そして縄文杉に会えた感動をひとしきり味わった後、ここからまた同じ道のりを、ほぼ同じ時間をかけて帰らなければならない・・・
それを思うと、あまりゆっくりしていられない気になるのが残念。そそくさと出発。縦走の方たちはこの先の高塚小屋あたりで一泊の予定。でもその荷物とやら半端じゃない。軽く20Kgは越すであろうザックを背負ってここまできて、更に・・・年季が違う・・・

戻る道のり、私たちは最後のトロッコ軌道、がんばろう、と励ましながら歩いたが、残りの2時間はみんな無言になっていた(笑)いい加減足も痛くなり始め、睡魔とも闘い歩いた。
だけど最後登山口に到着したときは今日出会ったばかりで同じ汗を流し、同じ時間を過ごしたメンバーたちと、皆で万歳と拍手で最後を迎えたときは、達成した感動がシャワーがように降ってきた。ああ、来て良かった、と心から思えた。
この道のりを達成できたこと、ここに来るまでの日々を思い出すとちょっと嬉しい。自分自身に自信がついた、価値ある一日であった。
またいつか、こんどは出来れば平日にゆっくりと、会いに来たい縄文杉。
登山口に戻ったのは歩き始めて約11時間後の17:30であった。こんなに歩いたのは人生で始めての体験でした。ありがとう、縄文杉。


※注:GWで混雑してすれ違いの待ち時間と、エコツアーのチーム同士で時間調整しながら歩いているので若干多く時間がかかっています。時期をはずせばもう少し短い時間で済みます。

※滞在中お世話になったエコツアー「ネイティブ・ビジョン」信頼できるし、素敵なガイドさん揃いでしたよ。





 縄文杉に逢いに行く。

バスの中でウトウトしながら登山口に着いたら明るくなっていた。ホテルを出たときは満天の星空だったのに・・・ガイドさんたちと朝食と準備体操を済ませ、いざ。荒川登山口6:45出発。

トロッコ軌道を大勢が蟻のように連なって歩いていく。ガイドさんは「軍隊の演習のようなものです」と言っていたが、しばらく歩くうちに「ホントだ・・・」と思った。トロッコ道は私にとっては快適だった。
私たちのチームは7人編成。私たちは最年少(笑)

でたぁ〜!恐怖の下が透けてる鉄橋。この橋は大きめで柵が合ったが、実は全く柵のない橋も渡った。(恐怖で写真など撮れなかった)高所恐怖症の私はかなり冷や汗。全部で5箇所ぐらいあったでしょうか?天気だったから良いが、雨の日だったら渡れなかったかも知れない。怖すぎるぅー!

そうこうしているうちに本物のトロッコがやってきた。みんなで脇にそれて通過を見守る。これに私たちが乗るための条件は・・・乗りたくないです(ーー;)

登山口より約50分で小杉谷集落跡地へ。ここで1回目の休憩。やっと身体が目覚め、温まってきた感じ。

集落から約30分、白谷方面の楠川分れを超え、ガイドさんの色んな説明を聞きながら、快調に歩き進める。ここで初めての杉スポット、三代杉登場に人が群がる。1代目が樹齢2000年、その幹の上に2代目発芽、樹齢1000年で伐採され、その切株の上に3代目が育った杉。
屋久島はこのGWが一番混むらしいので仕方ないが、とにかくすごい人人人だ!ただ、皆さん目的があるのでマナーもよく、森の雰囲気を壊す人もあまりいなくてそれは非常に良かった。

ここでふと森の奥へと目をやると(トロッコ軌道はでこぼこしているので、実はほとんど足元を見て歩いているのだ)ヤクシカが!人間慣れしているのかかまわず何かむしゃむしゃ食べている。左の鹿はこっちを見ています(わかるかな〜)

トロッコ軌道に飽きてきた頃、登山口から約2時間30分で大株歩道入り口へ。ここでトロッコ軌道に別れを告げ、本格的な登山道へ入る。ここのトイレは多分40分待ち、ということで、私たちのチームは次のトイレスポットまで我慢することに。登山道に入り、約25分で「翁杉」推定樹齢2000年・樹高23.7m・胸高周囲12.6m。デカイです!

〜縄文杉に会う為には、10時間歩ける体力を持ち合わせていなければならない・・・そんなハードルを前に、自分なりのトレーニングを重ねてきたが、果たして大丈夫なのだろうか?答えは誰にもわからないまま・・・
屋久島に到着したのがトッピーの最終便だったので、ホテルに着いたら19:00過ぎていた。翌朝の縄文杉登山のピックアップがホテル4:50だったので、大してお酒も飲まず寝ることに。が予想通り寝付けず、3:00には起きてしまった。睡眠時間4時間はまずいかも・・・〜

スタート
荒川登山口

翁杉より約5分、有名な「ウイルソン株」に到着。とにかくデカイ!ウィルソンさんが発見したからこの名になったのではなく、この株や研究を広く広く世間に広めた功績を称えて、の命名らしいですよ。推定樹齢2000年・胸高周囲13.8m。中は空洞になっており清水も沸いている。上を見上げれば空が写る(画像右下)。伐採された後に再生したと見られる小杉群がぐんぐん育っている。樹木の概念を超えた存在感に圧倒。

ウィルソン株からさらに奥へ進む。途中、森の木々の隙間から青空が見える場所へ。左前方に見えるは(多分)翁岳・栗生岳方面。なんともどっしりとした優雅な構えだ。あの山に登るのは無理だよねぇ〜・・・なんてこのときは思っていたのだが・・・目に焼きついて忘れられない・・・

「ここまではハイキングでした。ここからは登山です」とガイドさんに脅され、縄文杉がまだ遠いことを知らされる。混雑回避のためここで昼食をとり、急登りに備えザックを捨てて(置いて行く)縄文杉を目指すことに。荒川登山口から約3時間40分の地点。

そろそろゴールも近い?やや疲れた身体を大王杉が迎えてくれた。ここまでくるとすでに帰りの人たちともすれ違うようになり、「もう少し、がんばって!」という励ましを受けることが多くなる。でももう少しってどのくらい?どこで会っても「もうすこし」と言われる。
「大王杉」樹高24.7m・胸高周囲11.1m。

メデューサに見える杉。

「夫婦杉」2本の杉が手をつないでいるように見える。

そして更に40分ほど歩いて・・・

ジャーン!とうとう見えました!ゴール、縄文杉です。なんて大きいのでしょう!いや、なんて人が多いのでしょう^^;
以前はちゃんと縄文杉の周囲に行けたそうですが、現在は保護のため15メートルほど離れた場所に展望デッキが設けられ、そこから拝むだけとなっています。

ここまでくるのが本当に長かった。体力的にはそれほど辛い標高差のある山ではないので余力がありましたが、根気あるのみ、でした。そしてやっと出会えた、という感動は合ったものの、途中の道のりで「縄文杉に会っても、あ、こんなもんか、で終わってしまうのでは?」と危惧していたのですが、やはりそれに近い感じでした。展望デッキでは、多くの人々が次から次へと、彼を見ては山を下りていく。昔動物園で初めてパンダを見たようなそんな光景にも似ている・・・。
残念ながらただそこにあるといった、ひとつの風景に見えてしまう。
もちろんその風景そのものにもインパクトはあるし、大きさやそのでこぼこした石のように重厚な姿にも圧倒されたけどけれど・・・

経験者は展望デッキではなく、傍まで行くと大きさに圧倒された、と言っていた。その時代に来て見たかったな。きっと感動の大きさもちがっていたでしょう。

この杉を発見した岩川さんという方は、「山に13人で抱えるような太い杉がある」という古い言い伝えを信じ、暇を見ては探し回っていたそうだ。
そして見当をつけてから7年後、この杉に出会えたそうで。その時の驚きといったら・・・計り知れない感動だったでしょう。(でもせっかく名づけた岩のように見えた「大岩杉」という名前もいつの間にか「縄文杉」に変えられて無念の涙を流したとか・・・)

人間なんて足元にも及ばない7200年という太古の昔から、いくつもの時代が生まれ変わったのを見てきたこの「杉」と向き合って、じっくり話ができる人は少ないのだろうなぁ、と思いました。
ちょこっと来て、拝んで帰るだけでは理解できるはずも無く・・・これだけで帰るにはもったいないような気がしました。
でも忘れることの出来ない、森と杉の魅力を満喫させてもらいました。

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推定樹齢7200年・樹高25.3m・胸高周囲16.4m

余談1:同じチーム(同じホテルから参加)になった方たちの中でおばさま3人組がいました。同じ東京からの参加。3人ともおばさん特有のおしゃべりで、でも全然いやな感じじゃなくて、むしろ聞いてるこっちがクスクス笑ってしまうような良い方たちでした。
でもこの偶然の出会いが明日以降に影響しようとは・・・この時点では考えても見ませんでした・・・(つづく)