箱根 塔ノ沢温泉の旅   2004.5                


箱根は近いので、子供の頃から何度も訪れている場所だが、その度に違う体験ができるのも飽きないで通えるポイントなのかもしれない。
いつもは宿から先に決めるのだが、今回は”ハイキングがしたい”ということから入ってみた。
箱根湯本からバスに乗って、小涌谷あたりで降りると「湯坂路」の入り口が見えた。誰も・・・いない。まあ、ここに間違いないのだから行って見よう!と元気に出発★

最初は草原を歩いているような平坦な道が続く。足取りも軽やかに歩いていくのだった・・・
前日の雨で天気は曇り空であまり良くなかったが、時折日も差して熱くなく寒くなくちょうどいい気温。
雨の雫をたくさんつけた野草も見れるし、普段嗅いだ事の無い緑の匂いに気分も良い。

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紫陽花の季節にはまだ少し早い。出番を待っている小さな無色の紫陽花たちが初々しい。
遠く鎌倉時代『十六夜日記』の阿仏尼が京都から鎌倉に下った際に通ったという古(いにしえ)の「湯坂路」。
そんな思いはどこ吹く風で汗をかいた身体に温泉&ビールが待っている、ただただそんな最終目的のために歩いていた。そして40分ほどで標高804メートル浅間山(せんげんやま)の山頂に辿り着いた。
向こうに見えるは双子山。にじんだ汗に風がすがすがしい。


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だがそんなぬるい目的で歩いてきた私を戒めるかのように、だんだんと道が険しくなってきた・・・
私のコースは湯本までの下りコース。上りコースですれ違う人が増えてきた。
「こんにちはー」挨拶を交わすハイカー達はみな、きちんとハイカーの服を着てピックを持ち、トレッキングシューズを履いている・・・スニーカーに軽装な私たちは明らかに場違いだった。その後すぐに気づいた、ゴメンナサイ、甘く見てました・・・
とにかく下りきるまで外には出られない。歩く歩く、自分の足で歩くしかないのだ。主人はどんどん先に進んでいく・・まっててぇ・・

もちろん歩き慣れた人には簡単なコースなのだろう、でも私のような運動不足の体力ナシには非常にきつかった。情けない・・・(がしかし!コレがきっかけで、この後歩くことに執着するようになる・・・)
浅間山を過ぎて約1時間30分。やがて石畳の峠道の隙間からは相模湾と小田原の町並みが見え、もう少し歩くと麓の車道を走る観光バスのエンジン音が聞こえてきた。私の長かったハイキングに終わりが現れた。達成感というよりは、ほっとした感のほうが強かったのも哀しい・・・

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次は宿編