64. チネ・チッタ(23巻FILE.1〜FILE.3)
 昔読んだ週刊誌の劇画マンガだったと思うのだが、女の死体が木の上で見つかる話で、その事件を担当した刑事が『木の上に登って自殺するヤツはいない』とのたまっていた事を覚えている。はたして自殺する人間というのは、その舞台に映画館を選ぶ物なんでしょうか?どこで死のうが個人の勝手とは思うけど、人間の行動にはパターンという物があるわけで…。ただ吊り橋から飛び降りるだけにしても、9割方の人間は光の見える方角を選ぶと申します(自殺の名所というのは、それなりの理由があればこそなんですな)。
 で、この犯人のおっちゃん、被害者に“自殺の動機”がある事を知って犯行に及んだんでしょうか?いずれにせよ不特定多数が出入りする映画館での犯行はかなりリスキー。『この風景を見せたかった』という気持ちは判らなくもないけれど、そんなにこの映画館が好きならどっかヨソでやるのが筋では?って気がする。いっそこの映画館が混んでてくれれば、無差別殺人に見せる手もあったろうにねえ。…今日で閉館だってのに、どうしてこんなに閑散としちゃってるのかしらねえ。


65. 影の計画師(23巻FILE.4〜FILE.9)
 アニメで見た時は余計にそう思いましたが…無茶な話だ。そりゃあこの犯人、何度も実験して煙草の燃え尽きる時間計ったりはしたんだろうけど、旗とか船の手すりとかにテープで貼り付けて、風で飛んだりしないんだろうか?
 タイミングなりなんなり、誰も気がつかないって前提があまりに多すぎる気がする。爆竹が鳴ると同時にぶっ倒れれば、それで撃たれたように見えるなんてのはかなり無茶。濡れ衣を着せた相手の自殺動機も無理ありまくりの感じだし(自殺するくらいなら最初からやらないって)。  叶才三ならずとも“ザル”と言いたくなりますな。


66. 捜査開始!!(23巻FILE.10〜24巻FILE.2)
24時間以内に犯人を見つけ出せ!というのはアメリカ映画のパターンですね。確かにしょっぱなのアクションシーンからアメリカンでした。コナンの話って、動機とかキャラの行動原理とか考えていくと、どーにも“この作者とオレって感性違うな”と思うことが多いんで、こういう理屈抜きの話が一番読んでて楽(好みではないけれど)。
 それにつけてもこの被害者、犯人との結婚を考えるほどの付き合いをしていながら、周囲は誰も気がついてなかったんでしょうか?フツー女って、相談兼ねて友人にしゃべりまくる物だと思うんだけど。


67. あと半年…(24巻FILE.3〜FLIE.6)
 ウチはアイロンと電子レンジを一緒に使うとブレーカーが落ちます。“ショートする仕掛け”って、一体何だったのかしら。警察が現場検証して取り調べして見つけられないほど何気ない物だったんでしょうか。
 親友の敵討ち、と言いつつも、結局は『ダンナの浮気が許せなくて殺した』いわば痴情のもつれ殺人。それにしてはこの奥さん、やけに冷静でございますな。色恋沙汰の殺人なら、もうちょっとドロついた物があっていいような気がするんだけと。


68. 裏切りの街角(24巻FILE.7〜FILE.11)
 かなり久しぶりの黒の組織の事件。汚職容疑者の国会議員がホテルの広間で、落ちてきたシャンデリアの下敷きになって死んだ。事故に見せかけた殺人だ、って話。
 スライド上映のために明かりが消してあるとは言え、真っ暗になってる訳じゃない。大勢の人の集まってるパーティー会場で銃を撃って、誰も気がつかない物なんだろうか。警察の取り調べを受けてるのに、銃を隠し持ってる事はバレないんだろうか。蛍光塗料を目印にシャンデリアの鎖を打ち抜けるほどの腕前としたら、この犯人は結構な名手。どこで練習したんだろう。
 雪の降っている夜、暖房が入っているとも思えない物置で、エチルアルコールが気化する速度ってそんなに早くないと思う。


69. 仲間外れ!?(25巻FILE.1〜FILE.3)
 だからその…音がトイレの中から聞こえてきたのか、窓の外から聞こえてきたのかって、判らない物なんでしょうか?犯人のねーちゃん、ロッカー室から銃もってレインコート着てリンク横のトイレまで来た訳でしょ。そんな怪しいカッコでフラフラしてて、目撃者はいなかったの?
 濡れ衣を着せかけられたこの男、よほど女に信用されていなかったらしい。ニヒルなサムライ系の弱点とでも申しましょうか。やっぱり男はイザって時に土下座して『捨てないでくれッ』と言える気骨がある方が、人生成功するんだろうな。


蜘蛛屋敷(25巻FILE.4〜FILE.8)
 ムチャクチャ後味の悪い事件のはずなんだけど…やけに爽やかな終わり方なんだよなあ。
 犯人の外人、数日前に来たときは誰にも知らせずこっそりこの家にやってきて、衝動的に男を殺し、次の殺人の準備までして行った。ちょっと普通人と違う。日頃からこんなことばっか考えて暮らしてるんじゃあるまいな(コミケで見かける外人、フツーの外見なんだけど、この日のために海を渡ってくるオタクである。そういうタイプか)。
 本当に来るかどうか判らない服部を、山の中で待ちぶせしていた。会えなかったらどうするつもりだったんだろう。それより3年ぶりに日本に来て、どうやって服部の名前を知ったんだろう。まさかホントに変な情報に通じたオタクなんじゃ…。


71. 手負いの探偵団(25巻FILE.9〜FILE.11)
 名探偵コナンの世界の中では、よくよく銀行強盗が多いらしい。メンの割れた仲間を鍾乳洞で殺した所を少年探偵団に見つかって…というとんでもない話(頼むからキャンプ地のすぐ側の鍾乳洞で殺人なんかしないでくれ)。
 こんな面白い道標のある鍾乳洞、どうして公開して観光スポットにしないんだろう。


72. 迷える心(26巻FILE.1〜FILE.4)
 工藤新一ファンでないオイラは、彼が出てきても嬉しくもなんともない。秘密を抱え、告げられない恋心(笑)を抱え、ハンデを抱えて自分を演じる江戸川コナンを愛しんでいる。…だもんで新一ファンのお嬢様方とは完全にソリが合わない。新一びいきの原作者殿とも、きっとソリは合わないだろう。合った所で良いことなんざないと思うが。
 頼んだ飲み物がアイスコーヒーで、持ってきたのがコーラ。体育館の中は蒸し暑いという事だったから、それでもまあ飲んだだろう。絵を見る限りカップに入っていたのはクラッシュドアイスだったから、でかい氷が一コ入っていれば、それにかじりついたって何の不思議もない。
 それはともかくとして…これから殺人を犯そうという人間が、蓋開けて中身の確認した時予定のコーヒーでなくコーラが入っていたら、普通取り替えてくれと言わないのだろうか?被害者がもしかしたら飲まない可能性のあるコーラに、それでも毒を入れるだろうか?
 自殺に見せかけたい殺人を、学祭やってる体育館でやるってのは無理ありすぎ。医者なんだから、医局で誤ったクスリを服用したかなにかというシュチュエーションを私ならお勧めしたい。


73. 束の間の休息(26巻FILE.5〜FILE.7)
 恋に生きる女の感性を理解できないお前が悪いといわば言え。
 下世話な話で申し訳ないが、唇というのは性感帯ではない。確かに皮膚が薄くて血管が透けてるから、普通の肌よりは敏感だろう。けれど触られたからと言って興奮するような神経が発達してる箇所ではない。
 だからたかがディープキスかましてるぐらいで、相手の男が銃ぶっ放してても気が付かないほどメロメロになるとは考えられない。そりゃあこの男がとんでもないタラシのヒモの下司野郎で、今までに何人もの女をソープの風呂に沈めてきたってんなら多少考慮の余地ぐらいはあるだろうが。
 SEXで女を虜にできるというのはあくなき男の幻想だろうが、だからっていい年した女をそこまで落とすのは相当な精進が必要である。そんな特技があるんなら、さっさとホストに転職してそこで頂点に上り詰めた方が良い復讐ができそうな気がするんだが…。
 優作オヤジの若き日の奇行が暴露された事件である。


74. 琴線に触れた!?(26巻FILE.8〜FILE.10)
 時価2億円の切手をコレクションしている奴の家というのは、一体どんな家なのであろうか?
 死んだ祖父の知人の女性が訪ねてきたのを“遺産の切手を奪いに来たのだ”と思いこみ、幽霊騒ぎを起こして追い返そうとする――これだから金持ちの考える事ってのは判らない。そりゃまあ遺産が欲しいのはよく判るが、見ず知らずのお嬢さんに2億もの大金を与えるんじゃないかと思いこむほど、死んだじーさんとこの家族の仲は悪かったのだろうか。さらにこのジジイの方もクセモノで「探せる物なら探してみろ」と言わんばかりに、大事な切手を隠してたりする。イヤな家庭だ。きっと銭金勘定絡んだ愛憎渦巻く犬神家の一族みたいな家族環境なんだろうなと想像する。


75. 身から出た錆(27巻FILE.1〜FILE.3)
 医者とか弁護士とか代議士とかの世界の価値観という物は、下賤名な者には理解できない論理の元に成り立っているというのがワタクシの持論でございます。一般的に“先生”と呼ばれる人種の世界観って、絶対普通じゃないと思う。だから“先生”なんだろうけど。
 眠っているとは言え、第三者の小五郎の前で殺人ってのは、かなり杜撰な犯行って気がする。どう考えても衝動殺人ではなさそうなので、もしかしたら被害者が小五郎を部屋に引きずり込む事も計画の内に入っていたのだろうか?だとすれば計画的に小五郎に罪を着せたという事になる。「故郷の村を救いたい」とのたまう正義の弁護士サマが、殺人の冤罪を他人にかぶせるのはちーとマズかないかい。
 切れたチェーンを糸で縛った後、どうやってこの男は外に出たんだ?
 杜撰さを突っ込んでいけばキリはないが…全て小五郎がいい男だから許す!以上。


76. 18年前の男(27巻FILE.4〜FILE.6)
 放火と18年前の銀行強盗事件のクロスリファレンス(だから誘拐と強盗はワリが合わないからヤメロと言うのに)。偶然放火予定地に刑事を繋いでしまったのはご愛嬌。
 ダイイングメッセージの“シュウシロウ”は良かった。いっその事このメッセージを巡ってありあらゆる誤解釈や珍解釈が飛び交う話でも良かったんじゃないのか。農作物の品種名だとか、地名だとか。
 石油タンクを転がして東京を火の海って…あんたねえ、特撮怪獣じゃないんだから。


77. 試合開始(27巻FILE.7〜FILE.9)
 確かにゲーセンの騒音の中じゃ人一人殺した位判らないと思う。だからこっそり毒針で刺して、そのままとっととトンズラこくのがベストだって気がするんだけどいかがな物か。あーゆトコってみんなそれぞれに集中してるから、他人の顔なんて見ないし。
 だからさ、妹助けたいんだったら力づくで引っぱり出してどっかの病院に監禁するのが筋であって、相手の男殺すのは方法論的にずれてるんだってば。今話題の宗教団体で教祖が殺されたって、信者は止めないでしょ。更正すべきはその妹の心の弱さの方。この男が死んだからって、また次も同じような男に引っかからない確証なんてないんだから。
 ちょうどいい時間帯で集金にきて、ちょうど都合良くガム踏んづけてくれたアルバイターの兄ちゃん…ワザと、じゃないよね。

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