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よく噛んで食べる


よく噛んで食べる


よく噛んで食べる大切さについて、ケイアイデンタルクリニックの井出院長にご説明頂きました。


咀嚼(そしゃく)は、歯と口のまわりの筋肉を使った顎(あご)の単なる開閉運動で行われていると、思われているのではないでしょうか? 実は咀嚼は、顎の開け閉めだけではなく、複雑な顎の動きによってなされます。

またそれだけでなく、全身の筋、骨格が使われます。 草食動物を思い浮かべてください。 もぐもぐ、顎をよく動かして食事をしていますよね。 人間はもともと草食動物だったようです。

よく噛んで食べるには、顎がよく動くことが大切なのです。 そのために、食事する時の姿勢が大切となります。 日本人は正座して、真っ直ぐに前を向き、お茶碗をもって食事した時が一番顎がよく動きます。 現代社会で、この様な食事は難しいでしょうが、せめて背筋を伸ばして食事をして欲しいものです。 椅子に座らなかった生活習慣、文化が、和食を作りだしたのです。 よく噛んでもおいしいのが和食です。


よく噛んで食べれば良いことがあります。

肥満を解消する

長い人類の歴史は飢餓との戦いであり、飢餓がなく飽食の中で生きていられる時代は、人類の歴史の時間(800万年)から見るとほんの最近のことです。 人間の体は飢餓状態に適応して、そのときに必要なエネルギー以上のものを食べたら、余ったエネルギーは将来の為に残らず蓄えるように出来ています。 人間の体は基本的に太りやすいように出来ていることを理解して下さい。

食べ物はまず口腔内の歯によって小さくすり潰されます。 このとき食べ物は唾液とよく混ぜられます。次に食道、胃、十二指腸、小腸、大腸へと送られます。 そこでも消化液、消化酵素の力を借りて分解が進められます。 そして、食べ物は分子の状態、ブドウ糖へと変化し、血液中に取り込まれます。

脳にある満腹中枢は、血液中のブドウ糖が一定量を超えると満腹感を感じるように出来ています。 そうやって食べ過ぎないようにしているのですが、血液を介している為どうしてもタイムラグが生じます。 早食いの人は満腹感を感じる前に目の前のご飯を、それが必要以上のご飯であっても、平らげてします。 これが習慣になってしまえば、本来必要とされる量よりも多く摂取することに慣れてしまい、その量を取らないと満足できないようになってしまいます。

よく噛まないで食べる人は大概が早食いです。 早食いの人は肥満傾向があるというデータがありますが、上記がその理由です。 従って、肥満を解消する為には、早食いを止める。 そして、早食いを止める為に、よく噛んで食べることが肝要です。


臓器の負担を減らす(体が疲れない)

良く噛まずに食べても、食べ物を受け入れた消化管はフル活動して食べ物を消化しようとします。 基本的に体はもったいないことをしません。 フル活動は臓器に負担をかけます。 体は使わないと廃用性萎縮をおこしますが、使い過ぎは疲労を引き起こします。 何事も程々が大切です。 よく噛むことによって臓器の負担を減らすことができます。

消化管は平滑筋で出来ています。 自分の意思では動かせません。 刺激を与えれば(食べれば)自然に働いてしまいます。 また疲れ、痛みは敏感に感じ取れません。 骨格筋のように疲れ、痛みを敏感に感じ取ることができるなら暴飲暴食しないですむのかもしれません。

但し例外があり、唯一骨格筋をもった消化管があります。 それが口の周りの筋肉です。 そして消化器官として歯があります。 自分の意思で動かすことが出来て、食べ過ぎるのも食べないのも、よく噛むのも噛まないのも自分で選択できます。 あたかも「お膳立てはしてやったから最後の選択は自分でしなさい」と創造主に言われているようです。

消化吸収には細胞の代謝能力も影響します。 細胞が機能していなければ吸収できません。 疲れきった細胞では消化不良になってしまいます。 細胞が疲れていると新陳代謝も低下して、消化不良物が体内に滞留し、肥満につながることになります。


料理を味わう

よく噛めば薄味でもすむようになります。 そうしたら余計なものを取らなくて済みます。 食べ物の素材の本来の味を堪能できるのは日本人の特徴です。 和食には良く噛むとおいしいものが多いはずです。 ソースや濃い味付けでごまかした和食はありませんよね。

日本人は煮含めただしの味を楽しむことができる幸せな人種です。 ちなみに白人種はおでんの味がわからないそうです。


若返る

よく噛んで唾液がよく出ると、唾液中の若返りホルモンといわれているパロチンが多く分泌されます。 また、あごの周りの筋肉の血行が良くなって脳への血流が増加します。 呆け防止にもなります。


最後に、よく噛んで食べるためには、歯が大切となります。 痛い歯があれば、自然とその部分を避けて噛みます。 歯のない部分があれば、残っている歯だけで噛もうとします。 そうすると、正常な咀嚼サイクルでなくなってしまいます。 最初は違和感を感じますが、長い習慣になってしまうと感じなくなってしまいます。 これは、決して体にいい事ではありません。 人間の体は、繊細なバランスのうえに維持されています。

たかが歯の一本ぐらいと、思われがちですがとんでもない事です。
歯は命なのです。                                                                                                                                                                          (2005/05/14)






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