一湊の海へ。

屋久島はどうしても森、というイメージがありますが、いやいや、海だってある。
世界有数のウミガメの産卵で名高い「永田いなか浜」だってこの屋久島の海。
残念ながらウミガメの産卵を見れる(かも知れない)のは5月の半ばから。
そんな訳で私は屋久島の海も体験したくて、一湊の海へシュノーケリングに出かけました。

縄文杉登山を終えた翌朝、島に来て初めてのゆったりとした時間。朝食をとり、ホテルから山のほうを見上げると、なんとも吸い込まれそうな風景が!到着した日も日が暮れていたし、登山に出かけるときもまだ夜が開けていなかったから、こんな風になっていたのか!と改めてビックリ。

前を見れば見上げるような角度でそびえ立つ山肌が見え、後ろを振り返れば地球の丸さを感じる水平線と、光を浴びて白く輝く雄大な海。こんな風景、見たことない!
あまりの心地よさに身体中の毛穴が開く。たくさんの水の粒子が呼吸するたびに身体の中に入ってくる、人間の70%は水で出来ているのよね〜・・命の恵みを感じてしまうほどだ。

正面に見えるは「モッチョム岳:930m」

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私たちは島の路線バスに乗り、宮之浦へ。
路線バスにはずいぶんお世話になった。縄文杉の日以外は毎日乗りました。島の移動はこのバスが頼りな私たち。東京から時刻表を用意し、このバス時間に合わせて行動スケジュールを組みました。
運転手さんも皆さん親切で、ほぼ時間通りに動くし、バスだけで全く問題ない旅が出来ました、素晴らしい〜★

シュノーケルもエコツアーで予約していたので、集合場所の宮之浦の「屋久島観光センター」へ。ここは島の中心部らしく、賑やかだ。
今日のガイドさんはちょっぴりワイルドな印象(笑)午後のツアーは私たち2人だけ、ということでウエットスーツを担いで車に乗り込み、出発。

車で15分ほどで一湊海水浴場に到着。海水浴場と言ってもまだ本格的な時期ではないので休憩舎やシャワーなどはない。
その日の風向きによって静かなポイントを選ぶ。二こぶの山(画像右端)の向こう側が東浜・こちら側が西浜だ。今日は西浜でシュノーケリング。

駐車場(といっても海岸沿いなだけ)に車を止め、着込んできた水着の上にウエットをその場で着て、レクチャーを受け、ガイドさんについてお魚のいるポイントへ。入り江になっていて穏やかだが、夢中になってちょっと先の沖へでただけで流れが速く、場所によっては川のようだと言う。知らないと怖いのだ。

天気が良かったので、お魚にも会え、きれいな海も満喫できましたがさすがにまだ水は冷たい。(シュノーケリングにカメラは持っていかなかったので画像なし)運がよければ海がめにも会えたそうなんですが・・・駄目でした。
ガイドさんは普段、ウエットなど着ないで、素潜りだそうだ。手づかみで魚とって食べてたりして。見た目がワイルドだけに、色々想像してしまう(笑)

近くに公衆温泉があるからそこで着替えましょう、ということで、ガイドさんの車にびしょびしょ水着のまま乗り込み、うっそうと茂るがたがたの細道を抜けたら目の前が又、海。その着いた所が「大浦の湯」でした。
本当に小さな、ひなびた温泉だ。¥300支払って中へ。

掘建て小屋(失礼)のような中に入ると、奥に男女別の入り口が。入ると脱衣所や湯船は人が2人やっと入れるぐらいの大きさ。源泉が通るパイプがむき出しで、かろうじて2個の蛇口がある。シャンプーリンスなどあるわけもなし。私もワイルドにそこにおいてあった固形石鹸でガシャガシャ洗う(笑)
冷えた身体に温泉が温かくてシアワセ♪窓の外、すぐそばに海岸が。
はぁ〜・・のんびり。

男女は壁一枚で仕切られているだけなので、男湯で話していることのほとんどが筒抜け。男湯からは海は見えなかったらしい。男女が入れ替わるそうだ。

湯から上がると4畳半くらいの畳の休憩所があり、なぜかガス台、シンクがあり、どんぶりや湯飲みも置いている。自由に飲んで良いらしい。(どんぶりは何に??)
ガイドさんや、この温泉の管理人(?)のおじさんたちは当然顔見知り。地元の漁業や、色んな話を聞いて、心からのんびりできた。
余談だが今日のガイドさんは東京から移住して13年だそうで、東京で生まれ育ったところが近所、なんと、私と同じ病院で生まれていた。世の中狭い・・・

そしてまた、うっそうと茂る細道を抜け、宮之浦へと戻る。
来たことがないのに、なぜだか懐かしさを感じた町、一湊。
なんだかここにいたら人間らしい生活が送れそうだ。結構好きかも、この雰囲気。
のどかな町並みと温かい人情、屋久島の素顔を見せてもらった気がした。