白谷雲水峡で深呼吸。

屋久島に来て3日目、一日自由になる最後の日となりました。

当初からこの日は何も予定していなかったのですが、昨日までお世話になったエコツアーのガイドさんから「白谷は行くの?え?行かないの?行った方が良いよ〜」と言われ、その一言で決定。いや、最初から行こうかどうしようか迷っていたところだったので、背中を押されてよかった。

路線バスの時刻表とにらめっこをしたら、始発でうまく乗り継いで行ける事を発見。また朝の早い出発となり、ホテルにお弁当を手配し出発。バスは早朝(と言っても8:00頃)にもかかわらず、同じ目的の人でいっぱい、増発便が出て(山道を走るので全員着席が義務付けらしい)2台となりました。

入り口で森林環境整備協力金¥300を支払い、軽く準備体操をして出発。この日の天気予報は午後から雨、でも朝からなんとなくどんよりとした空模様。
でもね、白谷雲水峡は苔の森。あまりに天気が良すぎると乾燥してしまってただの枯れた森に見える、ってガイドさんが言っていたので(そこまでには見えないけどね)ちょうど良い程度のありがたい湿気。

白谷広場から憩いの大岩を渡り、キレイな飛流おとしを眺め、さつき吊橋を渡り楠川歩道へ。まずは天候が悪くならないうちに目指す太鼓岩へ足早に進みます。

飛流おとし

いくつかの沢を渡り、割と歩きやすい山道を進むと森はどんどんその色を濃くし、右を見ても左を見ても「もののけ姫の森」となっていきます。上を見れば巨木が、下を見れば生まれて間もない屋久杉の子供たちが苔の中にひっそり育っている。

倒木や切株をおおう苔の中に次世代を担うたくさんの命が。自然の偉大なる力にため息。この森は空気がとても澄んでいて、思わず深呼吸したくなる。

更に奥へ進み、白谷小屋を超え歩き始めて約1時間で、「もののけ姫の森」に到着。

先ほどまでの森とどうちがうの?(笑)と言う感じではあるが、確かによくガイドブックなどで見る光景だ。

ここはやはり混んでいて、写真を撮るのに順番待ち。帰りでいいや、とばかりに先へ進む。

ここから先は急に歩きにくくなり、ここが登山道であることを思い出させてくれる。

←ここでもヤクシカに会った

もののけ姫の森

注:この子は杉ではありません⇒

もののけの森から約40分、ようやく辻峠にたどり着いた。小さなベンチがひとつ。

ここのさらに奥に進むと、おととい歩いた縄文杉へのトロッコ軌道、楠川分れへと繋がっている。
ああ、無人の山小屋で一泊できる気力体力知力があったなら、この道を縦走できたんだな〜なんて欲張りなことも考えてみる。

このベンチにいる時点でかなり強風が吹いてくる。
この上は更に強風が吹いているらしい。上り25分、下り20分、コースは別ですよ、と書いてある。

木の根をつかみながら急登りをのぼると、更に強い風の音が。突然視界が開け、その先の花崗岩におそるおそる登ってみると!!

胸のすくような広大な眺めが広がった!

小雨が降っていて、雲の流れも速いのだが、隙間から見え隠れするのは縄文杉登山のとき、そばに流れていた安房川、すぐ下にはりっぱな白骨樹が見える。

高所恐怖症の私は残念ながら岩の端まで行くことはできなかったが、見たこともないような絶景に深く、深く深呼吸。
ふわっ、と鳥になって飛んでいけそうな気分にもなった。

ここは「もののけ姫」の中で、モロとアシタカが話をしていた場所の舞台になったとか。確かに納得してしまう絶景でした。
但し、強風には十分注意しましょう。帽子も飛びます。

いつまでも見ていたい風景であったが、そうも行かないので今来た道を又戻りはじめる。そろそろお腹もすいてきた頃、お昼にしようかな?と場所を探しているうちに雨が少し強くなったので、我慢してレインウェアを着込み、先へ急ぐ。大丈夫だとは思うが、大雨になった場合沢が増水して渡れなくなる可能性もあるからだ。
分岐から行きとは違うルートの原生林歩道を通る。ここには奉行杉、三本足杉など次々と巨木が現れるが、楠川歩道とは違い非常に歩きづらい。急なアップダウンの繰り返し。
おまけに湿気で汗かくし〜・・・夏だったらちょっとつらかったかもしれない。

結局お弁当を食べれたのは白谷広場に戻って、東屋にはいってから。往復約4.5時間、屋久島の雲霧帯を象徴するモスフォレスト、ゆっくりとこの足で、身体で感じることが出来て本当に良かった。来て良かった。

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太鼓岩

余談2:楠川歩道を突き進んでいたら、楽しそうに写真を撮る5人組が目に入りました。近づいていくと・・・
「????わーーーっ」とお互いがほぼ同時に指を刺しあう。そうです、あの縄文杉登山で同じグループだったおばさまたち。
「すごーい偶然ね!あれからホテルで会わないからもう帰っちゃったのかと思ってたわよー!」「ええ、私たち昨日から○○ホテルに宿変えたんですよ」「あらーそうだったの?!ちょうど良かった、写真撮ってってー」
と会話を交わし、再会を喜び合いました。しっかりカメラマンやらされ、「じゃあねー!」と挨拶。

余談3:お腹ペコペコで白谷広場へ戻る手前、さつきつり橋の向こうからまたもや見覚えのある5人組・・・
「わーーっすごーい偶然!また会っちゃったわね!」
そうなんです、行きにも帰りにも。全然別ルートで歩いてきたはずなのに・・・
偶然もコレだけ重なると、なんだか意味のあるものに思えてきます・・・(つづく・・・)