TOP >> キー操作時の指の位置の再考察  
                                                                                English>>


3. キー操作時の指先の位置の再考察

私はここで、キー操作者の指先の位置に注目しました。 平面的にも立体的にも。



■ 中指・薬指・小指の指先の位置

もう一度、キーボードを打つ時の様に指を曲げて手を机の上に置き、手を指先側から覗き込んで下さい。 すると、先に説明した様に、手の甲の面には傾斜がついています。 同時に、中指・薬指・小指の指先の3点が、机の水平面上に自然に違和感なく接触している事を発見します。

これは、手の甲の傾斜と中指・薬指・小指の3本の指の長短がうまくバランスし、結果的に中指・薬指・小指の指先の3点が水平面上に位置する為です。(ポイント1)



次に、指を伸ばして自分の手を手の甲側から見て下さい。指の長さは、中指→薬指→小指、また中指→人差し指→親指と短くなっています。

前腕の中心軸を”矢印の柄”とすると、各指の指先の位置は、中指を頂点として小指および親指に向かって”矢印の刃”状に略々位置しています。この”矢印の刃”状の位置関係は、キーボードを打つ時の様に指を曲げた状態でも(刃の角度は変わりこそすれ)同様です。


そして、手首と指の曲げはそのままに、一般のキーボードのホームポジションキーの上に中指・薬指・小指の3本の指先を乗せて下さい。 すると、ある状態では、両手の夫々3本の指先が、キー配列の一直線上に乗ることに気づきます。



キー配列の直線上に指先が乗らない場合は、キーボードを上体から離したり近づけたりして距離を調整し、左右前腕がつくる角度を調整すれば、キー配列の直線上に乗るポジションが見つかります。

つまり、左右の前腕に適切な角度をつけることによって、中指・薬指・小指の指先の位置、言い換えれば、上記の”矢印の刃”は、キー配列の直線に一致します(ポイント2)。


■ 人差し指、親指の指先の位置

ここで、ちょっと、解剖学的な実験をしてみます。
 
肘を脇につけて手のひらを前にしながら肘関節を一杯に曲げます。 次に、手首を手の甲側に一杯に曲げます。 ちょうど、手のひらにお盆を乗せる格好です。この状態で、指をリラックスさせると指の関節は丸まります。




今度は、手首だけを手のひら側に向けてカクンと曲げて下さい。ちょうど、「招き猫」の格好です。さて、ここで指の状態に注目しますと、人差し指は、中指・薬指・小指に比べて、指関節があまり曲がらないで伸びていることが分かります。また、親指は真下にダランと垂れないことに気づきます。


親指を除く4本の指には、手の甲側に指関節を伸ばす働きを持つ筋肉(総指伸筋)があり、この総指伸筋の両端は、各指先と上腕(肩とひじの間)の骨に付いています。 この関係から、手首を手のひら側に曲げると総指伸筋は緊張して引っ張られ、指関節は伸びた状態になります。

更に、人差し指と親指の2本の指には、”示指(人差し指)伸筋”と”拇指(親指)伸筋”という、それぞれ固有の筋肉が、総指伸筋に加えて付いています。 これらの筋肉の一方の端は、前腕の骨に付いています。




<資料提供>
寺島俊雄教授 神戸大学大学院医学系研究科脳科学講座(神経発生学分野)
出典:神戸大学電子図書館e-Learning解剖学講義ノート



従って、手首を手のひら側に曲げると、示指伸筋および拇指伸筋の両端の距離が長くなってこれらの筋肉が緊張し、人差し指は、二重に引っ張られ、人差し指と親指の指関節は中指・薬指・小指に比べてもっと伸びた状態になります。 親指は親指固有の筋肉で独自の角度を維持します。言い換えると、中指・薬指・小指の指先の位置と人差し指・親指の指先の位置との間に立体的に段差がつく訳です。

以上の実験結果から導き出される解剖学的な結論は、人差し指と親指の指先は、中指・薬指・小指がつくる平面より「浮いている」ということです。 この点がポイント3です。



<< TOPへ     次へ >>


特許出願中 特開2004-288166(「キーボード」)      
  TOP >> キー操作時の指の位置の再考察