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梅ぼしと添加物
08/06/18
梅ぼしといえば日本の代表的な伝統食品です。かつてはお弁当といえば『おにぎり』。もちろん中身は『梅ぼし』。そして『日の丸弁当』。分厚いアルマイトの弁当箱にずっしり詰め込まれた『ごはん』と真っ赤な『梅ぼし』一個。あとはたくあん一切れ二切れ。それだけ。なんとあっけないお昼のお弁当なのでしょう。こんなんで育ち盛りのこどもが、学校の運動場やそれでも飽き足らず、学校の帰り道に野原を駆け回るほどの運動量をまかなっていたなんて信じられません。お父さんのお弁当もそうでした。それほどに『ごはん』のパワーってすごいんでしょうね。そして『梅ぼし』の持つインパクト。

市販の梅ぼし
市販の漬物にはおどろくほど多くの食品添加物が使われています。梅ぼしなどは単純な調味料しか使われていないと思われがちですが、そうともいえません。

中国などから輸入の安価な加工済み梅に味を付け直したり。熟度の浅い品質の悪い梅を、安い塩で漬け、赤しそも入れず、きちんと天日干しもしないとなると、足らない美味しさを人工的な調味料で補うしかありません。さらに必要以上の減塩のため、保存性も低下。結局保存料を使うことになります。ビタミンB1というと聞こえはいいですが、これもりっぱな保存料です。

どうしてこんなに余分なものが必要なのでしょう。実はこんな秘密があります。

えっ、梅酢が産業廃棄物?
最近では『酸っぱい、塩辛い』梅ぼしが嫌われがちです。塩漬けしたときに出る『白梅酢』は塩度も濃く、酸っぱい。そのままでは商品になりませんから、白梅酢は捨ててしまいます。そして水にさらして塩抜きをし、あらためて濃い調味液を作り、それに漬け込み、味付けをします。結果的に減塩でマイルドな酸味、強烈な旨味の美味しさ絶品の梅ぼしができあがります。はっきりいって、これでは梅のエキスの抜けた出しガラに味をつけただけということになってしまいます。日本の伝統食、梅ぼし。こんな梅ぼしをお弁当に入れても意味ないですね。

梅の歴史
梅の原産国は中国といわれています。日本へは奈良時代に伝えられました。もっともおそらくはその食べ方、利用法ということで、実際には弥生時代には日本にも梅の木が存在したことがわかっているそうです。

平安時代の(日本最古といわれる)『医心方(いしんぼう)』という医学書では、その最終巻で『烏梅(うばい)』という利用法が紹介されているようです。鳥梅とは梅の黒焼きで身体を温め、解熱、整腸、精神安定などに有効とされています。ただし、生梅を食すことはあまり勧められていません。

梅ぼしとして
梅ぼしが日本の食品として登場するのは平安時代だそうです。鎌倉・戦国時代には味噌玉とともに貴重な兵糧として利用されたようです。江戸時代には梅ぼしが一般的な保存食品としてもてはやされるようになったといわれています。

古くから健康食品として利用されてきた日本独特の食品『梅ぼし』。赤しそもその原産は中国とされています。その梅としそがどういった経緯で日本で梅ぼしとして親しまれるようになったのでしょう。もしかすると、日本の気候風土によるものかもしれません。梅雨のころ、どうして梅を有効に保存したらよいかと考えたとき、塩で漬け、さらに抗菌作用の高いしそを添えることで保存性を高める。赤しその色素であるアントシアンが梅の酸と反応して、みごとな紅色に変わる。梅雨明けのころ、それを天日で干して香り豊な梅ぼしに変身させる。

暑い夏に、かつては漢方薬として珍重された梅を、手軽に加工して真っ赤な梅ぼし。まさに日本の風土が生んだすばらしい食品です。

やっぱり梅ぼしは健康食品です。それに食品添加物は似合いませんよね。


122 ソルトビー
08/11/12


日本で完全な天日塩を作るのはたいへんです。塩を作るのに適した乾季はといえば気温の低い冬。気温の高い5月〜9月にかけては雨季あり、湿度の高い夏あり、また台風などもありで、効率的な方法とはいえません。カンホアの塩のように升目に仕切られた塩田に海水を引き込み、それらを順に巡らす間に結晶した塩を得るという(入浜式の一種)方法では、ほとんど雨の降らない乾季が必要です(日本では乾季にも雨が降る)。

揚水式
日本の風土にあった方法といえば、雨の対策と狭い土地での塩作りとして考えられた揚水式。方法としては海水を高いところから表面積が大きく通気のよいもの(ネットなど)に繰り返し散水し、水分を飛ばすことで濃い塩水(かん水)を作る。そのかん水の水分をさらに飛ばすのに天日をたよる温室か薪を焚く平釜を使うかして塩粒を得るわけです。

温室での天日乾燥にこだわるのはなぜ
高知県黒潮町のソルトビーでは人工的な加熱をせず、ひたすら天日乾燥にこだわっています。道長でも漬物に使うのは天日塩に限っていますが、それにはこんな理由があります。その理由とは、加熱せずに作った天日は塩カドが少なく、漬物に使った場合、素材の風味を引き出す力が強いためです。

高価だけれど国産の天日塩を使いたいという思いから、ソルトビーさんの『海一粒』と出会って以来、一度はと考えていましたが、10/29、念願の見学をさせていただくことができました。道長のある愛知県豊川市からは600Km以上の道のりです。

黒潮町へは
倉敷から瀬戸中央自動車道で高松自動車道、高知自動車道と乗り継ぎ、その西の終点須崎市からさらに1時間以上で黒潮町到着。陸の孤島といっては申し訳ないけれど、それほどに海のきれいな町。2006年幡多郡の佐賀町と大方町が合併されて黒潮町が生まれました。実は日本一のカツオの漁獲高を誇る町でもあります。

そんな黒潮町(旧佐賀町)で平成14年、地域の活性化のため特産品をという話があり、そのときすでに大阪から移り住んで天日塩作りをしてみえた吉田かずみさん家族を含め4名のオーナーで立ち上げたのが企業組合ソルトビーです。

ソルトビー、製塩の工程
@海水を汲み上げ A採かんタワーで循環。海水の約6倍の濃さになるまでタワー上部から散水を繰り返す。B結晶ハウスでかん水(濃縮された海水)をさらに蒸発させ結晶させる。C遠心分離機で天日塩とニガリを分ける。D異物除去のため選別作業 E『海一粒』できあがり。

という工程ですが、実際はこの工程の中には非常に細心の注意と作業が含まれています。たとえば雨が降りそうなときにはタワーを循環する海水を止め、タンクに回収しなければなりません。結晶ハウスでのかく拌作業で塩粒を均一にしますが、夏の作業はハウス内の温度が50℃にもなり大変です。できあがった塩の選別作業は一粒一粒を見極めるほどに細かい作業です。

またこれは些細なことのようですが、夏の塩と冬とでは微妙に味のちがいがあります。全国のソルトビーの顧客は一流の板前やシェフなど、味にきびしいプロもたくさんいます。また安心して使えるおいしい天日塩をという一般の消費者の期待も背負っていればこそ、微妙なところにまでこだわる姿勢が必要です。

地域の特産品をというきっかけが「おいしい天日塩ならソルトビー」という代名詞になりつつあるのかもしれません。またその所在地の町名がすばらしい。きれいな海の黒潮町。そこで生まれるソルトビーの天日塩。新しい町黒潮町が塩の町として発展していくことを祈ります。



123 かりんとうと地粉
08/11/15

神谷製菓さんのかりんとう
昨年4月『地粉かりんとう』を発売以来、さらに今年6月に『つぶ塩かりんとう』を企画発売させていただきました。それぞれ、ことのほか好評をいただいています、どうもありがとうございます。

地粉かりんとう
地元の音羽米研究会の中心的な活動をしている『こだわり農場鈴木』さんでは減反による転作作物として小麦も生産しています。減農薬対策も進んでいて、愛知県の秋まき小麦の農薬慣行レベル7回を5割以上減の3回で栽培中(今後種子消毒を温湯に切り替えれば2回)。

その小麦の製粉を知多半島武豊町のわっぱ知多共働事業所にお願いしているということで、それを使った加工品を考えてきました。小麦粉を使った身近なお菓子としてかりんとうはどうかということで、野菜を作っていただいている鈴木慶市さんに相談。鈴木さんは豊橋市のかりんとうメーカーの役員もしてみえ、かりんとう作りのプロ。早速道長の作業所で試作。さすがは鈴木さん。水の量から練り加減、酵母菌を入れての発酵にかける時間などを微妙に調節。そして試作品を前に「これならなんとかいける」との鈴木さんの声で一同やる気をおぼえたのでした。

通常かりんとうの原料にする小麦粉といえば、超超強力粉というのが常識。それくらいでなければ現在のようなサクサクとしたかりんとうにはならない。こだわり農場鈴木さんの小麦粉は中力粉なので、できあがりは比較的歯ごたえのよいかりんとう。でもそのかわり衣となる黒糖が中まで染み込むことなく、さっぱりとした甘味。さらにおかげで地粉の風味がしっかりとして、ちょっとそこらにないかりんとうになりました。

地粉100%、沖縄産黒糖、天然酵母、地元産ごまで風味付けというこだわりかりんとうをいったいどこで作ってもらおうかと探した結果、岡崎の神谷製菓さんに相談。こころよく受け入れてくださったのでした。地粉でかりんとう作りという未経験の仕事にもめげず、見事地粉かりんとうを完成していただいたのでした。

あとでうかがったところ、地粉でのかりんとう作りは非常に難しいということを知りました。地粉の場合、毎回毎回水分や練り加減、発酵など非常に気を使うとのこと。やはり神谷さんにお願いしてよかった。

つぶ塩かりんとう
地粉かりんとうが好評ということで、さらなるかりんとうをということになり、加工品学習会を開かせていただき、農業や加工品製造業、消費者、流通業者など、食品にかかわる人たちに参加をお願いしました。そこでのいろいろな意見の結果、つぶ塩かりんとうということになりました。

ここでもこだわりぬいた結果、試作はたび重ねられ、とうとう半年が経過。やっとのことでできあがっても硬さをどうしようということになり、いっそのこと硬くしようということで決着がついたのでした。

これもあとで神谷さんにお聞きしたところ、かりんとう作りでこれだけ苦労したことはなかったとのこと。おそらく神谷さんの職人技なくして『つぶ塩かりんとう』の実現はありえなかったかもしれません。

地粉という小麦粉
地元産の小麦を製粉する場合、大きな製粉会社に大量委託するというわけにはいきません。とはいえ、専用の製粉機を設備した施設が必要です。わっぱ知多共働事業所では小規模ながら専用の冷蔵庫と小麦の調整から製粉までの一連の設備を完備しています。

こだわり農場鈴木さんの小麦農林61号は製粉するとASWなどの外国小麦とくらべて独特な香り(内麦臭というそうです)があり個性的。含まれるタンパク質(グルテン)の量は多くなく、中力粉に分類されます。

また大きな製粉工場では均一な小麦粉を作るため、種類のちがう小麦をブレンドしたり、コンピュータ管理で含まれる水分の調整をしたりします。でも地粉の場合、比較的小規模な製粉工場に委託することが多いため、そこまでの品質調整ができないことが多い。

日本ではかつてはどの地方でも、小麦は地元で作られていたはずです。当然その粉は地粉であったわけで、それぞれの特徴を生かし、食に応用されていました。

輸入の外麦ばかりが、または北海道産が比較の対象になりがちですが、もとからある、またはそれをもとに品種改良された、地域の品種を見直し、食文化に取り入れてゆく努力が必要ではないでしょうか。

神谷製菓さんのような腕のある職人にゆだねられたとき、地粉はすばらしくも本来の良さを発揮してくれています。

これからも『地粉かりんとう』『つぶ塩かりんとう』をよろしくお願いします。




124 放射線照射食品

講演会『台所にしのびよる放射能』より
日 時:2009/2/22(日)
場 所:名古屋市教育館

遺伝子組み換え食品を考える中部の会主催で『台所にしのびよる放射能』という講演会をおこないました。中部の会の河田昌東氏と京都大学原子炉研究所小出裕章氏の講演。170名以上の参加者があり、関心の深さがうかがえました。

今日本ではスパイスの殺菌に放射線照射を認可しようという動きがあります。今回の講演では原子力、放射線について正しい知識、現実を理解しようという内容になっています。

2000年全日本スパイス協会が厚生省(現厚生労働省)に94品目のスパイス類について、放射線照射の法的許可を求める要望をだしました(その1品目はその後削除されたそうですが、どの品目かは不明)。1972年以来日本で唯一照射がおこなわれているのがジャガイモで、北海道士幌町農協でその一部(年間4万tのうち約8000t)に芽止めの目的で照射がおこなわれています。

通常、食品への放射線照射量はそれぞれ@害虫駆除で1kGy(キログレイ)、A病原菌の殺菌で10kGy、B完全殺菌で30kGy以下と規定されているようです。しかしながらこの数値はかなり強烈ななものです。

1999年、茨城県東海村の旧動燃で起きた臨界事故では作業員2名が16〜20Gy(グレイ)の被曝で悲惨な死をとげましたが、害虫駆除のための1kGyはその約50倍に相当します。もちろんヒトがその量の放射線を浴びたとすれば即死します。核爆発時の爆心での被曝量にも匹敵するとのこと。



小出氏(左)と河田氏


申請中の品目のうち、よくみるとタマネギ、ニンジン、ネギ、ゆず、ミョウガなどもありますが、乾燥、粉砕など形態に規定はありません。もちろん生も。

照射によってなにが変わるか
肉、魚など、脂肪を多く含む食品に照射をした場合、シクロブタノンという発がん性の疑われる特有の脂肪酸分解物ができる。この物質を検出することで放射線照射の有無を検査することができるそうですが、脂肪分の少ないものでは検出が難しいとされています。そのほか照射によりビタミンCやB1、Eなどが破壊されることがわかっています。放射性物質が残留することはありません。


北海道士幌町農協の照射施設。コバルト60の発するガンマ線が中央部分から照射される
もちろん放射性物質を直接体内に取り込むわけではないため、被爆による被害はないものの、放射線による変異物質による影響については問題なしとは言い切れません。

原子力エネルギーについて
原発1基で年間100万kwの電力を生むとします。国の振れ込みでは原発はクリーンで『発電時に(あくまでも)』二酸化炭素を発生しない。しかし、そのためには30tの濃縮ウランが必要で、そのためには13万tのウラン鉱石を掘り出さなくてはならない。採掘時の残土は240万t。精錬時に低レベル廃物13万t。さらに濃縮・加工のために160tの低レベル廃物が発生します。そして発電時に死の灰を大量に含む使用済み核燃料30tが発生。そして経年で廃炉というわけですがこれもまた膨大な核廃棄物。

ここで使用済み核燃料を再処理してプルトニウムというさらに厄介な毒物を取り出そうという計画も。それを核兵器に使わない代わりに高速増殖炉という夢の施設で燃やすことで、さらに多くのプルトニウムを得ることができるのかもしれない。あるいはいっそのこと原発でいっしょに燃やそうという発想もありその作業がおこなわれる。しかしながらそのために想像を超える膨大な費用がかかる。はっきりいって再利用せずに核廃棄物として処理したほうがずっと経済的といえる。

低レベル核廃棄物の処理には最低300年間の保管が。さらに高レベルには100万年の間の保管が必要とされている。実際にその期間、たとえば300年でさえできるかどうかわかりません。それを100万年もできるはずがありません。

原発1基で1年間に広島型原爆1000発分のプルトニウムを発生するといわれています。問題になっている六ヶ所村で処理されるかもしれない量のプルトニウムは1年間にその約27倍、広島型原発でなんと27000発分になってしまいます。これだけの核のゴミを毎年毎年処理(正確には廃棄)し続けることの意義は皆無といって過言ではありません。

おまけに原発という施設を動かすためには、以上のような厄介な作業を安全マニュアルのとおりにおこなわなければならないという条件があります。でも、取り返しの付かない事故は人間の不完全な理性のおかげで必ず起きてしまうものだということを忘れてはいけません。

現在、原子力を平和利用するという施策には、一般的にも多くの問題点が認識されるようになってきています。


食品に放射線を照射するということ
人間が原子力を、放射線を扱うことの意味を今一度考える必要があります。その行為のためには、理性が最優先されなければならないということを知るべきです。医療など、仕方のない場合をのぞいて、必要のない用途に、しかも危険や不安を抱えたままの利用はおこなうべきではありません。食品の信頼を基盤とした安全流通のために、放射線照射はおこなうべきではありません。

またさらに、食品に対し日常的に放射線を利用することが人々の原子力に対する認識の甘さにつながり、それが原発や核兵器を許してしまうような気運とならないよう、まずは私たちの台所から、学校でのこどもたちの給食から考えてゆくことが大切ではないでしょうか。


125 小麦と地産地消
09/08/06


最近のバイオ燃料や豪州での干ばつなどの影響もあり、昨年は輸入小麦の価格が大幅に高騰しました。またさらに今年4月には今度は値下がりという乱高下という事態もあり、小麦の大量輸入国である日本にとって影響が大きいところです。こういった状況は国産小麦の価格、さらには先行きについて大きな問題を投げかけています。

輸入小麦の価格
小麦の輸入はそのほとんどを直接政府が行っています。現在小麦は自由化されているとはいえ、業者が輸入しようとするとそれにかかる関税が非現実的なため、ほとんどおこなわれていないようです。

コストプール方式とマークアップ
輸入小麦の価格設定には国産小麦との兼ね合いもあります。当然のことながら、国産小麦を生産するには非常に高いコストがかかっており、それをカバーするために輸入小麦に大幅な金額の『上乗せ』をしています。

政府が輸入する小麦には直接の経費として港湾での諸経費(2102円/t)に『マークアップ』と呼ばれる輸入関税に相当する金額(16,868円/t)が上乗せされた上で小麦の価格が決定されます。輸入小麦から生まれる利ざやを国産小麦の価格安定のために転化するこの方法を『コストプール』と呼んでいます。マークアップによる収益は国内小麦の生産者価格に補助金(品目横断的経営安定対策という大型農家に対する所得保障制度)というかたちで補填されています。

国産小麦と輸入小麦の生産コスト
国産小麦の生産コストをそのまま上乗せして価格決定すると、とんでもない金額になってしまいます。ちなみに米国などで小麦を生産する場合(計算によるとおそらく)1tあたり4万円ほどのコストがかかっていると思われます。内訳は種子、農薬、肥料、人件費、農機具の減価償却などですが、日本でのコストをざっと計算してみると、なんとtあたり14万円ほどになってしまいます。いったいこの10万円ほどの差は何なのでしょう。

米国や豪州では、まず圧倒的に広い畑にぽつんと大型機械とそのオペレーター1人で済んでしまう。さらに本来小麦は乾燥気候に適した作物ですから、農薬の使用量はおそらく日本の半分ほど。同じ面積あたりの生産量は米国や豪州のほうが間違いなく日本よりも多い。

生産コストの違いもさることながら、さらに1971年以降、1ドル=365円という為替相場が変動となり、現在では1ドルにかかるコストもほぼ1/3になってしまったことも、格差をさらに広げた要因でもあります。というわけでたとえば米国と国産とでは生産コストで決定的な差があり、それを縮めることは非常に難しいといわざるをえません。

今年の麦の値段
今年秋、業者に売り渡される国産の新麦は、たとえば愛知県豊川市産農林61号でトンあたり55,000円ほど。それに対し、輸入小麦の平均価格は今年4月に値下がりしたものの65,000円ほどだそうです。なんと輸入小麦のほうが高くなってしまっています。ちなみに2年程前には輸入小麦は48,000円ほどでした。国産小麦も同じような推移で価格が管理されていましたが、国際的な小麦価格の高騰で大きな不均衡ができてしまいました。

コストプール方式がなりたたない
現在、輸入小麦に上乗せされているマークアップという一定の利益(16,868円/t)を切り詰めない限り、国産小麦の価格との格差がでてしまいます。かといってマークアップを切り詰めれば国産小麦の14万円ほどの生産コストを補填することができなくなってしまいます。

地産地消と国産小麦
ここまで考えてくると国産小麦の行く末に大きなかげりがあることに気付きます。要するに「いっそのこと国産小麦の振興をやめてしまおう」ということになりかねません。国産小麦の振興は財政をさらに圧迫しかねない、というのがその理由です。

本来、日本はあまり小麦を多く消費する国ではありませんでした。なぜなら小麦の栽培は高温多湿の日本の風土には合わないからです。小麦製品といえばせいぜい麺類くらいのものでした。現在、パンやお菓子としての小麦の大量消費がこのようなアンバランスを生んでいるのではないでしょうか。
米は日本人の主食です。米についても日本の生産コストは米国などとはくらべものにならないほど高いわけですが、こればかりは絶対に守らなければならない農産物です。これを輸入に換えるわけにはゆきません。

これからの日本が主食の米を中心にした食文化を守ってゆかなければ、小麦の問題を根本的に解決することはできません。また大豆やトウモロコシについても、そのほとんどが食肉用の家畜の飼料に、また食用油として輸入されています。これもまた日本人の食文化とは本来縁遠い食品です。

私たち日本人は本来の食文化について考え直さなければならない時代にいるのではないでしょうか。


126 第1回 エアーディナー in 豊川市
09/08/19


ここ愛知県豊川市音羽地区(旧宝飯郡音羽町)も長い梅雨が明け、折りしもお盆前の酷暑の時期。商工会主催、恒例夏の宵まつり『華あかり』のイベントとして、今年はじめて『エアーディナー大会』開催。エアーディナーとは、エアーギターから発案された競技(『エアーディナーで世界を結ぶ会』事務局大阪府)。身振り手振りだけで道具を使わず、いかに美味しそうに、楽しそうに、うれしそうに何かを食べるかを競う。日本国内での食糧自給率が30%を切る中、地産地消、食育に対する意識を喚起するきっかけとなればというのがその主旨。

商工会理事会で開催決定後、会長自ら関西で過去2回、楽しい雰囲気の同大会を観たとはいえ、ここ、愛知県の片田舎でのエアーギターならぬエアーディナーの企画は少々無謀なのではないかとの憶測もあった。事実、広報を行うも大会参加者がさっぱり現れない。新聞への折込、地元ケーブルTVでの広報を行ったもののさっぱりといった状況。
これにはほとほと困り果て、とうとう実力での参加者獲得ということに。地元事業所、各施設、文化サークルなどと、宴会部長や自他共に認めるパフォーマーを求めて酷暑の中、石川会長自ら巡回(巡礼?)。無理かと思われた参加者探しだったが奮闘の末、以外にも10名(グループ)を獲得することができたのだった。

こういった催しでは司会者も肝心ということで、これだけは少ない予算から費用を捻出。地元在住プロの司会者に出演依頼で大会に臨んだ。

2009年8月8日、かくして『第1回 豊川エアーディナー大会』の幕は切って落とされた。大会に至るまでの不安は大会開始と同時にあっけなく払拭。飛び入り参加の女子高生を含め、11の個人、グループの演技は意外なほどにおごそかにしかも白熱。観客の心をひきつけることができた。中にはパンダの着ぐるみをまとっての参加者も登場し、会場の雰囲気をもりたてた。
工夫を凝らした各参加者の熱演の結果、1等は豊川信用金庫音羽支店の西岡さんに決定。アツアツのお好み焼きをいかにも美味しそうに、楽しそうに、またうれしそうに食べる姿が決め手となり、審査員3名全員一致の高得点を獲得。地元産ブランド米『音羽米』10kgが贈呈された。

関西での『ノリ』とは若干異なる部分もあったものの、和気藹々とした、にもかかわらず手に汗握るエアーディナー大会となった。商工会長は「苦労の甲斐あってエアーディナー大会を楽しく開催できた。みなさまのご協力に感謝する。この大会を機に地元の食を大切にし、その意識を再確認するきっかけとなればうれしい。知名度のない企画で苦労はあったが、お陰でみなさまに楽しんでもらうことができた。来年もまた行うので一人でも多くの参加をお願いする」旨のあいさつで、『第1回 豊川エアーディナー大会』は幕を閉じた。

糸引納豆を調理し、食べるパフォーム中



127 風力発電
10/01/14


エコロジーの象徴ともいえそうな風力発電。発電時には二酸化炭素の発生がなく、環境にやさしいということになっている。しかしながらそれが普及するにつれ、無視できない問題点も出てきています。またエコという大義名分を隠れ蓑にうごめく巨大ビジネスの影も見えてきます。

最近の風力発電機は大型化が進み、2000kw/h以上の発電容量のあるものもめずらしくない。そのクラスになると基礎からブレード(プロペラ様の羽根)の一番高いところまでで100mを裕に越す大掛かりなものとなります。ちなみに2400kw/hで130mほどあるそうです。

全国の風力発電所の設置状況は2009年3月現在で1517基、185万kwの発電容量があるといわれています。もちろんこれは最高出力なので、年間を通じての実際の発電量はその20〜30%くらいではないでしょうか。今のところ、火力、原子力、水力以外の発電量は全体の1%程度。

風力発電所の問題点
1.野鳥の衝突(バードストライク)
風力発電機のブレードの先端では、150〜300km/hほどの速度があるといわれ、野鳥がブレードに打たれるという事故が発生。特に猛禽類など、生息数の少ない鳥類の被害が問題になっている。
2.地域住民にメリットがない

発電された電気は電力会社へ売電されることがほとんどで、地域に還元されることがない。さらに建設にあたり、その計画が地域住民の知らないところで秘密裏に進められることが多い。
3.低周波の音、振動などによる精神的被害

ブレードが回転する際、その風切音と発電機の音、そして回転軸の力を発電機に伝える歯車の音が発生する。それらの音が塔や基礎などに伝わり、共振音なども発生する。

一見気になりそうもない音ですが、これが空気や地面を伝って四六時中聴こえるという状況は、場合によっては耐え難いもの。

先日愛知県田原市の農村地帯に建設された風力発電所を見聞しましたが、500m以内にそびえ立つ巨大な構築物とそこから伝わる音は、決してエコの象徴として喜ばしいものとはいえません。

近くの畑や民家では、回転するブレードが定期的に太陽光を遮り、影が横切るため、気分が悪くなることもあり、近隣の住民にとっては耐え難い精神的苦痛ともなりかねません。

また、ブレードの回転は強風の際ブレーキがかかるようになっていますが、それが故障した場合、制御不能となり、破損大破し、破片の飛散、塔の崩壊という事故例もあります。

エコビジネス
風力発電所の設置には発電量1Kwあたり25万円かかるといわれます。その大型化に伴い1基数億円かかり、またその保守には年間数百万円の費用がかかるといわれています。しかしながら、発電所の建設には国から30%の補助金も付くことから、関連企業にとってはこの上もなくおいしい話ということになっている。

しかし、にもかかわらず従来の大手電力会社自体による風力発電所の経営によるものはほとんどありません。よほどの好条件がないと採算が合わないからです。

今後、原子力や火力による発電が下火になるとしたら、関連企業にとって大型の風力発電所を数多く建設することで大きな利益を得ようということになってくる。またそれには『エコ』という大義がついており、政治力の後押しもあり企業イメージもアップする。

クリーンエネルギーのための選択肢が将来どういった形に落ち着くかはわかりません。耐用年数は20年足らず。その間の故障、保守、運転経費、保険などを差し引いた場合、電力会社への売電だけで成り立つビジネスとはちょっと思えません。

ただはっきりいえることは、現在の火力、水力、原子力の発電量に見合った発電をそれ以外の代替エネルギーでまかなうというのは非常に無理があります。

現在実験段階とはいえ、風力発電がエコとはいえ、住民の安全を無視した単なるビジネスとして推し進められることに大きな疑問を感じます。なんとなく原発の推進に似てませんか。

今から20年後、日本中にただ直立しているだけで役に立たない風力発電の塔が、解体もされず無様な姿をさらすようなことになるかもしれません。

今一度、何がエコなのかを考え直す必要があるのではないでしょうか。

これで1500Kwの発電機。地上からブレードの先端まで約100m。


128 明けましておめでとうございます
11/01/05

おかげさまで道長は今年で創業30周年を迎えることになりました。さらにここ愛知県豊川市(旧音羽町)に作業所を岡崎市から移転して15年が経過します。まだまだ若輩ですが、ここまで来ることができたのも、ひとえにみなさまのお引き立てのおかげと感謝します。

岡崎で仕事を始めたころには大した志もなく、ただ漬物が好きだったという軽はずみな理由によるものでした。学校を卒業後、会社員となるも挫折、脱サラ。スーパーに勤めること4年で大量生産の食品についての知識は得たものの、その仕事を続けることの意義を持つことができませんでした。何かを始めなくてはというのがそのときの状況であったと記憶しています。

そして自宅近くの貸しガレージを改造して作業所とし、うぐいす色に塗り替えたライトバンに漬物を積み、『どらえもん』の音楽を流しながら団地などを引き売りするところから始めました。当初屋号は『成味屋』という名前でした(その後数年して『道長』に変更)。

スーパー時代におぼえた漬物の漬け方などは『味の素』や『アミノ酸調味料』『ソルビトール(果糖の一種ですが工業的に製造した食品添加物)』『みりん風調味料』などを使ういい加減なものでした。安価で使いやすく、旨味が得られるというのがそれらの調味料を使う理由でした。しょうゆや酢、さらにいちばん肝心な塩についても、とにかく仕入れの安いものを選んでいました。もちろん原料の野菜についても、青果問屋からの安い仕入れに頼っていました。

以後、直接お客様と接するうち「これではいけない」「変わらなくては」という気持ちが高まるようになり、ひとつひとつの調味料をやめてゆきました。その中で大変だったのが『アミノ酸調味料』と『液糖』です。アミノ酸調味料はこれほど都合のよいものはほかに考えられず、また液糖は常温で結晶しにくく、使いやすく、しかも安価なため、それをやめることがとにかく難題でした。

製造業者がいちばんしたくないこと。それは過去を振り切ることです。原材料の調味料を換えることの不安、しかもコストが上がってしまう。さらにそれに伴って独自の技術を開かなくてはいけない。かなり大変なことです。

とにかく、それらのものを振り切るには10年ぐらいの年月が必要でした。その間、野菜についても直接生産をしていただける方をすこしずつ増やしてゆきました。

これは皮肉なことですが、実は最後の最後まで切り替えできなかったのが『塩』だったのです。多くの『自然塩』として売られている塩でも、使っていて実感・満足できる塩に出会うことができませんでした。

結局は太陽と風のエネルギーだけで作られた『天日塩』がよいことがわかり、中国福建省産に切り替えました。現在はより履歴のはっきりした『カンホアの塩』を使っていますが、とにかく価格が高いのが大変でした。今まで使っていたものと比べると約10倍もしてしまうのですから。

現在、道長で使用している材料はかなり単純なものになっています。いずれも履歴(トレーサビリティ)をきちんとたどることのできるものばかりになりました。

安全、おいしさにはとどまるところはないと思います。追求すればするほど、シンプルなものになってゆくような気がします。でも反面奥は深まるばかりです。難題があらたにあらわれます。

たぶんその連続、継続なのでしょうが、それをしなければいけない。それこそがわが『道長』の名にふさわしく、道が長い、長い道のりということなのだから。

みなさま、これからもどうかよろしくお願いします。


129 アメリカ国歌
11/02/08

 世界に燦然と輝く正義の国アメリカ合衆国。その国歌である『星条旗』はアメリカ国民には奮い立つ勇気の歌。アメリカ以外の国、民族、集団のなかで『星条旗』をあの歴史に輝く『インターナショナル』に対局するものとして歌うものはいないだろうけれど、意味合いとしては同じかもしれない。

 インターネットの情報によれば、1804年の米英戦争の最中、もっとも壮絶な戦いが繰り広げられたといわれるメリーランド州ボルチモアのマクヘンリーという砦での攻防の結果、死守された星条旗(当時15の星と15本の条だった)に感銘したフランシス・スコット・キーという人が詩を書いたことに由来しているとのこと。その詩ではまさにその折の壮絶な情景がまざまざと語られており、自由の国、勇者の故郷と締めくくっています。

 当然のことながらそのときには曲がつけられたわけではありませんでした。けれど当時流行っていたといわれる俗謡『天国のアナクレオンへ』という英国歌謡(ジョン・スタッフォード・スミス1780年作曲)にその詩がつけられ、軍などで歌われるようになったのだそうです。そして1931年、正式にアメリカ合衆国国歌に制定。

 ではその『天国のアナクレオンへ』とはどんな歌だったのでしょう。メロディーはもちろん『星条旗』ですが、内容はちょっとちがいます、というより・・かなりちがう。

 ここで、アナクレオンっていったい誰でしょう。その人物は紀元前6世紀ごろの、ギリシャで有名だった詩人。なまめかしい愛や酒にまつわる詩でしられているそうです。天国にいるそのアナクレオンにささげる歌というわけですから、内容も推して知るべし。♪天国のアナクレオンに手紙を書いてみたら ♪彼は上機嫌で答えた ♪歌声もフィドル(バイオリン)も笛も遠慮なく高らかに奏でるがよい ♪私の名の下に許そうではないか ♪それはそうと、そなたもこの私のように、バッカスのワインを飲みながらビーナスと抱き合うのもよいものだ・・・♪ とまあこんな感じの歌詞で、酒盛りの席で歌われる歌。当時、ロンドンのアマチュア音楽家の社交クラブの公式ソングであったのがこの『天国のアナクレオンへ』だったとのこと。そしてこのメロディー、ルクセンブルクの国歌にもなったことがあるそうです。

 それでは、1931年以前のアメリカ国歌とはどんなだったのでしょう。以外にも聴いてみると「そういえば聴いたことある」という方もあるでしょう。この曲、アメリカ国歌ではなくなった今でもよく歌われるようで、最近ではオバマ大統領の就任の際にも、偉大なるゴスペル歌手マヘリア・ジャクソンにより歌われています。曲名は『My Country, ‘tis of thee(われらが国、故里)』。その詩の内容は『星条旗』とはまた打って変わって平和的なもの。 ♪わが国、汝が故郷 ♪歌おう ♪父が生きた国 ♪移民の誇りの国の歌を ♪山々から自由の鐘を打ち鳴らせ♪。 あとには愛、岩、川、森、丘、喜び、神、永遠、幸福などが単語として登場します。後の違う人物によって加筆された部分には苦労とか恐れ、血というような語も登場しますが、それによって感情を扇ごうというものではありません。

 ところで『My Country,‘tis of thee 』ですが、そういえばこれってイギリス国歌『God Save the Queen』とおなじメロディー? 調べてみたらほかにもニュージーランドでは2つある国歌のうちのひとつだし、英国系列でないリヒテンシュタインでも(もちろん歌詞は違う)。

 日本にも国歌があります。今一度、国歌とはなにかと考えてみては。

アナクレオン


130 ネオニコチノイド系農薬
12/01/30


農薬の歴史
戦前には除虫菊やタバコのニコチンで殺虫。銅や石灰硫黄などで殺菌などの農薬が使用されたということですが、とくに戦後になって化学農薬が次々登場しました。これは兵器としての毒ガスなどの製造技術によるところが多いかもしれません。

●有機塩素剤:DDT、BHC、クロルピクリン、トリクロロエチレンなど。また除草剤として2,4-D、2,4,5-Tなど(ベトナム戦争の枯葉剤)。神経毒性が強く、生物濃縮が起こる。猛毒ダイオキシン、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)が大きな問題となり、1970年代、農薬としての登録が抹消された。

●有機リン剤:毒ガスで知られるサリン、ソマン、VXガス。パラチオン、マラソン、フェニトロチオンなど。毒性が強く神経伝達を阻害することで動物や昆虫を殺す。パラチオンは禁止農薬。残効性は低いとされる。(商品名:オルトラン、マラソン、スミチオン、ダイアジン、デス)

●カーバメート剤:松食い虫(商品名:オンコル、ランネート)防除。野菜や果樹の殺菌など。有機リン剤に似た作用があり、アセチルコリンエステラーゼの働きを阻害し、神経の情報伝達を阻害する。残効性高。

●ピレスロイド剤:除虫菊の成分とされるが、現在はすべて合成。ひろく殺虫剤として利用。毒性は比較的低いとされ、残効性低。(商品名:アーデント、トレボン、カダン、キンチョール、ベープ、アース)

●ネオニコチノイド剤(クロロニコチニル剤):物質名としてイミダクロプリド、アセタミプリド、チアクロプリド、ニテンピラム、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフランの7種。とくに昆虫の神経系にはたらき、有機リン剤同様にはたらく。残留性が高く、作物に浸透するため、洗浄しても薬剤を落とせない。(商品名:スタークル、ダントツ、アクタラ、モスピラン、アドマイヤー、マツグリーンなど)

●その他:オキサジアゾール系(燻煙剤として)、ネライストキシン(商品名:パダン)、アミジノヒドラゾン(商品名:アリの巣コロリ)、フェニルピラゾール系(商品名:プリンス)、マクロライド系:抗生物質の抗菌剤(商品名:アファーム、コロマイト)

ネオニコチノイド剤の殺虫メカニズム
刺激などが神経細胞により伝達される際、アセチルコリンというタンパク質がはたらきます。受け取る側の神経細胞はアセチルコリンを受け取り、分解して放出。アセチルコリンは酢酸とコリンという物質に分解されるので、もうアセチルコリン受容体を刺激しません。

しかし、有機リン剤やネオニコ剤はアセチルコリンを分解するアセチルコリンエステラーゼ(AChE)という酵素と結合し、その働きを阻害してしまいます。その結果、アセチルコリンは分解されずにアセチルコリン受容体を刺激し続けてしまうことになり、影響を受けた昆虫などは興奮状態が止まらず、死に至ることになります。

ネオニコ剤は有機リン剤と比べて、少量ならば人畜に影響が無いとされていますが、敏感な体質や免疫力の低い子供などでは、重要な健康被害を受けてしまうこともあります。

ネオニコチノイド剤の特徴
比較的安全とされていたにもかかわらず、毒性、残留性、浸透性ともに高いため、使用をあやまると健康被害にもつながりかねません。

化学農薬は効き目があり、さらには安全でなければ、という方向で今日のネオニコチノイド剤ということになってきた。にもかかわらず、依然として新たな問題を起こしています。

農薬は作物にとっての病原菌や害虫を殺す目的で開発されるもの。ただし問題なのは、目標にない他の細菌や昆虫なども殺してしまう。そして私たちヒトも対象から外されているわけでありません。

化学農薬の歴史は大きく分けて有機塩素系→有機リン系→ネオニコチノイド系へと変遷してきました。より安全なものを目指してはいるのでしょうが、農薬とはつまるところ所詮は毒薬です。害虫だけに効くという都合のよい農薬などあるはずもありません。その使用により、私たちを取り巻く環境に大きな負担がかかることになります。やむをえない場合でも、使用方法、時期など、じゅうぶんに考慮すべきです。

これは化学肥料についても同じです。多量の栄養成分投入による地力の低下、それにともなう害虫の発生をカバーするために、さらなる化学物質の投入ということになってしまいます。これでは農薬・化学肥料の呪縛からぬけだすことはできません。化学物質は極力入れない努力をする必要があるのではないでしょうか。