいのこもった家電。蒸れきった家の中の空気をかき回すより、外気を導入すれば涼しかろうというのだけれど、西日で火照った空気はやっぱりあじぃー。
ぶら下がり健康機:一日に数分間ぶら下がりさえすれば、背筋も通って健康体。でもいつの間にか衣文掛けになっちゃった。なさけなー。
頭脳バンド:少年雑誌の通信販売の定番。これを買って頭に巻けば血の巡りがよくなり、頭脳の回転もよくなるかも。でも良く考えてみたらもともと頭に血が通っていませんでした。
自転車の三角乗り:自転車なぞとても買ってもらえない小学生。頑強な男乗り自転車はがっちり三角構造でペダルに足が届きません。三角のなかに片足を突っ込み、斜めに構えてペダルを踏むというよりは『漕ぐ』姿は、ちょっとした曲乗り。ちっくしょー、自転車買ってくれぃ。
色付きヒヨコ:お祭りの夜店で色とりどりのヒヨコ。「大きく育てるとタマゴを毎日生むんだよー」とだまされて、手塩に掛けて育てた結果・・。コォケコォッコォー。
冷やしアメ:ソルビットかなにかを水で薄めて着色しただけのちょっとトロミのある飲み物。ただしこれを冷やして銀ピカの寸胴容器の蛇口をひねり、三角のグラスに注げば、夜店の照明に照らされなんとも大人の雰囲気。
昆虫採集セット:注射器と殺虫剤と防腐剤、ピンセット、虫ピン、虫メガネ、標本名書込用紙などがセットになっている。さらにファーブルよろしく、昆虫学者を夢見る子用はさらに解剖用具まで付いてます。でもとても実用とは思えません。捕まえた昆虫に注射針を・・刺す。うーん、これってちょっとアブナくない?
おもちゃの十手:銀メッキの本体にリリアンの飾り。御用だ御用だ。
指輪型水鉄砲:指輪と思いきや、指に隠されたその向こうにスポイド様の仕掛け。ぎゅっと握れば、チュッと水が飛出します。気の利いたいたずら玩具。
缶切り付缶詰:お弁当に缶詰。いいなあー。缶詰に缶切りが合体。アルミの缶のないころのはなし。
地球ゴマ:外枠の中にコマ。軸に小さな穴があいていて、これに紐を通してぐるぐる巻きつける。あとは紐を引っ張れば、コマが回ってあら不思議。綱渡りもすれば、鉛筆の芯の先でも回ります。動と静を兼ねそなえた、大人の雰囲気のするコマ。
インク消し『ミスノン』:ガンジーという会社の製品。インクを漂白して消してしまうカルキの香り高いアイテム。今はもうないと思ったら、なんと受注生産しているらしい。今もガンジーの商標マーク健在。
マンボズボン:オーバーオールのジーンズの裾の折り目に赤や黄のチェックの裏地のアクセント。肩ベルトを後から胸の金属ボタンに引っ掛ける。ぼくは幼稚園のころ、これをはくのがいやで仕様がなかった。「マンボははきたくない」と言った自分をおぼえています。
ガンジーこと丸十化成HP
http://www.misnon.com/
銀玉鉄砲:銀色の塗色が施された粘土の丸玉を連発で打ち出す画期的なピストル。撃つたびに『ビーン』というバネの音。セキデンというメーカーだった。お祭りの夜店でデビューした銀玉鉄砲は爆発的人気で、持ってない男子はないほど。
巻玉鉄砲:少量の火薬を仕込んでロール状に巻いてある『玉』をセットし、引金を引くとパンパン連発で音がする。爆発音はさほどではないけれど、連発の快感はちょっとない。でもブリキ製というのが泣き所。硝煙が細いバネなどを腐食させ、じきに壊れてしまいます。それでも、お祭りのたびにまた買っちゃう。

むかしあっていまないもの。


097 
カリカリ小梅漬の作り方
06/05/30



おいしい小梅漬といえば、なんといっても歯ごたえのいいところを『カリッ』といきたいところ。でも最初はカリッと漬けたつもりが、夏をすぎる頃から歯ごたえがなくなってきてしまいます。

そこで今回は『カリカリ小梅漬』

まず小梅をきれいに洗います
つけもの容器はきれいに洗って水気をふき取る
容器の底に食塩を少し振る
用意するもの(その1)
まだ青い小梅1Kg
食塩100g
つけもの容器(あまり直径の大きくないもの)
重石1Kg以上のもの
小梅200gを入れ、塩粒でゴリゴリさせ、表面に十分キズをつける
さらに200g小梅を加え、塩をまぶし、ゴリゴリ
こうして200gづつが容器におさまったら、(食塩は半分以上とっておいて)残りの塩でふたをする
重石をかける
一日に一回、重石を取り、容器を振って梅酢がまんべんなく行き渡るようにする



梅酢が上がったらそのまま冷蔵庫に入れるか、入らない場合は丈夫なポリ袋に移し、ぎゅっと空気を抜いて輪ゴムでしばり冷蔵庫へ
10漬け込みから10日ほど経ったら・・・赤しそ(枝付き)300gをむしり取り、むらさき色の水が出るまでよくもむ
用意するもの(その2)
赤しそ1把(約300g)
食塩10g
11大さじ2杯ほどの梅酢をかたく絞った(アク水はすてる)赤しそに加え、真赤な汁がでるまでよくもむ(この汁はすてない)
12赤しそを小梅の入ったポリ袋に入れ、ふたたび空気を抜いて輪ゴムをかけておく

さらに2週間ほど冷蔵庫で置けば、カリカリ小梅漬のできあがり。このカリッとした食感を保つには冷蔵保存がいちばん効果的です。


098 
ラッキョウ漬の漬け方
06/06/06



豆知識:もともとラッキョウは中国の中東部が原産とされているそうです。すでに紀元前400年ごろには栽培されていたようです。

日本では新撰字鏡や本草和名、延喜式などの9世紀末から10世紀ごろの書物に、やはり薬用としての記述があるそうです。栽培されていたかどうかはわかりませんが、その時代にはすでに日本に紹介されていたことになります。
薬 効:
内臓、循環器系に広く薬効があり、胃けいれん、下痢、夜尿症、痔、肩こり、腰 痛、冷え性、不眠症、高血圧、動脈硬化症、神経痛、感冒などに、おろし汁は止血効果もあるといわれています。

調理法:
ネギのようにみじん切りにして薬味として、各種漬物として、煮物にも。とにかく調理法も多彩。

栄 養:
栄養価についてはとりたててないようですが、他の栄養素(ビタミンB1など)の吸収率を高めるはたらきもある。

歯ごたえのよいラッキョウの漬け方
土付きで届いた楽京をそのまま水洗いします。最初にある程度土を洗い流しておかないと、楽京の茎と根を刃物で切り落とす時に刃先を痛める結果になります。
次に茎と根を切り落とします。
洗い桶に加工の済んだ楽京をいれ、水を流しながらかき混ぜるようにして洗います。こうすると、外側の汚れた薄皮が取れてきれいになる。
はがれてとれた薄皮を取り除き、きれいになった楽京をざるで水切りします。
ラッキョウの容積と同量の約10%ほどの塩水を用意し、楽京が浸るまで注ぐ(浮いている楽京が沈めば漬け上がり)。このとき、ポリ袋を用意し楽京をいれ、塩水をたっぷり注ぎ、袋の空気を抜き、輪ゴムでしっかり密封しておく方法もあります。冷蔵庫に保管するのがベター。
楽京の塩漬けが済んだら取り出し、そのまま食べておいしい程度になるまで水で塩抜きします(塩抜きしすぎないように注意)。
甘酢の作り方(漬け込み用楽京が1Kgの場合):

みりん:220cc
粗 糖:350g

酢  :250cc
を沸騰しないように加熱して粗糖を煮溶かす。
塩抜きの済んだ楽京をガラスの密閉容器に移し、そこへ甘酢を注ぎいれ漬け込みます。重石はせずに、楽京が沈んだら漬け上がりです。約2週間後くらいから食べられます。

冷蔵庫で保存すれば来年でも歯ごたえのよい楽京漬をたのしめます。

暑い夏を自家製のヘルシー楽京漬で乗り切ろう


099 
韓国と日本の食文化
06/06/14


米を主食にしているアジアの国々のなかで、しっとりと粘りのあるごはんを好むのは特に日本と韓国です。中国では気候風土の違いが各地であるため、主食はどちらかといえば米ですが、小麦にも大きな比重があります。米についても多様で、調理法については日本や韓国人の好む食感とはちょっと違う。

韓国と日本は地理的な位置関係では、朝鮮半島の南端が三重県辺り。それより北はすぐに山岳地帯になっていて、気候は日本に比べて以外に寒冷。北朝鮮に接する江原道(カンオンドウ)では、4月でも雪が降るほどです。

日本とは気候に多少のずれはありますが、韓国の食文化と日本のそれとは、もともと次の点でたいへん似通っている。

・主食がごはん
・調味料は大豆の醗酵が基本
・動物性たんぱく源は海産物が中心

両国の食文化で大きなちがいはといえば、なんといっても『唐辛子』の存在でしょう。日本では辛味・薬味として使われるくらいなのに対し、韓国での唐辛子の使われ方は尋常ではありません。日本人のイメージからするととにかく『辛い』ということになってしまいます。

視点を『農』に向けてみる
では農業についてはどうでしょう。これについても、韓国の農業地帯の風景は、日本のそれとまったく変わらない田園風景です。でもしかし、日本列島と朝鮮半島とでは、その土質について大きなちがいがあるといわれています。

日本列島:火山性で土質は酸性にかたよる
朝鮮半島:海底の隆起によるため、アルカリ性土壌

このちがいが作物に対して具体的にどのような影響があるのかむつかしいところですが、とにかく畑作の作物では特に大きいと思います。前に『韓国唐辛子事情』で考えたように、韓国の気候風土ではできる野菜の性質に、『食感』『風味』の点で日本とは大きなちがいがあるように思います。

唐辛子ではどうなのか
とくに『キムチ』を作るのに、日本の唐辛子ではその用を足すことはできません。たしかに唐辛子には『辛味』がありますが、韓国の気候風土で作られた唐辛子には決定的に『旨味』『甘味』がある。さらに野菜について、その歯ごたえの点では感覚的には『圧縮』された感じの食感がある。

日本で朝鮮人参ができないのと同じで、韓国でなければおいしい唐辛子はできないのかもしれません。要するに日本と韓国とでは、唐辛子に対する考え方が違うのです。

調味料としての唐辛子
日本では辛味か薬味としての役割の唐辛子ですが、韓国ではもっと重要な『調味料』として使われる。さらにもうひとつ、寒冷地としての宿命として『塩』の使いすぎ(塩は身体を温めるため)をおさえる効果もあるのです。

もし、日本も朝鮮半島のような風土であったなら、唐辛子はもっと強烈に受け入れられていたかもしれません。そうでなかったのが幸か不幸か、日本では今日のような風味の食文化となっているわけです。

日本に唐辛子が根付かなかった代わりに、米と大豆の食文化を、明確な四季折々の『旬』の農海産物と織りあわせて楽しむという方法を選んだのかもしれません。

それにしても、唐辛子の本当のすばらしさを知ることのなかった日本は、ある意味で不幸なのかもしれません。



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韓昔あって今ないもの 8
06/06/23


貸本屋:町内の駄菓子屋と同じく、なんとなく目立たない路地に立地。そこいらの本屋ではとても集められないであろう新書物のコミックばかりがずらりと並ぶび、壮観そのもの。でもぼくらの一日分の小遣いではちょっと無理。どれもきちんとビニールのカバーで装丁してありました。

ニッキ紙:ちょっと気持ち悪いけれど、半紙大の紙にニッキ味の砂糖が塗ってある。それをちぎってはほお張りクチャクチャ。味がなくなったところで「ペッ」。きったなー。まっ赤な舌がこれを食べた証拠。

糸付きあめ玉:なぜかあめ玉に長い糸を付けて売ってます。これをしゃぶってる子の口からは、どういうわけか長い糸が出てる。まったくわけがわかりません。

冷やしスイカ:駄菓子屋さんの店先に木枠のガラスのケース。その中に1貫目の氷をたてに切り、その上に八つ切りだか(それよりも小さいかも)のスイカがのせてあります。食べたーい。でも高ーい。

ズボンの継ぎ:やぶれたズボンなぞ履かせておけません。お母さんが継ぎを当ててあげる。それにひきかえ現代の子は、やぶれたまんまでいいんです。うーん、理解できません。

ダンスホール:本来は金持ち紳士淑女の社交場なのだろうけれど、なぜかかつて置屋の建ち並んでいたようなところの、しかも人目によくつくようなところにありました。ちょっと洋風でモダンな感じ。

ヘルスセンター:今で言えば『スーパー銭湯』といったところだけれど、観光地にはあった娯楽施設。芝居や歌謡の芸能あり、据え膳盛飯の昼食あり、ゲームコーナー、ピンポン、そしてお風呂とまさに娯楽の殿堂。

よろず屋:たいていの村に1軒ありました。うすぎたない店なのに、とにかくなんでも置いてます。ないものは町へおもむいてでも取り寄せます。たいてい店番はおばあさん。村の社交場ともなっていて、『有線』の中継もしてたりしました。

流水プール:ちょっとしたまちにはひとつくらいあった。けれど気付いてみると閑古鳥。冬はスケート場のつもりだったけど・・、スポーツセンター。

マングース対コブラのショー:かつて愛知県にもありました。今こんなことやってたら、動物愛護協会からこっぴどく叱られてしまいます。毒々しいコブラが勝つか、はたまたかわいいマングースか。でもほんとうはコブラなんてマングースの敵じゃなく、むしろ餌食なのだそう。ヘビににらまれたカエルじゃないけれど、この場合はどうやらその反対。本日も戦わされるマングースとコブラ。楽屋裏でいったいどんな会話を交わしていたのでしょう。コブラ:おまえたまにはオレにも花を持たせろ。マングース:冗談じゃねえ。お前に咬まれたら一巻の終わりだぜ。今日はやさしく噛み付いてやるから、おとなしく死んだ振りでもしとれい。なんて。
ヘビセンターとしても、毎回コブラがやられてばかりでも困ります